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オーストラリアの確定申告(Tax return)を全部自分でする方法

  確定申告は、日本で働いているときから自分で行っていた。「確定申告」という固い言葉の意味が理解できず、税金がらみのことなので「めちゃくちゃ面倒くせぇ」と思いながら、嫌々やっていたことを憶えている。 しかし、オーストラリアに来てから確定申告の見方がポジティブに変わった。なぜかと言うと、確定申告が Tax returnであることが分かったからだ。Tax return。つまり、「税金返せ!(return my tax!)」という申請書なのだ(正確には、対象となる税金控除を示して税金を減らすという作業)。日本も、確定申告という固い言葉ではなく、「税金返還」に名前を変えればいいと思う。 しかも、オーストラリアの確定申告は、すべての作業をオンラインで完結することができる。役所の様々な書類の記入、ハンコの手続きなど、面倒な作業が多すぎる日本とは違い、一度やり方を憶えてしまえば、オーストラリアの確定申告は、自分で全部できるようになる。 今回は、オーストラリアで確定申告を自分でやってみようと考えている人のために、Tax returunの全貌を紹介することにした。   ステップ(1):myGovに登録する   オーストラリア政府の厚生サービス(Centrelink、Medicare、Childsupportなど)を受ける最良の方法は、myGovのアプリを使うことである。自分のTax File Numberなどを使ってアプリに登録することができる。詳しくは、自著「豪州永住権の手引き」を参照いただきたい。 お金を払うほどの情報じゃないなぁ、という方にはこちらでアマゾン書籍を無料プレゼントしていますのでどうぞ。   ステップ(2):ATO(Australian Tax Office)とmyGovをリンクする まずは、myGovにログインする。 一番上のServicesをクリックして、   リンクできるサービスを選択する。(ぼくはすでにAustralian Tax Officeのサービスにリンクしているので表示されていません。リンクしていない人は Australian Tax Officeをクリックする)   ここでは、Child Supportを例として使っていますが、Australian Tax Officeにリンクするには、Tax File Numberが必要となります。それ以外は、大きな違いはありません。   リンクしたら、Your Servicesに表示されているAustralian Tax Officeをクリックする。   そして、Manage...

オーストラリアの日(Australia Day)

  毎年1月26日は、オーストラリアの日(Australia Day)。祝日だ。多様性を祝う日なので、色んな人たちが参加できる。   Wikipediaによると、 オーストラリアの日 (英語: Australia Day)は、毎年1月26日に祝われる国民の祝日である。Anniversary DayやFoundation Day、若しくはANA Dayとも呼ばれる。 1788年1月26日に植民を目的としたイギリスの艦隊がシドニー・コーブに到着した事に因んで定められた。数十年間は認知されていなかったが、1818年にニューサウスウェールズ州の知事ラックラン・マッコーリーが祭典を開いた事で定着した。1994年には全土で祭典が開かれる様になり、音楽演奏会も行われ、首相の声明文も読まれる。現在では広く支持されているものの、アボリジニやその擁護者達からは批判的な声も聞かれる。 https://www.youtube.com/watch?v=G8czHlPYXew   詳しく知りたい方は、英語版のWikipediaをどうぞ。 オーストラリアデーのイベント管理会社のページもある。   日本の祭りもそうだが、ほとんどの祭りには「悲劇」が起源にある。 だが、時間が流れるとともに、悲しみを知る人が死んでいき、祭りの高揚だけが後世に残される。 そうやって、「圧制者の歴史」は正当化され、「被圧制者の歴史」は消えていく。 そして、当たり前のように、歴史は繰り返されるのだ。   歴史が繰り返される中で、ぼくは友人たちと一緒にスワン川で花火を眺めた。   https://youtu.be/adXgldnQ6rM  

【ついに決着】オーストラリア政府の学生補助金Austudyの申請を拒否されたら

  オーストラリアの大学生(海外留学生は除く)は、Austudyと呼ばれる金銭的補助を政府から受けることが出来る。詳しい条件などはこちらをどうぞ。   ぼくは、2014年から西オーストラリア大学の医学部(大学院コース)に入学し、Austudyを受け取りながら、貧乏医学生として生活を続けていた。2017年には、もうひとつの夢である「日本人の英語を変える」ために、医学部を1年休学した。もちろん、その間は Austudyの受給は一時中断していた。(休学中に受取中断をしておかないと、不正受給者として国から訴えられるので気を付けておこう。)   日本での「日本人の英語を変える運動」を全力で頑張った後、ぼくは2017年の12月から医学部に復学した(神経内科研修編)。そして、復学に伴い、Austudyを再開する申請を行ったことを、これまでのブログ記事で触れてきた。長い戦いだったが、これまでの Austudy再開についてのドタバタを簡単に説明しておくと、次のようになる。   (1)Austudyの1回目の申請は、申請期間外(最大で学校が開始される13か月以内)ということで却下される。Austudyの1回目の再申請は11月に行ったもので、医学部が再開された12月まで4週間しかない。ゆえに、申請却下理由は不当である。そこで、再審査を求め、1回目の Appeal を行う。(詳しい内容は過去記事『オーストラリア政府の学生補助金Austudyの申請が拒否されたら』) (2)1回目の Appeal の後、再度 Austudy の審査が行われ、預金残高が約1万ドル以上あることを理由に、支払いは2018年の3月以降になることが決まった。しかし、医学部の授業料は、年間約1万ドルである。しかも、学校が始まったのは、2017年の12月だ。生活費がままならない状態で、どうやって医学部を卒業しろと言うのか?ぼくはこの決定に不服を申し立て、2度目の Appeal を行った。(詳しい内容は過去記事『【続】オーストラリア政府の学生補助金Austudyの申請が拒否されたら』) (3)2回目の Appeal の審査を行うものの、審査そのものが3月にならないと始まらないというとんでもない状況に直面する。これはつまり、郵便局に速達物の受け取りを早くしてもらいたいとお願いすると、「わかりました。従来の受取日に荷物が届いたら、手続きを始めましょう」と言われているのと同じことである。(詳しい内容は過去記事『【続続】オーストラリア政府の学生補助金Austudyの申請が拒否されたら』)   そして、3月21日。Austudy再審査はついに行われた。     【ついに決着】オーストラリア政府の学生補助金Austudyの申請を拒否されたら   そして、3月21日。Austudy再審査はついに行われた。   結果は、オーストラリア政府のCentrelinkが落ち度を認め、2017年11月から2018年3月までの支給額を支払うことで決着となった。     ほとんどの人は、オーストラリア政府の決断に不服を申し立てない。ぼくは税金という義務を果たしている以上、政府補助金という権利を放棄しなかった。そして、なによりも、ぼくは初めから、オーストラリア政府の不実な決断ととことん戦うことを決めていた。   おそらくどこの国でも同じなのだろうが、政府機関の人間というのは、ひとりの学生が補助金を受け取れずに医学部を中退したとしても、それによって良心を痛めるようなことはない。所詮は、ごまんといる補助金申請者のなかの「アンラッキーなひとり」でしかないのだ。   彼らが認識しなければならないことは、彼らのずさんな審査と決断がその「アンラッキーなひとり」の人生を台無しにしているということである。しかし、そんなことは彼らの頭には全く思い浮かばない。   だから、ぼくは戦ったのだ。国はあなたのために戦う、という妄想はぼくにはなかった。ぼくにあったのは、政府の人間も所詮は人、9割は自己の利益のみを考えながら生きている。自分の許容範囲を超えて、ほかの人のために時間と労力を使う人物はなかなかいない。だから、政府とのやり取りにおいて憶えておかないといけないことは、自分の権利を守るべき存在は自分自身、ということだ。それが、社会・歴史の勉強、そして実体験をを通じて学んだことである。    

打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?

  ぼくはいま、オーストラリアの医学生として Fiona Stanley Hospital の腫瘍科で臨床研修をしている。   臨床研修以外にも、2016年にへき地ブルームで行った Service Learning の研究結果を論文にまとめる作業をしている。   https://www.youtube.com/watch?v=WHGng8yVQFc   色々忙しいが、息抜きも忘れてはいない。というか、息抜きばかりしている。   ほぼ毎日、夕方になると、ジムに行ってたるんだ体に鞭を打ち、沈んでいく太陽を眺めながらジョギングをしている。運が良ければ、カンガルーに会って、挨拶したりする。   https://www.youtube.com/watch?v=34TwI4U5JKs   最近、ジムとジョギング以外に、ぼくがハマっている物がある。   それは、「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」である。   もともと中編映画だった「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」が、最近アニメ化されている。アニメ版をまだ見ていませんが、アニメに使われている主題歌がいいですね。   https://www.youtube.com/watch?v=-tKVN2mAKRI   映画版「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」はとても素晴らしいです。自分の少年時代の淡くてほろ苦い恋心を思い出させてくれます。見返すたびに、作者の意図が再発見できる作品になっています。   ちなみに、ぼくが映画版「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」を知ったきっかけは、ケツメイシの「そばにいて」という楽曲のMVだ。MVに使われているのが、映画「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」なのだ。いい曲だし、いいMVですね。   https://www.youtube.com/watch?v=pIkMToWbWio   日本に帰ったときは、小説版「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」も読んでみようと思います。   アニメ版を観たい方は、こちらからどうぞ。   アニメのサウンドトラックは、こちら。   映画版のサウンドトラックも、素晴らしいです。Forever friends~~.    

【続続】オーストラリア政府の学生補助金Austudyの申請を拒否されたら

  これまで2回の記事(1回目、2回目)にわたり、オーストラリア政府の学生補助金 Austudy の認可が遅れに遅れていることを書いてきた。   これまで、2度の Appeal を行うだけでなく、Centrelinkの対応に対する苦情も出してPriority Groupに入れてもらったのでもう大丈夫だろう、と思っていた。   しかし、Centrelinkからの連絡がない。1か月以上もない。医学部はとうに開始されていて、ぼくは学生補助金が全く無い状態で、毎日着実に減っていく銀行口座の残高に怯えながら生活を続けている。   幸い、こんな状況のぼくを哀れに思ったホストファミリーが、 (1)ぼくがお金を借りることを大嫌いであること (2)これまでに借りたお金は尋常ではないスピードで返してきたこと (3)遅かれ早かれ Centrelink の補助金が認可されること を理由に、お金を貸してくれている。   それでも、ホストファミリーにお金をいち早く返済しようと思っているぼくは、再度 Centrelink に電話をして、Appealがどうなっているのかを尋ねた。   すると、とんでもない返事が戻ってきた。   とんでもない返事とは・・・   認可された Austudy の Appeal審査は、 そのAustudyの支払日が来てから、だという。   はい?   支払日が遅れている自体ことが、ぼくの Appeal の理由なのに?なぜ待たなければいけないのか?   昨年12月に届くはずの荷物が3月になっても届かないから、早く届けてくれとお願いしているのに、3月に届いてから Appeal対応をするという・・・   なぜだ?ぼくには Centrelink のロジックが理解できない。というか、イロジカルとしか表現できない。   中身があまり詰まっていないぼくの頭は混乱した。   近所の子供たちが一斉にぼくの耳から入ってきて、覚えたてのピアノや弦楽器をガンガン練習しているかのような気分だ。   ぼくは怒りと落胆という泥の中に飲み込まれている。   どうすればいいのか?   どうなるのか?   ぼくにできることはあるのだろうか?   ああ、医学部の勉強もたくさんあるし。      

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