Tag: 4年生
オーストラリア医学部の最終学年が始まる前にやらなければいけないこと
オーストラリアの医学部は、大学院入学コースの場合、大体4年間で卒業することができる(4.5~5年の大学もある)。
ぼくは2017年に1年間の休学をしたものの、1年生,2年生,3年生と無事に進級を果たした。
過去の記事『オーストラリアの医学生が最終学年に受ける課目』でも触れたが、医学部の最終学年(つまり4年生)が始まる前に、Elective Placementというユニットをパスしなければいけない。Elective Placementは、学生が関心を寄せている国や病院、もしくはお医者さんに、学生が直接コンタクトを取り、そこで4週間の臨床研修をさせてもらう、かなりユニークな科目である。
詳しくは、過去の記事『オーストラリアの医学生が最終学年に受ける課目』を参照いただきたいが、ぼくは当初日本の京都大学もしくは慶応大学で臨床研修を行うことを考えていた。ところが、うちの大学と提携を結んでいないということで、時間切れでどちらの大学にも受け入れたもらえなかった。
医学部を1年間休学していたということもあり、ぼくはパースに急いでとんぼ返りし、大学近くにあるSir Charles Gairdner Hospital (SCGH)の神経科の門を叩いた。大学1年生の時にお世話になった Professor Graeme Hankey先生に会いに行こうと思っていたのだ(詳しくは過去の記事「オーストラリアの医学生が受ける一般内科の研修」を参照)。
残念ながら、Hankey先生は不在で、ぼくが Elective Placementを神経科でやろうと思っていることをその場にいたレジデント医師伝えると、Professor Allen Kermode先生にコンタクトするといい、とアドバイスをくれた。
Professor Allen Kermode先生は、輝かしい経歴をお持ちの神経(外)科医である(詳しい経歴はこちらをどうぞ)。先生は超忙しい方で、ぼくがメールで Elective Placementを先生のもとで行いたいと伝えると、「よろしい。12月4日の朝8時にSCGHの神経科の病棟に来なさい」という短い返事があった。
Elective Placementの成績は、合否の2択で、点数はつかない。落としたら、4年生に進級できないので侮ることはできない。成績の合否は、Professor Allen Kermode先生が次のマーキングシートを使って行うことになる。
この成績表を1年生の時からのメンター医師に持っていき、ぼく自身の医学臨床スキルがどう成長しているかを議論する。成長具合が満足いくものであれば、この書類にサインをいただいて、Urban Placementを無事パスすることができる。
これから始まる神経科の臨床研修に向けて、少しでも知識とスキルを身に付けるために、Crash Course: NeurologyとClinical...
オーストラリアの医学生が最終学年に受ける課目
オーストラリアの医学生が最終学年に受ける課目
「オーストラリアで温かい医者になる」という夢を実現するために入学した医学部もあと1年で卒業、というところまで来てしまった。
思えば、遠くを来たもんだ。高校を中退し、その後フラフラしながらも、なんとか腐らずに英語を続けてきて本当に良かったと思う。(ぼくのフラフラ歴はこちらをどうぞ)
2017年はもうひとつの夢「日本人の英語を変える」という夢に力を注ぐために医学部を1年間休学したが、2018年は医学部での最後の1年となる。留年しなければ、ぼくは「オーストラリの温かい医者」のスタートラインに立つことになるのだ。
1年生と2年生の時はパースのキャンパスと病院で勉強・研修をし、3年生のときは奨学金をもらいながらブルームで1年間勉強・研修させていただいた。3年間、自分の能力の無さに毎日泣いてしまいそうになりながらも、自分にできるだけのことは70%ぐらいやり遂げたきたつもりだ。2018年は、これを90%まで持って行きたいと思う(100%は試験前と試験中だけ)。
70%できるようになったら別のことをしてしまう軟弱なぼくがなぜ高みを目指すのか?
それは、医学部の最終学年がぼくにとって最後の大学生活になると思うからだ。大学時代ほどたくさんの時間と自由が与えてもらえる瞬間はない。そんな宝物のような時間を無駄にはしたくない。
よく考えてみると、今という時間が戻ってくることは、もう二度とない。フラフラしてきたぼくも、そろそろより良く生きることを目指してもいい人生の段階に入ったのかもしれない。
ちなみに、より良く生きるためのヒントとして、勉強量が膨大で臨床現場での経験も大きく成績に関わる医学部で学んだことがある。それは、準備を徹底するということだ。
準備に自分が持っている90%の精神と時間を使い、残りの10%をペーパーテストや臨床試験に使う。当たり前のことかもしれないが、準備の段階で結果は決まっている。戦う前から結果が決まっているのだ。やってみなければ分からないという精神も大事だが、困難な挑戦ほど徹底した準備が大切であることを、医学部で学ばさせた頂いた。(裏を返せば、徹底した準備が無くても上手く行くことは、たいした挑戦ではないということでもある)
それでは、医学部の最終学年の準備を徹底するために、医学部の最終学年に受ける5つの課目をここで確認しておこうと思う。
1)Elective Placement
2)Integrated Medical Practice 3 Part 1
3)Integrated Medical Practice 3 Part 2
4)Service Learning Unit 4
5)Preparation for Internship
⇓⇓次のページへどうぞ⇓⇓
1)Elective Placement
うちの医学部には、3年生と4年生の間に、学生が自分で選んだ病院に最低4週間研修する Elective Placement という課目がある。
最初は、南極のメディカルチームに参加して研修をしようと思っていたのだが、最低3ヶ月いないといけないと言われ、ぼくは「南極医学生物語」のプランを断念した。
南極のプランをあきらめると、ぼくは以前から興味を持っていた iPS細胞の臨床活用の知識と経験を深めるために、京都大学付属病院と慶応義塾大学病院にコンタクをとり、臨床研修をする計画を進めた。しかし、うちの医学部がこれらの大学と提携を持っていないということで、ぼくの申請書は拒否されてしまった。
ぼくはあきらめずにうちの大学に提携を申し込んでもらうようにお願いしたが、時間が間に合わずに結局日本の病院ではなく、パースの病院で研修することを決めた。(来年からは、うちの大学からも京都大学付属病院と慶応義塾大学病院に研修に行けるはずである。ぼくも医学界にほんのわずかながらも貢献できたのかもしれない)
南極のように海外の病院で研修をする場合は、International Elective Placement...
卒業して医者になった同級生からの、医学部最終学年を留年しないためのアドバイス
日本での1年間の休学も終わり、パースに戻ってきたぼくは、医学部の最終学年の準備を開始した。準備のなかでもぼくが一番大切だと思っているのが、卒業した人たちからのアドバイスである。
ここで紹介する動画には、ぼくが医学部の1年生の時にとても仲良くなったカールさんとダニエルさんが登場する。
今年、ふたりは医学部を無事に卒業し、来年からお医者さんのスタートラインに立つことになる。彼らはお医者さん、ぼくは医学生ですが、ぼくたちが友だちであることには変わりがないので、一足先に卒業していく彼らに医学部最終学年のアドバイスをもらいました。うちの大学(西オーストラリア大学)の医学部だけでなく、オーストラリアはもちろん、英語圏の医学部を卒業するためのコツに触れられていると思う。
動画の撮影を快く受け入れてくれたふたりに感謝。そして、勉強、勉強、勉強尽くしの4年間の医学部を乗り越えたふたり、本当におめでとう!!!卒業式の後の祝賀会が楽しみだ。
https://youtu.be/dEuZglUMX4I
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ごとうひろみちの紆余曲折の人生に興味のある方はこちらをどうぞ。
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オーストラリアの医学部を一年休学した後に卒業し、ぼくは現地の病院に就職した。現在は、医師3年目のペーペー Registrarをやっている。通常、オーストラリアで言うRegistrarは「専門医になるための訓練を受けている医師」を指すのだが、ぼくはいまService registrarという少し変わったポジションで働いている。Service registrarは、特定の専門のトレーニングプログラムに入っているわけではないが、病院側が働き手が一時的に足りていない分野に送り込むRegistrarのことを指す。オーストラリアの医師のハイラルキーに興味がある方は、過去記事『オーストラリアのインターン医師になったらやらなければならない6つのこと』をどうぞ。
インター医師よりも経験はあるが専門をまだ決めかねている医師は、このService registrarとして働くことが多い。そして、Service registrarとしてインターン医師よりは重い責任を負いながら、どの専門に進むかを考えている。どの専門に進むのかを決める要因は千差万別で、流行りの専門を選ぶ医師がいたかと思えば、朝の問診が嫌いだからという理由で救急医療を選ぶ医師がいたりする。色々な思惑と背景を持った医師がいる以上、これさえ押さえておけば専門医トレーニング選びに後悔しない、というものはない。
ちなみに、医学部に入ったときにこんなフローチャートが授業で出てきたが、あながち間違いではないような気がする。専門を迷われている方は参考にするといいかもしれない(が、あまり気にする必要もないと思う)。
オーストラリアのインターン医師は、大きく分けて外科、内科、救急、精神科のローテーションを通じて医師としての一般的なスキルを磨く。3年という限られたインターンシップの期間中に、すべての科を回ることは不可能である。あらかじめ「~科で働きたいなぁ」と思っている医師は、病院側にその科に優先的に回してもらうことをお願いする。また、「~科には興味がない」ということを病院側に伝え、それ以外の科に回してもらうこともできる。
ぼくは医師として以下のローテーションを回ってきた。
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