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脳神経外科、研修中にぼくがやっていること

  過去の記事「オーストラリアの医学部、最終学年の4発目の研修先は脳神経外科」で、ぼくは脳神経外科で研修していることを告げた。   時間が経つのは本当に早いもので、もうすでに3週間が過ぎてしまった。ここらへんで、ちょっと一息をついて、自分が脳神経外科で何をやっているのかを振り返ることにする。   ぼくの Reflective Writing が、海外でお医者を目指している医学生、もしくは海外の医学部に行こうと思っている読者のためになれば幸いである。   注意:文章はぶっつけで書いたもので、見直ししているわけではない。文法やスペリング、そして構造や意味などに至らない点があるかもしれない。その時は、「そこの英語、間違っているよ」とご鞭撻いただきたい。   Meeting Professor Lee in theater and Discussion on my goals during the placement My degree was the bachelor of Neuroscience. I worked...

オーストラリアの医学部、最終学年の4発目の研修先は脳神経外科

  5週間にわたる麻酔科、緩和ケア、腫瘍科の研修が無事に終わった。   ぼくが次に行く研修先は、脳神経外科だ。   ぼくと脳の関係は結構長い。大学で神経科学を専攻し、理化学研究所脳科学総合研究センターで研究に従事した後、医学部最終学年が始まる前の夏休みには、神経科の研修を選択している。また、医学部ののメンターは神経内科の先生だ。   脳と心に長年興味を抱いてきたぼくは、医学部のカリキュラムのひとつである Selective Placementを利用して、脳神経外科の研修を選択した。   Selective Placementの目的を簡単に説明しておく。ご存知の方も多いと思うが、医学は専門分野の細分化が進んでおり、医学生がすべての分野で研修することは時間的にも空間的にも不可能である。そこで、うちの医学部は、Selective Placementなるものを設けて、医学生が自分の興味がある専門科を Selectし、臨床研修を行えるようにしているのだ。   Selective Placementはとても重要で、最初は「〇〇科医になる」と思っていた医学生が、実際に研修してみたら、自分の思い描いていたものとは違って進路を変更したりする、なんてことが多々ある。おそらくだが、理想と現実を早いうちに見極めさせようという狙いも、Selective Placementにあるのだろう。   ちなみに、ぼくが尊敬している日本のお医者さんに福島孝徳先生という脳神経外科医がいる。「神の手」を持つと言われる、アメリカ在住の日本人神経外科医で「全米の医者が選ぶ良い医者」にも選ばれたことがある方だ。話を始めると長くなるので詳しいことは触れないが、福島先生のドキュメンタリーを見て、脳神経外科への興味が強まったということは事実である。   福島孝徳先生の、「人の2倍働いて、人の3倍努力をする」というモットーは、モチベーションが上がらない時に、自分に言い聞かせている。何度も何度も。   https://www.youtube.com/watch?v=G4CQD6oNxiU   ちなみに、福島先生のブログは面白いです。リンクはこちら   話を Selective Placement に戻すと、カリキュラムの概要はこうなっている。     Selective Placementをパスするには、3つの課題をクリアしなければならない。     脳神経外科の研修、ああ、楽しみだ。   ちなみに、アメリカで人気がある医者のドラマ「Grey's Anatomy」の主人公メレディス・グレイが、脳神経外科手術を初めてソロでするシーンがあります。ドキドキ。   https://www.youtube.com/watch?v=C3kUl7DGmGE   Grey's Anatomyは医学ドラマというよりは、お医者さんたちの恋愛ドラマなので、人気があるんでしょうね。しかし、美男美女の医者ばかりですなぁ。主人公の親友のアジア人女性は美女ではないかもしれないけど、圧倒的な演技力が素晴らしいです。興味がある方はこちらからどうぞ。  

オーストラリアの医学部、最終学年の3発目の研修先は腫瘍科

  オーストラリアの医学部、最終学年もすでに3つ目の研修に入った。   最初の麻酔科、2番目の緩和ケアに続き、3つ目の研修先は腫瘍科である。   ぼくが配属されたのは、麻酔科の時と同じ Fiona Stanley Hospital だ。   それでは、早速、腫瘍科研修の概要を抑えておこうと思う。ふむふむ、腫瘍科の専門知識を身に付けることがゴールでは無いと書かれている。それよりも、総合医の観点からガンをどう診断・治療・管理するかを学べ、と書かれている。     研修中は、以下のことを念頭に置きながら患者さんと触れ合いなさいと書かれている。     研修中に課される課題は、3つある。     Logbookは、ぼくが実際に出会った患者さんのことを記録するものである。医学部側が、次のようなフォーマットの記録用紙を用意している。最低10人の記録を取る必要がある。     Evidence Based Case Reportは、現存するガイドラインや研究データをもとに、患者さんの治療を批判的に吟味する課題である。     そして、最終的には、このような知識を身に付けて、最終試験にのぞみなさいと書かれている。    

オーストラリアの医学部、緩和ケア研修を通じて

  オーストラリアの医学部、最終学年の2発目の研修は、緩和ケアだった。   研修先のRoyal Perth Hospitalの緩和ケアチームに所属し、複数の患者さんたちとその家族や友達に出会うことができた。   一週間という短い研修ではあったが、数日前にジョークを言っていた89歳のおじいさんが目の前で死んで行くのを家族と友人と見守ったり、交通事故で意識を失ってしまった男性のケアをどうするのかという議論に加わったり、考えさせられる・学ぶことがとても多い研修であった。   そのなかでも、ぼくは、顆粒球肉腫(myeloid sarcoma)を患っているABさんという女性(仮名)と長い間話をさせてもらった。彼女との対話を忘れないためにエッセーを書いておいたので、ここで公開しようと思う。プライバシー保護のために、個人を特定できる情報はすべて脚色されています。(To protect the privacy of the patient, all the information that may be used to identify the patient has been edited...

医学部卒業のために、スマートに勉強することにした

  今年は医学部最後の年で、できれば留年せずに西オーストラリア大学・医学部を無事卒業したいと思っている。   ぼくはメルマガを通じて、自分の夢を宣言すればそれは実現する、とみんなにメッセージを送ってきた。   ということで、ぼくも夢を実現するために、ここでスマートな勉強法のプランを宣言しておこうと思う。   具体的には、医学生が卒業までに裏も表も理解しておかなければいけない「60の病気・外傷」を卒業試験の1週間前までに消化するという、壮大的なプランである。     それぞれの病気・外傷を、 (1)疫学 (2)病理学 (3)臨床所見 (4)検査 (5)治療 の5つの観点から簡潔にまとめて、その知識を筆記試験だけでなく、実技試験でも使えるレベルまで収斂していく。   学期中はその他の課題も沢山あるため、やることを事前にしっかりと決めそれに集中することが、医学部卒業の鍵となる。   ぼくが「60の病気・外傷」に力を注ぐのは、元同級生でいまは医学部を卒業して医者になった友人のアドバイスを重要視しているからだ。 さて、始めるぞ。   https://youtu.be/dEuZglUMX4I  

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オーストラリアで総合医になる必勝方法

  ぼくには、「オーストラリアで温かい医者になる」という夢がある。この夢の旅路に就くまでのその道は、控えめに言っても、紆余曲折で満ち溢れていた。   ごとうひろみちの紆余曲折の人生に興味のある方はこちらをどうぞ。 ↓↓↓↓↓↓   オーストラリアの医学部を一年休学した後に卒業し、ぼくは現地の病院に就職した。現在は、医師3年目のペーペー Registrarをやっている。通常、オーストラリアで言うRegistrarは「専門医になるための訓練を受けている医師」を指すのだが、ぼくはいまService registrarという少し変わったポジションで働いている。Service registrarは、特定の専門のトレーニングプログラムに入っているわけではないが、病院側が働き手が一時的に足りていない分野に送り込むRegistrarのことを指す。オーストラリアの医師のハイラルキーに興味がある方は、過去記事『オーストラリアのインターン医師になったらやらなければならない6つのこと』をどうぞ。   インター医師よりも経験はあるが専門をまだ決めかねている医師は、このService registrarとして働くことが多い。そして、Service registrarとしてインターン医師よりは重い責任を負いながら、どの専門に進むかを考えている。どの専門に進むのかを決める要因は千差万別で、流行りの専門を選ぶ医師がいたかと思えば、朝の問診が嫌いだからという理由で救急医療を選ぶ医師がいたりする。色々な思惑と背景を持った医師がいる以上、これさえ押さえておけば専門医トレーニング選びに後悔しない、というものはない。 ちなみに、医学部に入ったときにこんなフローチャートが授業で出てきたが、あながち間違いではないような気がする。専門を迷われている方は参考にするといいかもしれない(が、あまり気にする必要もないと思う)。     オーストラリアのインターン医師は、大きく分けて外科、内科、救急、精神科のローテーションを通じて医師としての一般的なスキルを磨く。3年という限られたインターンシップの期間中に、すべての科を回ることは不可能である。あらかじめ「~科で働きたいなぁ」と思っている医師は、病院側にその科に優先的に回してもらうことをお願いする。また、「~科には興味がない」ということを病院側に伝え、それ以外の科に回してもらうこともできる。   ぼくは医師として以下のローテーションを回ってきた。 1年目 内科(記事) 移植外科(記事) 救急(記事) ...