Tag: 理研

遺伝子操作

  驚きのニュースが舞い込んできた。   人間由来の受精卵のゲノムを操作したという論文が、 科学雑誌Protein & Cellに発表された(原文はこちら)。   科学者たちは、 受精卵のゲノムを遺伝子操作し、 β-thalassaemia(ヘモグロビンβ鎖グロビンの 合成障害による先天性貧血)の 治療を試みたのである。   この論文の 大事な科学的メッセージはふたつ (個人的な意見)。   確率は低いものの、原因遺伝子が目的どおり操作された受精卵があった。(つまり、β-thalassaemiaが治療された) 遺伝子操作によって、ターゲットの遺伝子以外のDNAに変異が起きた。(つまり、想定外の遺伝病が引き起こされた可能性が多いにある)   どちらも、 改良を加えればある程度まで 克服できる問題だと予測される。   今回の研究は、 ヒトへとは分化しない 受精卵を使ったとしている。   しかし、将来的に問題点が克服された場合、 ヒトの遺伝病を実際に治療してみようと試みることは、 ロジカルかつ自然な感情のように思える。   このことを踏まえると、 今回の研究が社会に与えるインパクトは 非常に大きなものではないだろうか。   このニュースを読んだとき、 Stephen Hawking氏のあの言葉が頭をよぎった。   Laws will be passed against genetic engineering with humans. But some people won’t be able to resist the temptation,...

Science誌が選ぶ「2014年度、科学のブレークスルー」

  順位 タイトル(英語) 発見と偉業、ざっくりと なにがすごいの?どんな可能性があるの? 1位 Landing on a comet 隕石に着地 宇宙、地球、生命の起源の解明 2位 Giving life a bigger genetic alphabet バクテリアのDNAの暗号を人工的に複雑化 生き物が作れないタンパク質の創造 3位 Rise of the CubeSat 極小の宇宙衛星 より手軽に宇宙研究 4位 Manipulating memories マウスの記憶の操作(良い記憶と悪い記憶を交換) 人間の記憶の操作 5位 Europe's cave art has a rival インドネシアでも最古の絵画が見つかる 芸術の起源の解明 6位 Cells that might cure diabetes 幹細胞からインシュリンを出す細胞を作成 糖尿病(1型)の完治 7位 Chips that mimic...

最新の記事

オーストラリア医師、レジストラを振り返る(パート5:リハビリ科)

  ぼくは「オーストラリアで温かい医者になる」という夢を持っている。ぼくはその夢を叶えるべく、オーストラリアの医学部を卒業し、インターン医師として次の4つの研修を無事修了した。 一般内科 (General Medicine)(リンク) 移植外科 (Transplant Surgery)(リンク) 救急医療 (Emergency...

オーストラリア医師、レジストラを振り返る(パート4:コロナウイルス病棟)

  ぼくは「オーストラリアで温かい医者になる」という夢を持っている。ぼくはその夢を叶えるべく、オーストラリアの医学部を卒業し、インターン医師として次の4つの研修を無事修了した。 一般内科 (General Medicine)(リンク) 移植外科 (Transplant Surgery)(リンク) 救急医療 (Emergency...

オーストラリア医師、レジストラを振り返る(パート3:心臓病科・心疾患集中治療室)

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オーストラリア医師、レジストラを振り返る(パート2:急性疾患医療)

  ぼくは「オーストラリアで温かい医者になる」という夢を持っている。ぼくはその夢を叶えるべく、オーストラリアの医学部を卒業し、インターン医師として次の4つの研修を無事修了した。 一般内科 (General Medicine)(リンク) 移植外科 (Transplant Surgery)(リンク) 救急医療 (Emergency...

オーストラリアで総合医になる必勝方法

  ぼくには、「オーストラリアで温かい医者になる」という夢がある。この夢の旅路に就くまでのその道は、控えめに言っても、紆余曲折で満ち溢れていた。   ごとうひろみちの紆余曲折の人生に興味のある方はこちらをどうぞ。 ↓↓↓↓↓↓   オーストラリアの医学部を一年休学した後に卒業し、ぼくは現地の病院に就職した。現在は、医師3年目のペーペー Registrarをやっている。通常、オーストラリアで言うRegistrarは「専門医になるための訓練を受けている医師」を指すのだが、ぼくはいまService registrarという少し変わったポジションで働いている。Service registrarは、特定の専門のトレーニングプログラムに入っているわけではないが、病院側が働き手が一時的に足りていない分野に送り込むRegistrarのことを指す。オーストラリアの医師のハイラルキーに興味がある方は、過去記事『オーストラリアのインターン医師になったらやらなければならない6つのこと』をどうぞ。   インター医師よりも経験はあるが専門をまだ決めかねている医師は、このService registrarとして働くことが多い。そして、Service registrarとしてインターン医師よりは重い責任を負いながら、どの専門に進むかを考えている。どの専門に進むのかを決める要因は千差万別で、流行りの専門を選ぶ医師がいたかと思えば、朝の問診が嫌いだからという理由で救急医療を選ぶ医師がいたりする。色々な思惑と背景を持った医師がいる以上、これさえ押さえておけば専門医トレーニング選びに後悔しない、というものはない。 ちなみに、医学部に入ったときにこんなフローチャートが授業で出てきたが、あながち間違いではないような気がする。専門を迷われている方は参考にするといいかもしれない(が、あまり気にする必要もないと思う)。     オーストラリアのインターン医師は、大きく分けて外科、内科、救急、精神科のローテーションを通じて医師としての一般的なスキルを磨く。3年という限られたインターンシップの期間中に、すべての科を回ることは不可能である。あらかじめ「~科で働きたいなぁ」と思っている医師は、病院側にその科に優先的に回してもらうことをお願いする。また、「~科には興味がない」ということを病院側に伝え、それ以外の科に回してもらうこともできる。   ぼくは医師として以下のローテーションを回ってきた。 1年目 内科(記事) 移植外科(記事) 救急(記事) ...