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オーストラリアの医師インターンシップを振り返る(パート1:一般内科編)
ぼくは「オーストラリアで温かい医者になる」という夢を持っている。ぼくはその夢を叶えるべく、オーストラリアの医学部を卒業し、インターン医師として働いている。
オーストラリアのインターン医師がやることは、研修先の専門のうんぬんにかかわらず、大体同じような仕事をこなす。このことは過去記事『オーストラリアのインターン医師になったらやらなければならない6つのこと』に触れたので、詳しいこと知りたい方はこちらを読んでみてください。
ぼくのオーストラリアにおける医師インターンシップは、次の4つのローテーションから構成されている。
一般内科 (General Medicine)(この記事)
移植外科 (Transplant Surgery)(リンク)
救急医療 (Emergency Medicine)(リンク)
急性疾患医療 (Medical Assessment Unit)(リンク)
医者という仕事上、患者さんや医療関係者のプライバシーを保護することが最重要事項となる。そのため、ぼくがインターン医師として経験した笑いあり涙ありのヒューマンドラマをブログで一般公開するわけにはいかない。それでも、ドラマの端々を恣意的に加工してプライバシーを保護することで、ぼくの記憶の中に残っている「インターン医師のレッスン」を皆様とシェアすることは可能かと思う。
それでは、ぼくがオーストラリアのインターン医師として経験した「一般内科のレッスン」をお話ししよう。
76歳の誕生日を迎えたばかりのAさんはベッドの上で泣いていた。
ぼくがAさんに初めて会ったのは、朝の回診の時だ。
インターン医師はふつう、先輩医師と一緒に朝の回診を行う。一般内科の回診の目的は、患者さんの診断の確認、様態の変化の確認、お薬の変更、医療関連専門家の必要性の確認(理学療法士、作業療法士、言語療法士栄養士、社会福祉士)、退院予定の確認、などである。
Aさんが泣いていた原因は、背中の痛みだ。
Aさん曰く、背中が痛み始めたのは3年前で、台所に置いてあったマットで足を滑らせて転倒してからだという。かかりつけの総合医が行ったX線検査によると、老化による骨関節炎が所々にみられるだけで、骨折は無かった。
背中が痛み始めたころは、パナドールやイブプロフェンなどの鎮痛剤を定期的に使って痛みをコントロールしていた。しかし、ここ1年の間に痛みがひどくなり、鎮痛剤も効かなくなっていた。さらに、痛みに加えて、筋肉の硬直が始まり、体が思うように動かなくなっていた。
背中の痛みは、Aさんがジッとしていようが動いていようが、常にあった。夜中に眠っていたとしても、背中の痛みと硬直で突然起こされることがほぼ毎日のようにあった。
Aさんの背中の痛みと硬直の辛さは、「足がつる状態(こむら返り)」が自分の背中に頻繁に起きていることを想像すれば理解しやすいと思う。
出典:ゴロ−@解剖生理イラスト
Aさんがハリウッド私立病院に入院していた理由は、背中の痛みと硬直を治療する Rizhotomy(脊椎椎間関節突起神経根切断術)と呼ばれる神経外科手術を受けるためである。手術の詳しい内容はwikipediaと下の動画をどうぞ。
Rizhotomy(脊椎椎間関節突起神経根切断術)は、動画を見ていただくとわかるように、根本的な治療ではない。治療のおかげで痛みと硬直が緩和されるのは、長くても18か月ぐらいである。
https://www.youtube.com/watch?v=epH0hzAyrf4
AさんのRizhotomy(脊椎椎間関節突起神経根切断術)は、翌日を予定していた。それまでの待ち時間の間、Aさんの背中の痛みと硬直を緩和する必要があった。
朝の回診中、ぼくは患者さんのお薬リストを見て、先輩医師に「この鎮痛薬とこの鎮痛薬の量を増やして、症状の緩和を試みてもいいですか?」と尋ねた。先輩医師は一言「Why not?」と言った。
翌日、朝の回診で再会した時、Aさんは泣いていなかった。Aさんは目をつぶっていて、ゆったりと夢の中を楽しんでいるように見えた。
ぼくは「Aさん、お早うございます。起こしてしまいすみません。」と声をかける。反応が無い。もっと大きい声で同じことを言う。反応が無い。ぼくは、同じぐらい大きな声を出しながら、Aさんの右肩をゆすった。Aさんが聞き取れない小さな声で何かを言う。Aさんの瞼は、かすかに動くだけで、その下にある青い目を見ることはできなかった。
ぼくは、患者さんノートを見直す。Aさんがウトウトするようになったのは、鎮痛剤の量を増やした前日からである。看護師さんが「痛みは軽減したが、Aさんの意識が朦朧とするようになり、これまでのような会話ができず、夕食も食べなかった」とノートに書き記していた。
インターン医師として働き始めたばかりのぼくは、「患者さんの痛みの緩和」のためのお薬が「意識朦朧状態」を引き起こしたことに罪悪感を強く感じた。もちろん、医学部でお薬の副作用を勉強するのでこのことは頭の中に入っている。しかし、薬の副作用が目の前の患者さんに実際に起きてしまうと、体験したものだけしかわからない感情が医師の中に生まれる。
ぼくは、一緒に回診をしていた先輩医師に「昨日増やした鎮痛薬が原因ですね。どれぐらい減らしますか」と聞いた。先輩医師は一言「Why not between the last and the current dose?」と言った。
ぼくは、朝に予定されていた鎮痛薬を投与しないことを看護師に伝え、看護師ノートに書かれている薬の量を増加前と増加後の間の量に書き替えた。
当日予定されていた...
オーストラリアのインターン医師になったらやらなければならない6つのこと
ぼくは「オーストラリアで温かい医者になる」という夢を持っている。
ぼくがこの夢を持つまでに約30年ぐらいの時間が人生で経過している。そう、「医者になる」という夢を持ったのはつい最近のことなのだ。過去記事「ぼくが医者を目指すことにした2つのきっかけ」
ぼくは、日本の高校の授業についていけずに1か月ぐらいで高校中退した。そのあと、オーストラリアの語学学校に英語留学をし、オーストラリアとアメリカで大学受験・合格した。「アピールする」ことが苦手なぼくは、芝生の上でゴロゴロしながら勉強できるオーストラリアの大学で神経科学と遺伝学を専攻した。
大学卒業後、日本に帰って大阪市立大学と理化学研究所で研究の仕事をした。サイエンティストとして楽しく働きながらも、「芝生でゴロゴロ」が忘れられず、オーストラリアの医学部を3回受験(&3回合格)し、永住権も自力で取得した。医学部の勉強が始まる直前は、世界のへそとも呼ばれるエアーズロック(現地名ウルル)でツアーガイドとして働いたりもした。
https://www.youtube.com/watch?v=CQ_YIduECOo
オーストラリアの医学部(1年、2年、3年、休学、4年)はとても大変で、これまで勉強したことないぐらい勉強をしていたことを覚えている。それでも、All work but no play makes Jack a dull boy. という先人の知恵を忘れずに、できるだけビーチや芝生の上でゴロゴロすることを心掛けていた。
https://www.youtube.com/watch?v=jeOevu4zC5o
卒業ぎりぎりの成績ではあったが、卒業することが目的だったぼくは、無事に目標達成し、晴れて「オーストラリアで温かい医者になる」という夢のスタートラインに立つことができた。そして、西オーストラリアの病院に就職したぼくは、インターン医師として走り始めた。
西オーストラリア州のインターンシップは3年契約で、1年目は Internというポジションを与えられ、2・3年目は Residentというポジションを与えられる。通常、3年間のインターンシップを終えると、自分が興味を持っている専門分野のトレーニング・プログラムに願書を出して、ほかの医師との競争を勝ち抜いて、その専門分野のRegistrarというポジションを得る。そこから5年ぐらいの研修を終えて試験にパスすると、Fellowとなって、最後に Consultantというポジションに就く。
出典:ama.com.au
自分が興味を持っている専門分野がはっきりしている場合は、1年目のインターンシップを終えた時点で、専門分野のトレーニング・プログラムに願書を出して、選考に勝ち残ればRegistrarになることもできる。(お医者さん同士が競争するんですよ。すごい状況ですよね)
どの分野に進むかまだ決まっていない医師は、3年間のインターンシップのなかで様々な分野のローテーションを経験し、自分の方向性を定めてゆく。
ぼくが1年目のインターンシップで研修を行ったのは、一般内科、移植外科、救急医療、急性疾患医療、そして整形外科である。医者という仕事上、患者さんや医療関係者のプライバシーの保護が最重要項目となる。そのため、ぼくが経験した笑いあり涙ありのヒューマンドラマをブログで公開することはできない。ただ、ぼくがインターン医師としてどんな一日を過ごしているのかを説明することで、これからオーストラリアでインターン医師になる人の心の準備にはなればと願っている。
ぼくが医者としての初めて働き始めたのは、ハリウッド私立病院の一般内科だった。
出典:nspm.com.au
毎朝6時ごろ起床し、ベッドからノソノソと出て、ドライフルーツがたくさん入ったシリアルに牛乳をなみなみ注いで、イングリッシュ・ブレックファーストの紅茶と一緒にいただく。出勤直前にバナナも一本平らげて、汗をかいてもいいようにスポーツウェアに着替えたぼくは、スワン川のほとりを自転車で30分ぐらい走らせる。波風の影響で、風を真正面から受けて体が鉛のように重く感じる時もあれば、背中に追い風の力を感じて翼がついているかのように自転車を飛ばすこともあった。
毎日、仮装されているエリザの銅像に「おはよう」と言い、
インスタ映えする写真を撮ろうと朝早くからボート小屋に来ている旅行客の横を颯爽と自転車で走り抜け、病院へ向かった。
朝7時頃に病院に到着し、セキュリティロックがかかった病院関係者専用の自転車置き場に自転車を置く。そのあと、病院内でシャワーを浴び仕事着に着替えて、病棟に向かう。
大体の病棟には医者専用の仕事部屋が用意されている。その部屋に置かれているコンピューターから、自分の上司のお医者さん(Consultantと呼ばれる)が担当している患者さんのリストを印刷する。
患者さんのリストをプリントするのは、毎朝の回診を終えた後に、やらなければいけない仕事を患者さんごとに書いておくためだ。例えば、心不全の患者さんのために心エコーの検査を予約したり、敗血症の患者さんの薬物治療のために感染症学のお医者さんのアドバイスを求めたり、などなどやることはたくさんある。
インターンはやることは多いが、大体は6つの項目に集約される。
(1)先輩のお医者さんと回診を行い、その記録を患者さんのノートに書き込む
(2)既存の薬の量や頻度を変えたり、新しい薬を投薬したり、薬を中止したりする
(3)X線、CTやMRI、血液の検査などを手配する(結果が出たら上司に報告する)
(4)専門のお医者さんにアドバイスを求める
(5)カニューレの取り換え、尿道カテーテルの取り換え、血液採取などの作業
(6)退院要約(Discharge summary)と退院後用薬物処方
(1)先輩のお医者さんと回診を行い、その記録を患者さんのノートに書き込む
朝一に行われる回診はとても忙しい。インターン医師はまず、患者さんの医療記録ノートを集めておかなければいけない。医療記録ノートは担当医師だけでなく、看護師、理学療法士、薬剤師、作業療法士、ソーシャルワーカー、栄養士、そして他の医療チームの医師が記録をつける。そのため、医療記録ノートが決められた棚に置かれていることがまずない。インターン医師の仕事の50%ぐらいは、このノートを探し当てることに費やされる。
先輩医師が到着する前にノートを集め、患者さんのリストをプリントしておく。そして、前日もしくは当日の検査結果(特に血液検査とイメージング検査)をプリントに書いておく。インターンシップ初期は、すべての検査結果を記録しようとするが、ある程度訓練を積んでいくと、患者さんが入院している原因に関連したものがわかるようになり、それだけを記録するようになる。また、前日までにほかの医療関係者が書き残していることを確認する。
先輩医師が到着すると、患者さんのノートを荷台に積んで、患者さんのもとへ回診に行く。回診で行われることは、(1)患者さんの様態を確認、(2)観察ノートに記録されているバイタルサイン、尿便、血糖値、体重の確認、(3)患者さんのお薬の確認、(4)患者さんの質問に答える、(5)担当看護師にプランを伝える、ことである。
ちなみに、ほとんどのインターン医師は、上記のことをSOAPという頭文字であらわされるヘディングに基づいて、患者さんノートに回診記録をつける。
出典:wikihow.com
なぜだかわからないが、医師の手書きは汚い。医療関係者のなかでもダントツだ。というか、全く読めないことが多い。解読不能の医師の手書きのせいで医療ミスが起きることもあることはよく知られているが、医師の手書きを読めるように訓練するプログラムを提供する病院はいまのところ世界中のどこにもない。
(2)既存の薬の量や頻度を変えたり、新しい薬を投薬したり、薬を中止したりする
つい最近まで責任がゼロに近かった医学生だった自分がインターン医師になって責任を痛感するようになるのが、投薬・止薬・用量増減の瞬間だ。とくに、一般内科に入院してくる患者さんはたくさんの薬を処方されている。そのため、薬同士の作用などによって、副作用などが現れることがある。
インターン医師は必ず、「医学的理由があって投薬された薬を止めて(減らして、増やして)いいのだろうか?」「これまで投薬されたことがない薬を開始できるほど、この患者さんのことを理解しているのだろうか?」と自問する。この自問こそが医者を育て上げるのだが、最初のうちはどんな小さな決断であっても「この決断でいいのだろうか?」という迷いが頭の中をぐるぐる巡っている。
出典:firstaideforlife.org.uk
インターン医師は早いうちに「すべての問題を解決する必要はない」ということを理解しなければいけない。医師になりたてホヤホヤの時は、法外な期待を自分に課すことが多い。根拠のないプライドなんだろうが、そんなものは捨てて、先輩医師に聞いたり、薬剤師にアドバイスを求めたり、実際に投薬する看護師の意見を聞くことが大事になる。また、薬物ガイドラインなどを調べて「どうすることがいいのか」という答えを自分で導き出す作業が、医者としての成長を促進してくれる。
(3)X線、CTやMRI、血液の検査などを手配する(結果が出たら上司に報告する)
回診が終わると、患者さんの様態によって追加検査が必要になることがある。血液検査は、緊急な場合を除いて、Phlebotomist(採血師)に依頼できる。 大体の病院は、1日2回(午前中と午後)に採血を行っている。依頼時間が遅いと採血してもらえないので、回診が終わったらすぐに予約しなければならない。どんな血液検査が必要なのかも明記しなければならない。
イメージング検査の場合、単純なX線検査であればインターン医師が依頼書に記入し検査を予約することできる。しかし、CTやMRI検査の場合は、放射線医師になぜその検査必要なのかを説明しなければいけない。最初のうちは、検査の必要性をうまく説明できずに、検査が拒否されることもある。そうなると、先輩医師に「すみません。検査が拒否されてしまいました。再度、検査が必要な理由を詳しく教えてください」と言わなければならない。
放射線医師と議論し検査を納得させるプロセスは、とても緊張するが、患者さんのことを理解し、その試験が治療に必要であることをロジカルに説明する訓練になるので、インター医師にとってとても大事である。
出典:macmillan.org.uk
(4)専門のお医者さんにアドバイスを求める
患者さんの様態や併存疾患などによっては、一般内科以外の専門医師にアドバイスを求めること(Referralと呼ばれる)がある。簡単なケースは、がん患者さんが一般内科に入院してきた場合、がんの治療を担当してい腫瘍医に患者さんが入院していることを連絡するときである。そのほかにも、敗血症で入院しているのだがまだ原因となる細菌がわからない場合、感染症学医にアドバイスを求めたりする。
ぼくはこの Referralというプロセスがとても緊張する。患者さんの病状、過去の病歴、既存投薬、などなど様々なことを理解し、そのうえでなぜ専門医のアドバイスが必要なのかを説明しなければいけない。うまく説明ができず苦し紛れに「先輩医師がアドバイスを求めろと言ったから」と電話越しに言って、雷を落とされたこともある。
ぼくはふつうは、患者さんの医療記録ノート、看護師ノート、医療検査の結果、過去の退院要約などを目の前に用意し、どうやって説得するかを頭の中で練習し、深呼吸をひとつして、専門医師に電話する。このプロセスも、医学的な理解を深めるうえでとても有益な訓練である。
出典:cartoonstock.com
(5)カニューレの取り換え、尿道カテーテルの取り換え、血液採取などの作業
カニューレは基本的に72時間ごとに交換しなければならない。そのため、72時間以上の静脈投薬が必要な時は、カニューレを交換しなければならない。医学生がそばにいるときは、「カニューレは自信があるかい?」と尋ね、Yesであれば、お願いをする。Noであれば、インターン医師になるまでに自信をつけておかなければいけないと言って、カニューレをお願いする。最初のうちは監督しなければいけないが、しっかりとしたテクニックを持っている場合は「カニューレ入れといて」と任せることができる。
https://www.youtube.com/watch?v=-t1SCZMO0Gc
尿が出ない患者さんに、尿道カテーテルを挿管したりする。病原菌が膀胱に侵入する原因になるので、しっかり準備し、無菌技術に細心の注意を払わなければならない。
https://www.youtube.com/watch?v=L7lIIYArTX4
採血師に依頼できないときは、自分で採血する。カニューレの時みたいに、医学生にお任せすることもできる。血液が凝結して検査できないこともあるので、最初は監督しなければいけない。
https://www.youtube.com/watch?v=_8ZsqXFqvQM
(6)退院要約(Discharge summary)と退院後用薬物処方
患者さんが退院するにあたって、インターンは退院要約とお薬処方をしなければならない。
退院要約(Discharge Summary)には、入院理由となる第一診断、治療の内容、合併症とその治療、お薬の変更、アレルギー、そのほか社会的な問題、退院後のプランなどを明記する。退院要約を書くのには3つの理由がある。まず、病院で何が行われたかの医学的な記録。2つ目に、患者さんが病院で何が行われたかを理解し、退院後に何をしなければいけないかを明らかにすること。3つ目に、患者さんの総合医(General Practitioner)が入院中にどんな治療と検査が行われ、退院後に何をしなければいけないかを明らかにすること。
オーストラリアは、患者さんの治療に総合医が非常に大事な役割を果たす。手術後の抜糸であったり、お薬の微調整、病院でおこわなれた検査の結果の確認など、様々なことを任される。総合医は患者さんの人生を診ることになるので、患者さんのことを逐一理解しておく必要があるのだ。
退院要約の中にも明記されているように、お薬に変更がある場合(新規、中止、増減)、病院の薬剤師に確認をしてもらい、新規の薬を処方してもらわなければいけない。お薬によっては、PBS Authorityに電話して、認可をもらわなければいけない。初めて電話した時はとても緊張したことを覚えている。Ciprofloxacinだったと思う。
(7)オーストラリアで医者になるあなたへメッセージ
インターン医師として働き始めたぼくは、この動画のような気分だった。
https://www.youtube.com/watch?v=XhJbvlD5D-g
どんな仕事でもそうだが、慣れるまでは「この仕事は自分に向いていないんじゃないか?」と悩んでしまう。それでいい。でも、これだけは覚えていてほしい。医者として働くことは、医学部で勉強しているときよりも何百倍も楽しい。責任があるから頭をフル回転させようと努力するし、なにより「あなたの患者」と向き合うために自分という殻をぶち破り成長せざるをえなくなる。成長は楽しい。成長ジャンキーになることができたら、医者は本当に素晴らしい仕事だと思える。成長を楽しんでほしい。
【インターン医師】オーストラリアの病院からインターン医師のオファーが来た
オーストラリアの医学部に通っているぼくだが、過去数回のわたりオーストラリアでインターン医師になる過程を記事を書いてきた。
『【インターン医師】つ、ついに、申請の瞬間が訪れた』
『【インターン医師】申請方法の全貌』
『【インターン医師】オーストラリアのインターン医師の給料はいくら?』
『【インターン医師】実際のオンライン申請をお見せします』
申請そのものは終わってしまったのだが、ぼくがオーストラリアで医者になるにはまず医学部を卒業しなければならない。医学部の最終学年は色々と忙しいが、それでも卒業に向けてぼくに大きな活力を与えてくれる嬉しいニュースが舞い込んできたので、ここでシェアしようと思う。
そう、記事のタイトルにあるように、ぼくをインターン医師として雇ってくれる病院が決まったんです!
以下、インターン医師のオファーのメール2通と、オファーを受け入れる過程。
(1)オファープールに入っているとのメール
Dear Mr HIROMICHI GOTO,
THIS IS NOT A JOB OFFER.
You have been appointed to the suitable recruitment pool for 2019 WA Intern.
Appointment to the pool does not guarantee...
【インターン医師】実際のオンライン申請をお見せします
過去の記事『【インターン医師申請】申請方法の全貌』にて、オーストラリアの西オーストラリア州におけるインターン医師申請に必要な書類などを説明した。
今回の記事は、ぼくが西オーストラリア州のインターン医師に、実際オンライン申請してゆく過程をあなたと共有しようと思う。
まずは、西オーストラリア州のインターン医師申請を行える、MedJobsWA に Login する(登録 Register は無料)。
ログインしたら、インターン医師募集のページに入る。
インターン医師募集ページの一番下にある、Apply Now をクリックすれば、オンライン申請が開始される。
申請内容を確認してくださいのメッセージが表示される。次へ。
① Personal & Contact Details
インターン医師のオンライン申請は、9つのステップからなっている。最初は、個人情報の入力。
電話番号を入力し、登録しているメールアドレスに申請の情報が届くことを確認する。
② Address Details
申請者の住所を記入する。郵便受け取りの住所が異なる場合は、郵便専用住所を記入する。
ちなみに、上の写真の Save and Exit を押すと、申請内容が保存される。実際に申請しているわけではないので、締め切りの期日が来るまで、何度でも変更することが出来る。申請を再開する場合は、Profile の中にある Application History をクリックすれば、あなたが行っている申請ページにアクセスすることが出来る。
③ Eligibility Questions
住所などを記入した後は、あなたにインターン医師への資格があるかどうかの確認が行われる。
④ Employment...
【インターン医師】オーストラリアのインターン医師の給料はいくら?
えー、下世話な話ですが、とても大事な話をします。それは、お金です。
前回の記事で、オーストラリアでインターン医師になるための応募方法を読んだ読者から「インターン医師の給料はいくらですか?」という質問があったので、隠さずお答えします。
オーストラリアのインターン医師は公募であるため、給料が公開されています(現在の正確な年俸を知りたい方は、こちらのサイトから WA intern で検索すると最新の情報が出てきます)。オーストラリアの州によって給料は変動しますが、今年の西オーストラリアのインターン医師の年俸は $77,319 (税抜き前)です。これプラス、$5,742 ぐらいの引っ越し費用などが追加されるので、合計で$83,061 になると思います。
つまり、月給は$7,000弱になります。週80時間働いたとして、月に約350時間。時給にすると、20ドル弱です。
スーパーマーケット・コールズの荷物運びの友人が時給25ドルと言っていたので、インターン医師の給料は決して高いわけではありません。
・・・
お金の話から逸れますが、それ以上に大事なことに触れます。オーストラリアでインターン医師になる人は、絶対に忘れてはいけないことです。
それは、インターンの1年を失敗すると、医師としての道が閉ざされるということです。それも永遠に。
医学部であれば留年しても次の年に頑張れば、進級または卒業することが出来ます。つまり、セカンドチャンスが残されているわけです。しかし、インターン医師は、インターン修了の条件をクリアできないと、医師として次のステップに進むことができません。
過去の記事「【医学部卒業後のインターンシップ申請】申請方法の全貌」でも触れましたが、インターン医師に2回なることは出来ません。つまり、インターン医師として失敗してしまった人は、医者としての就職先を失ってしまうということです。
コネがある人はどうにかなるのかもしれませんが、オーストラリアの医者の仕事は公募で選ばれるため、インターン医師として失敗した人は裏口のルートでしか医者の仕事を続けることが出来なくなってしまいます。よって、ほとんどの人にとって、インターン医師は、ファーストチャンスであると同時にラストチャンスなのです。
おぉ、ハイリスク、インターン。
それでもインターン医師になって、ぼくの夢である「温かい医者になる」を実現するために必要なことをやり続けていきますので、影からこそっと応援していただけたら嬉しいです。
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インター医師よりも経験はあるが専門をまだ決めかねている医師は、このService registrarとして働くことが多い。そして、Service registrarとしてインターン医師よりは重い責任を負いながら、どの専門に進むかを考えている。どの専門に進むのかを決める要因は千差万別で、流行りの専門を選ぶ医師がいたかと思えば、朝の問診が嫌いだからという理由で救急医療を選ぶ医師がいたりする。色々な思惑と背景を持った医師がいる以上、これさえ押さえておけば専門医トレーニング選びに後悔しない、というものはない。
ちなみに、医学部に入ったときにこんなフローチャートが授業で出てきたが、あながち間違いではないような気がする。専門を迷われている方は参考にするといいかもしれない(が、あまり気にする必要もないと思う)。
オーストラリアのインターン医師は、大きく分けて外科、内科、救急、精神科のローテーションを通じて医師としての一般的なスキルを磨く。3年という限られたインターンシップの期間中に、すべての科を回ることは不可能である。あらかじめ「~科で働きたいなぁ」と思っている医師は、病院側にその科に優先的に回してもらうことをお願いする。また、「~科には興味がない」ということを病院側に伝え、それ以外の科に回してもらうこともできる。
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