オーストラリアの医学生が受ける「へき地医療」の教育(面接編)

 

Rural clinical school (RCS) の申請書が

受理されてから数日後、

メールが届く。

 

そこには、2次面接の日時が書かれている。

メールが届くまでの時間が短いことを考えると、

申請書だけで落とされることは無いのではないかと思う。

 

届いたメールは以下のとなっている。

 

An appointment for interview has been made as follows:

Time:             11.20am – please arrive 15 minutes early

Date:              Thursday 26th March 2015

Venue:           N Block, SCGH (entrance off Hampden Road & Monash Avenue roundabout)

 

自分が面接をしたときは、

申請者3名(友人2名とぼく)が1グループになり、

スタッフに面接会場まで連れて行かれた。

 

面接ルームのそばにつくと、スタッフから

「時間になったら、スタッフが部屋から出てきて

あなたの自分の名前を呼びます。

その人の部屋に行き、

指示に従って、面接を始めてください。

面接が終わったら、

そのまま建物を後にしてください。」と言われた。

 

「グッド・ラック」と言い残して、

スタッフは去って行った。

 

普段は廊下であろうその場所には、

申請者3名と3つの椅子が置かれて、

いつもより混雑した雰囲気を漂わせていた。

 

申請者3名は椅子に座り、

自分の名前が呼ばれるのを待った。

ぼくは右端の椅子に座り、

ちびちび水をながら、

心を落ち着かせた。

 

沈黙だけがそこにあった。

 

最初に呼ばれたのは、

友人のジョシュアだった。

 

彼は颯爽と椅子から立ち上がり、

「グッド・ラック」と言って面接ルームに吸い込まれていった。

 

ぼくは少しの間をおいて、

真ん中の椅子に移動し、

友人のシャミニに話しかけた。

 

RCSの候補地はどこにしたの?

ブルーム。

一緒だね。

本当?

受かるといいね。

そうね。

 

次に名前を呼ばれたのは、ぼくだった。

「グッド・ラック」。

 

面接ルームに入ると、

4名の面接官が笑顔で迎えてくれた。

 

みんなと自己紹介をし、

握手を交わして、ぼくは椅子に座った。

 

面接官は全部で4名。

 

おそらくだが、

面接の全体の流れを指揮していた男性は、

RCSのスタッフだと思う。

もう一人の男性は、

医学部生(去年のRCSの学生)ではないかと思う。

女性の一人は一般のボランティアの方で、

もう一人は大学の教員ではないかと思う。

 

部屋の真ん中に丸机が置いてあり、

その上には水が半分ぐらい入った

カップが置かれていた。

 

RCSスタッフ(たぶん)の男性が、

「心が落ち着いたら面接を始めましょう。

もし必要であれば、

水を飲んでもいいですよ」と言った。

 

ぼくは少し大きな息をして、

心を落ち着かせた。

自分の心臓がドキドキしているのが分かったが、

カップの中の水面には

もちろん波紋などは立っていなかった。

 

「準備オーケーです」とぼくが言うと、

女性の一人(おそらく一般ボランティアの方)が

手元のタイマーをスタートさせた。

 

面接には、25分の制限時間が設けられていた。

 

面接の質問は、大まかに分けると5つカテゴリーからなる。

 

  1. Motivation (e.g. why do you want to learn at RCS?)
  2. Contribution to community (e.g. How would you contribute to the community at RCS?)
  3. Teaching and Learning (What do you know about the teaching at learning at RCS?)
  4. Accommodation (e.g. How do you plan to live in a shared accommodation? What responsibilities do you have as RCS students?)
  5. Professionalism (What does professionalism mean to you as a RCS student?)

 

ひとつのカテゴリごとに2つ3つの質問が出された。

引っ掛けの問題などはない。

 

その学生がRCSについて

どれぐらい真剣に考えているかを

判断するための質問なのではないかと思う。

 

ぼくは自分の考えていることを言い、

分からないときには正直にそう答えた。

 

ただ、分かりません、

では印象が悪いので、

「分かりませんがどんな状況でも

対応できるように準備したい」と付け加えた。

 

面接は、タイマーが鳴ることなく終了した。

ぼくは口数が少ない傾向があるのだ。

それでも、面接官が笑顔だったので、

がっかりすることなく面接ルームを後にした。

 

結局、水には手をつけなかった。

 

後で考えると

「こう言えば良かったな」と思う点は、

もちろんいくつもある。

 

ただ、ぼくの記憶力は良くない。

良いことも悪いことも

あまり長くは覚えていられない。

数日すると、もう次の事で精一杯で、

記憶の水の中に沈んでいってしまっていると思う。

 

追伸:Rural Clinical Schoolを長々と紹介してきたが、

ぼくはいまのところ、Rural Clinical Schoolに参加するか、

パースに残ってiPS細胞の研究に参加するか決めかねている。

Rural Clinical Schoolでも研究に従事することはできる。

ただ、研究だったらiPS細胞の研究をしたい。

Rural Clinical Schoolの選考に落ちれば、

iPS細胞の研究を素直に選ぶと思うが、

Rural Clinical Schoolに受かったときは悩むだろうなぁ。

まぁ、受かったら悩むことにしよう。

 

 

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ごとうひろみち
『高校中退⇒豪州で医者』をいつも読んでいただき誠にありがとうございます。著者・ごとうひろみちに興味を持ってくれたあなたのために、詳しい自己紹介を←ここでしていますので、どうぞご覧ください。

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