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オーストラリアの医学生が勉強以外にやっている課外活動

  通称PebblePad   うち(西オーストラリア大学)の医学部は、 学校の試験をパスするだけでは卒業できず 課外活動をおこなわなければならない、 と前の記事に書いた。   課外活動であれば何でも良い というわけではない。   活動をおこなうためには、 PLACESと呼ばれるテーマに沿ったものを 選ばなければならない。   PLACESとは何か?   これは、 医学部が育て上げたい 新卒のドクター像を簡潔に表したものである。   PLACESとは   Professional Leader Advocate Clinician Educator Scholar   の頭文字を合わせたものである。   なぜこのような概念を用いているのか?   理由はふたつある。   ひとつは、社会における医者の役割は多岐に渡り、 また社会が課す責任と期待がとても大きいという事実がある。   医学部生が医者の役割と責任を理解しやすいようにと 作られたものがPLACESという概念なのである。   ふたつ目は、 医学部側が何を教えるべきか ということを考えるための指針が必要だったことである。   実は、うちの大学は、 2014年度から医学部入学の学部入学を廃止し 大学院入学一本化を果たし、 大きなスタートを切っている。   そのモルモット第一号が、 ぼくら2014年度の医学部生なのだ。   これは良くも悪くもある。 良い点は、ぼくら学生の建設的な意見が カリキュラムに反映されやすいということ。   例として、1年生の後期の課題があまりにも多く、 学期末試験の準備が十分にできないから、 課題を取りやめにしてほしいと学部生たちが嘆願したら、 医学部側が快く受け入れてくれたことがある。   悪い点は、カリキュラムが試験的であるため、 そのカリキュラムが良いものなのか悪いものなのか ふたを開けてみなければわからないということ。   ぼく個人の感想は・・・ 課外活動はとてもいい試みだと思う!   学部の勉強が大変なので それだけに集中したいというのが 医学部生の心情なのだが、   医者は勉強ができるだけではだめなのだ。   うちの大学の医学部生は、 成績には反映されない活動を通じて、 人として成長をしていくことが期待されているのだ。   PLACESにおいて、卒業生に求められる能力を下に示した。     課外活動はPLACESの理念に合ったものが、 医学部によって用意されてはいる。   しかし、学部が用意したものは決して必須ではない。   自主的な学生たちは、 学部側に交渉し自分たち考え出した活動を認可させている。   ぼくの友人は、夏休み中にインドへ行き、 産婦人科で衛生の大切さを訴える活動をして Advocateのポイントを稼いだ。   ちなみに、インドの母性死亡率は非常に高い。   別の友人は 2014年度の医学部紹介の動画を作り、 Educatorのポイントを稼いでいた。   2014年卒業の先輩たちが作った動画は、 医学部生活が美しく描かれています。   観ていると熱いものがこみ上げてきます。   https://www.youtube.com/watch?v=PU5CUapz-08    

オーストラリアの医学生が1年半で学ぶ13の身体検査

  医学部最初の1年半で 以下の身体検査を学ぶ。   脳神経の検査 頚・腰椎の検査 上半身の神経系検査 下半身の神経系検査 膝の検査 肩の検査 心循環系の検査 呼吸系の検査 消化管系の検査 腎臓系の検査 内診の検査 直腸の検査 乳房の検査   注意:このページの動画には、 女性性器の検査なども含まれています。 医学的な目的であり、 猥褻な目的をもとに動画を掲載しているわけではありません。 それでも、文化的・宗教的な理由で、 動画を不快に感じる方がおられるかもしれません。 閲覧は自己責任・判断で行なっていただきますようお願いいたします。   脳神経の検査   https://www.youtube.com/watch?v=sJBpai74tlU   頚・腰椎の検査   https://www.youtube.com/watch?v=CJVGpciEMoI   上半身の神経系検査   https://www.youtube.com/watch?v=0hhcxaeOCYs   下半身の神経系検査   https://www.youtube.com/watch?v=Jz_sE4A0nWA   膝の検査   https://www.youtube.com/watch?v=pT1ZHVbpsuw   肩の検査   https://www.youtube.com/watch?v=x_ryfIlqR0k   心循環系の検査   https://www.youtube.com/watch?v=SJ3UwKkLyy0   呼吸系の検査   https://www.youtube.com/watch?v=GmLvehqi6Yo   消化管系の検査   https://www.youtube.com/watch?v=rKlSK4628mI   腎臓系の検査   https://www.youtube.com/watch?v=PPhwQgsebKY   内診の検査   https://www.youtube.com/watch?v=EXFamZpqEtI   直腸の検査   https://www.youtube.com/watch?v=bK1GTLpL_F8   乳房の検査   https://www.youtube.com/watch?v=76g_tNWMhCE    

オーストラリアの医学生が勉強以外に頑張っていること

  大学でやっているタッチラグビー。   ヨーロッパでも、 手軽にできるスポーツとして 人気が出ている、らしい。   タッチラグビーのルールは、 こちらの動画(英語)を見てください。   男女共同でできるスポーツなので 日本でやっても 人気が出ると思います。   https://www.youtube.com/watch?v=fivI01UxO0g   「あらフォー」 (いつのまにか40歳に近づいている人)には 普通のラグビーはきつい。   だから、ぼくはタッチラグビーをしている。   ルールは単純だし、 ぶつかり合うことはまず無い。   でも、周りのプレーヤーは20代、 自分の体力の低下を痛感させられる。   頭で思い描いた体の動きができない。   これが老化というものなのだろう。 しみじみ、武井壮氏のすごさが分かる。   これから、自分でどのような体を作っていくのか、 どのような運動をしていくのか、 大きな課題である。   https://www.youtube.com/watch?v=KaIYkBqbIqc      

オーストラリアの医学部1年生のカリキュラムと時間割り(後期)

  1年生前期の Foundation of Medical Practiceコースは ぼくの中を怒涛のごとく駆け抜けて、 ぼくをComfort zoneの浜辺から はるか遠くの沖へと連れ去っていった。   その海の上に浮いている流木を見つけ すこし休んだかとおもった頃に、 ぼくの1年生後期は始まった。   1年生後期と2年生前期は、 Systems Based Learningと呼ばれるコースを受ける。   Systemsとは、 呼吸器系や心循環系などの器官系のことを指し、 このコースでは器官系別に 基礎科学と病気そして臨床を学んでいく。   Systems Based Learning The content for Systems extends on the introductory concepts of the biomedical sciences in an organ-and...

オーストラリアの医学部1年生のカリキュラムと時間割り(前期)

  ぼくの学年の医学生のほとんどは、 科学分野の学位を持っている。   でも、なかには、 科学を大学で勉強したことが無い 弁護士や実業家などもいる。   そんなさまざまな学歴を持つ医学生に 同じスタートラインにたってもらうために、 1年生の前期は Foundations of Medical Practiceと呼ばれる コースが課される。   コースの概要は以下の通りである。   Foundations of Medical Practice The Doctor of Medicine (MD) course is based around six themes of Professional, Leader, Advocate, Clinician, Educator and...

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オーストラリアで総合医になる必勝方法

  ぼくには、「オーストラリアで温かい医者になる」という夢がある。この夢の旅路に就くまでのその道は、控えめに言っても、紆余曲折で満ち溢れていた。   ごとうひろみちの紆余曲折の人生に興味のある方はこちらをどうぞ。 ↓↓↓↓↓↓   オーストラリアの医学部を一年休学した後に卒業し、ぼくは現地の病院に就職した。現在は、医師3年目のペーペー Registrarをやっている。通常、オーストラリアで言うRegistrarは「専門医になるための訓練を受けている医師」を指すのだが、ぼくはいまService registrarという少し変わったポジションで働いている。Service registrarは、特定の専門のトレーニングプログラムに入っているわけではないが、病院側が働き手が一時的に足りていない分野に送り込むRegistrarのことを指す。オーストラリアの医師のハイラルキーに興味がある方は、過去記事『オーストラリアのインターン医師になったらやらなければならない6つのこと』をどうぞ。   インター医師よりも経験はあるが専門をまだ決めかねている医師は、このService registrarとして働くことが多い。そして、Service registrarとしてインターン医師よりは重い責任を負いながら、どの専門に進むかを考えている。どの専門に進むのかを決める要因は千差万別で、流行りの専門を選ぶ医師がいたかと思えば、朝の問診が嫌いだからという理由で救急医療を選ぶ医師がいたりする。色々な思惑と背景を持った医師がいる以上、これさえ押さえておけば専門医トレーニング選びに後悔しない、というものはない。 ちなみに、医学部に入ったときにこんなフローチャートが授業で出てきたが、あながち間違いではないような気がする。専門を迷われている方は参考にするといいかもしれない(が、あまり気にする必要もないと思う)。     オーストラリアのインターン医師は、大きく分けて外科、内科、救急、精神科のローテーションを通じて医師としての一般的なスキルを磨く。3年という限られたインターンシップの期間中に、すべての科を回ることは不可能である。あらかじめ「~科で働きたいなぁ」と思っている医師は、病院側にその科に優先的に回してもらうことをお願いする。また、「~科には興味がない」ということを病院側に伝え、それ以外の科に回してもらうこともできる。   ぼくは医師として以下のローテーションを回ってきた。 1年目 内科(記事) 移植外科(記事) 救急(記事) ...