オーストラリアの国土はとても広く(日本の約22倍)、
隅々まで医療の手が及んでいるとは言えない。
へき地に住んでいる人たちの病気の疾患率や寿命は、
都市部に住む人たちに比べ
大幅に劣る(興味のある方は、こちらへ)。
同じ国にいるにもかかわらず、
生まれたところが違うだけで
国民の人生が変わってしまうのは
国の政策倫理に反するということで、
オーストラリア政府はあの手この手を使って、
医療の手をへき地まで伸ばそうと努力をしている。
うちの大学(西オーストラリア大学)と
ノートルダム大学の医学部には、
Rural Clinical Schoolという選択肢がある。
これも、へき地で働く医者の数を増やすための
国の政策のひとつである。
簡単に説明をすると、3年生
(つまり、最低限の科学の知識と臨床スキルを
修了した医学生)を
へき地の病院に送り込み、
1年間現地で生活と勉強をさせるプログラムである。
このプログラムの目的は大きく分けて二つある。
- 将来、へき地で医療に従事する医者を増やすこと
- 将来、へき地医療の現状を知っている医者を増やし、へき地医療改善の政策作りに取り組んでもらうこと
オーストラリアの医学部はすべて都市部にある。
そのため、大学を卒業して
自主的にへき地に向かう人の数がとても少ない。
そのような経緯もあり、
医学部の入学の条件に
BMP (Bonded Medical Place)や
MRBS (Medical Rural Bonded Scheme)などを設け、
へき地に向かう医者の数を
増やそうと国は努力をしている。
今回紹介するRural Clinical Schoolは、
BMPとMRBSと大きく異なる点がある。
まず、へき地に向かうのが、
卒業後ではなく在学中であること。
そして、BMPとMRBSに比べ、
へき地にいる期間が短いこと。
このふたつの点は、
「へき地医療に興味はあるが
現地生活が本当に自分にあっているのか
分からない学生」にとって、
将来へのとても良い判断材料となる。
(BMPとMRBSの学生は卒業後、
かならずへき地での医療に従事しなければならない。
最低、在学期間と同じ期間)
また、Rural Clinical Schoolへの
参加が自主的であることがとてもいい。
へき地に「行かされる」のと、
へき地に「乗り込む」のでは、
心構えが変わってくる
(やっていることはほぼ同じなのに、
心ひとつで見える光景が変わるのはとても興味深い)。
そして、なんといっても、
週110ドルのおこずかいが貰え、
家賃無料で生活ができるのだ
(生活は他の医学生と一軒家を
シェアするパターンが多い)。
引越し代や、
学期休み中のパースまでの移動費
まで出してくれる。
これは、お金の無い学生にとって、
魅力的な異性(ひとによっては同性)が
「ハイ」と笑顔で声をかけてくれた
ときぐらいの魔力がある。
現在、Rural Clinical Schoolを設けているのは、
以下の14箇所の町である。
西オーストラリア最大都市のパースから
日帰りできる場所もあるが、
大体がへき地と呼ばれるところに
Rural Clinical Schoolがおかれている。
Kalgoorlie (head quarter), Albany, Broome, Bunbury, Busselton, Carnavon, Derby, Esperance, Geraldton, Karratha, Kununurra, Narrogin, Northam, Port Hedland
申請は、自分の個人情報と、
なぜRural Clinical Schoolに
参加したいのかを500words程度にまとめ、
担当者にメールする。
今日(2015年2月25日)が
申請の締め切り日だったが、
2次面接審査は3月の終わりにおこなわれる。
面接内容は次回報告したい。