Tag: 3年生

オーストラリアの医学生が受ける「へき地医療」の教育(結果発表編)

  Rural Clinical Schoolの 結果発表のメールが届きました。 まだ、中身は見てません。 それでは、メールを開けて、 結果を包み隠さず みんなにシェアしていこうと思います。 メールをぽちっとな。 We are pleased to offer you a position with the Rural Clinical School at Broome in 2016 subject to your successful completion...

オーストラリアの医学生が受ける「へき地医療」の教育(面接編)

  Rural clinical school (RCS) の申請書が 受理されてから数日後、 メールが届く。   そこには、2次面接の日時が書かれている。 メールが届くまでの時間が短いことを考えると、 申請書だけで落とされることは無いのではないかと思う。   届いたメールは以下のとなっている。   An appointment for interview has been made as follows: Time:             11.20am - please arrive 15 minutes early Date:              Thursday 26th March 2015 Venue:          ...

オーストラリアの医学生が受ける「へき地医療」の教育(書類申請編)

  オーストラリアの国土はとても広く(日本の約22倍)、 隅々まで医療の手が及んでいるとは言えない。 へき地に住んでいる人たちの病気の疾患率や寿命は、 都市部に住む人たちに比べ 大幅に劣る(興味のある方は、こちらへ)。 同じ国にいるにもかかわらず、 生まれたところが違うだけで 国民の人生が変わってしまうのは 国の政策倫理に反するということで、 オーストラリア政府はあの手この手を使って、 医療の手をへき地まで伸ばそうと努力をしている。 うちの大学(西オーストラリア大学)と ノートルダム大学の医学部には、 Rural Clinical Schoolという選択肢がある。 これも、へき地で働く医者の数を増やすための 国の政策のひとつである。 簡単に説明をすると、3年生 (つまり、最低限の科学の知識と臨床スキルを 修了した医学生)を へき地の病院に送り込み、 1年間現地で生活と勉強をさせるプログラムである。 このプログラムの目的は大きく分けて二つある。 将来、へき地で医療に従事する医者を増やすこと 将来、へき地医療の現状を知っている医者を増やし、へき地医療改善の政策作りに取り組んでもらうこと オーストラリアの医学部はすべて都市部にある。 そのため、大学を卒業して 自主的にへき地に向かう人の数がとても少ない。 そのような経緯もあり、 医学部の入学の条件に BMP (Bonded Medical Place)や MRBS (Medical Rural Bonded Scheme)などを設け、 へき地に向かう医者の数を 増やそうと国は努力をしている。 今回紹介するRural Clinical Schoolは、 BMPとMRBSと大きく異なる点がある。 まず、へき地に向かうのが、 卒業後ではなく在学中であること。 そして、BMPとMRBSに比べ、 へき地にいる期間が短いこと。 このふたつの点は、 「へき地医療に興味はあるが 現地生活が本当に自分にあっているのか 分からない学生」にとって、 将来へのとても良い判断材料となる。 (BMPとMRBSの学生は卒業後、 かならずへき地での医療に従事しなければならない。 最低、在学期間と同じ期間) また、Rural Clinical Schoolへの 参加が自主的であることがとてもいい。 へき地に「行かされる」のと、 へき地に「乗り込む」のでは、 心構えが変わってくる (やっていることはほぼ同じなのに、 心ひとつで見える光景が変わるのはとても興味深い)。 そして、なんといっても、 週110ドルのおこずかいが貰え、 家賃無料で生活ができるのだ (生活は他の医学生と一軒家を シェアするパターンが多い)。 引越し代や、 学期休み中のパースまでの移動費 まで出してくれる。 これは、お金の無い学生にとって、 魅力的な異性(ひとによっては同性)が 「ハイ」と笑顔で声をかけてくれた ときぐらいの魔力がある。 現在、Rural Clinical Schoolを設けているのは、 以下の14箇所の町である。 西オーストラリア最大都市のパースから 日帰りできる場所もあるが、 大体がへき地と呼ばれるところに Rural Clinical Schoolがおかれている。 Kalgoorlie (head quarter), Albany, Broome,...

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オーストラリア医師、レジストラを振り返る(パート5:リハビリ科)

  ぼくは「オーストラリアで温かい医者になる」という夢を持っている。ぼくはその夢を叶えるべく、オーストラリアの医学部を卒業し、インターン医師として次の4つの研修を無事修了した。 一般内科 (General Medicine)(リンク) 移植外科 (Transplant Surgery)(リンク) 救急医療 (Emergency...

オーストラリア医師、レジストラを振り返る(パート4:コロナウイルス病棟)

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オーストラリア医師、レジストラを振り返る(パート3:心臓病科・心疾患集中治療室)

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オーストラリア医師、レジストラを振り返る(パート2:急性疾患医療)

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オーストラリアで総合医になる必勝方法

  ぼくには、「オーストラリアで温かい医者になる」という夢がある。この夢の旅路に就くまでのその道は、控えめに言っても、紆余曲折で満ち溢れていた。   ごとうひろみちの紆余曲折の人生に興味のある方はこちらをどうぞ。 ↓↓↓↓↓↓   オーストラリアの医学部を一年休学した後に卒業し、ぼくは現地の病院に就職した。現在は、医師3年目のペーペー Registrarをやっている。通常、オーストラリアで言うRegistrarは「専門医になるための訓練を受けている医師」を指すのだが、ぼくはいまService registrarという少し変わったポジションで働いている。Service registrarは、特定の専門のトレーニングプログラムに入っているわけではないが、病院側が働き手が一時的に足りていない分野に送り込むRegistrarのことを指す。オーストラリアの医師のハイラルキーに興味がある方は、過去記事『オーストラリアのインターン医師になったらやらなければならない6つのこと』をどうぞ。   インター医師よりも経験はあるが専門をまだ決めかねている医師は、このService registrarとして働くことが多い。そして、Service registrarとしてインターン医師よりは重い責任を負いながら、どの専門に進むかを考えている。どの専門に進むのかを決める要因は千差万別で、流行りの専門を選ぶ医師がいたかと思えば、朝の問診が嫌いだからという理由で救急医療を選ぶ医師がいたりする。色々な思惑と背景を持った医師がいる以上、これさえ押さえておけば専門医トレーニング選びに後悔しない、というものはない。 ちなみに、医学部に入ったときにこんなフローチャートが授業で出てきたが、あながち間違いではないような気がする。専門を迷われている方は参考にするといいかもしれない(が、あまり気にする必要もないと思う)。     オーストラリアのインターン医師は、大きく分けて外科、内科、救急、精神科のローテーションを通じて医師としての一般的なスキルを磨く。3年という限られたインターンシップの期間中に、すべての科を回ることは不可能である。あらかじめ「~科で働きたいなぁ」と思っている医師は、病院側にその科に優先的に回してもらうことをお願いする。また、「~科には興味がない」ということを病院側に伝え、それ以外の科に回してもらうこともできる。   ぼくは医師として以下のローテーションを回ってきた。 1年目 内科(記事) 移植外科(記事) 救急(記事) ...