【豪州医学部受験お悩み相談】海外で医者になりたい高校生1年生

この記事の目次

 

以下、読者さんからの了解のもと、質問とその答えを記事にしています。

 

<読者さんからのお便り>

 

ひろみち
こんにちは。ひろです。

ブログ読者さん

初めまして 高校一年のAと申します。

私はオーストラリアで医師になりたいと考えています。一番はオーストラリアの医学部に進学することですが、オーストラリアの医学部に高校卒業後に入るのは費用の面や学力的な面で現実的ではないと思っています。

なので、自分自身で出来る限り調べて2つのルートを考え出したのでどちらがオーストラリアで医師になるために最適なルートかアドバイスを頂ければと思いメールをさせて頂きました。

1つ目はハンガリーなどの東欧の医学部に進学し卒業後オーストラリアに臨床留学をするかスポンサーを探すということです。ですが、経験がないためビザなどの面でうまくいくかが疑問な点です。

2つ目はオーストラリアの大学の看護学科に進学し卒業後数年働き永住権を得て医学部に進学するという点です。

よろしくお願い致します。

ひろみち
ご質問ありがとうございます。高校1年生の時点ですでに医者になろうと思っているんですね。すごいです。感心してしまいます。与えられた情報が少ないので適切な答えができるかわかりませんが、「Aさんが日本で生活している日本人の高校生」という仮定をもとに、ぼくなりの答えを書いていきます。Aさんの人生のに一助になれば幸いです。

 

 

ごとうひろみちの答え

 

オーストラリアの医学部に通う留学生は、毎年300~400万円の授業料に加え、100~200万円ぐらいの生活費を支払います。つまり、安くても400万円、高ければ600万円という大金を毎年払わなければなりません。もし、高校卒業すぐに医学部へ入学するのであれば、6年間大学に通うことになり、合計で2400万~3600万円の経費が掛かります。ご両親が経済的に安定し裕福であれば問題はないのかもしれませんが、そのような幸運に恵まれている子供の数は多くありません。(アメリカであれば、医学部無料というところもありますが。)

志の高いAさんは、この点をすでに自分で調べて、自分にほかのルートが無いものかと模索をされているのだと想像します。そして、(1)東欧の医学部に進む選択肢、そして(2)オーストラリアへ永住した後に医学部に進む選択肢、にたどり着いたのだと思います。

 

東欧の医学部に進む

 

まずは、ぼくの結論から始めます。ぼくはこの選択肢をお勧めしません(注意:否定ではありませんよ)。

 

その理由は、3つあります。

 

1つ目は、医学部で学ぶ内容は、国によって大きく異なるという事実。

簡単な例を出すと、アメリカの医学部に行けば、Lyme diseaseのことをしっかりと勉強すると思いますが、オーストラリアの医学部ではあまり時間を割きません。同じように、オーストラリアの医学部では Rheumatic heart diseaseの勉強をしっかりしますが、アメリカの医学部ではあまり時間を割かないと思います。

なんでこんなことが起きるのかというと、国や環境によって病気の疾患率が変わってくるからです。アメリカではLyme diseaseは比較的よく見られる病気ですが、オーストラリアではあまり出会う症例ではありません。また、アメリカではあまり目にしないRheumatic heart diseaseですが、オーストラリアでは比較的出くわす病気です。

オーストラリアとアメリカを例に出しましたが、東欧の医学部でも東欧でよく目にする病気を重点的に勉強するはずです。そのため、オーストラリアで医者になることを考えているのであれば、オーストラリアの医学部で学ぶことが時間的なロスを少なくしてくれるような気がします(オーストラリアは移民が多い国なので広い視野を持ったほうがいいと考えることもできますが)

 

2つ目は、医療行為の内容は、国によって大きく異なるという事実という事実。

医療は様々な要因が絡み合った事業です。病院やクリニックの医療ガイドラインといった小さな単位から、国が定める医療に関する法律まで、様々なレベルで医療行為の制限が課されています。また、医療に対する患者さんたちの考え方や知識なども、医療行為の在り方に大きな影響を与えます。

例えば、パースには複数の病院がありますが、同じ病気なのにどう治療するかのガイドラインが微妙に違うことがあります。これが、他州の病院になると、さらに変わってきます。そして、国レベルになると、もっと大きな違いが出てくることが容易に想像できると思います。つまり、東欧で医学を修めて、意気揚々とオーストラリアで医者になろうとしても、東欧で学んだ医療知識がオーストラリアでは使えないケースがあるわけです。

ただ、オーストラリアの医療システムを改善するには、他国の医療従事者の知識と経験が不可欠というのも事実ではあります。Aさんがこのようなビジョンを持っているのであれば、他国で医学を修めて、その知識をオーストラリアの医療システムの改善のために尽力してもらうことは、大変喜ばしいことではあります。

 

3つ目は、医学部はその国や地域に貢献する医者を育てたい、という事実。

これは、投資家のマインドを持っていないと理解できない観点です。ヨーロッパの医学部が比較的安いのは、国が多額の補助金を投資し、優秀な医者を育てて、将来的にその国の医療に貢献してもらいたいと願っているからです。それゆえ、多額なお金を投資した医学生がほかの国に流出することは、その国にとって大きな損失を意味します。

わたしの国の医療に貢献してくださいね、という政府の願いを理解し多額の投資を受け入れる。でも、医学部の教育が終わったら即さようなら~では、倫理的な配慮にかけるのではないかと考えてしまいます。法律違反でなければ何をやってもいいという心貧しい人がいますが、Aさんには広い視野を持った医者になってほしいと願っています。

 

オーストラリアで医者になるなら東欧の医学部はお勧めしないと言いましたが、それでも世界中からたくさんの人が医学を学びに来る環境はとても刺激的なものだと思います。

 

ハンガリー医学部、留年せずに卒業できる学生の割合は33%(つまり66%の学生は留年する)!

 

ハンガリーで医学を学ぶ人たち

 

オーストラリアの永住権を取ってから医学部に進む

 

ぼくは、こちらの選択肢をお勧めします

 

オーストラリアの医療システムを理解している看護師さんは、オーストラリアでとても優秀なお医者さんになれるような気がします。(データはありませんが、優秀なお医者の中に過去に看護師をしていたという方が多いと思います)

ただ、現実的な問題も存在します。留学生が支払わなければならない看護科の授業料も高いです。年間250万~300万円の授業料がかかります(情報元>>オーストラリア留学センター)。医学部(年間300~400万円)に比べれば幾分安いのかもしれませんが、それでも多額な教育費です。

看護科を卒業しオーストラリアの永住権を取ったとしても、その後、現地の医学部に通うには、約100万円の学費と100万~200万円の生活費が毎年かかります。オーストラリア政府から経済的な援助を受けられることも確かですが、ある程度の経済的な余裕が無ければ、大変な道のりになると思います。

 

ぼくの場合は、日本で仕事をしながら、永住権を取得し、豪州医学部に合格しました。リーマンショックなどの影響で、永住権取得までに医学部に3回合格するという無駄な時間を使ってしまいましたが、医学部に必要なお金を貯めることが出来たので、それはそれで良しとしています。

 

ごとうひろみち著『豪州医学部受験必勝法』

 

ひろの最後の一言

 

今回の悩み相談は、あなたのお役に立てましたでしょうか?もしそうであれば、他の悩める受験生たちのためにもこのブログの存在を教えてあげてください。

もしオーストラリアの医学部受験を考えるのであれば、ぼくが展開している「日本人の英語をネイティブにする」コミュニティ iTELLian Academy過去の質問を紹介していますので、参考にしてみてください。無料登録すれば質問もできますよ。

それでは、オーストラリアで医者になったAさんに出会える日を心待ちにしています。

 

 

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ごとうひろみち
『高校中退⇒豪州で医者』をいつも読んでいただき誠にありがとうございます。著者・ごとうひろみちに興味を持ってくれたあなたのために、詳しい自己紹介を←ここでしていますので、どうぞご覧ください。

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