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2020年から始まる大学入試にふさわしい民間の英語試験の条件とは?
文部科学省がついに、2020年から大学入試で導入されるにふさわしい民間の英語試験の条件を公開した。文科省のページにはこう書かれている。
大学入試センターにおいて、大学入試英語成績提供システム参加要件が取りまとめられましたので、お知らせします。
「大学入学共通テスト実施方針」(平成29年文部科学省公表)では、高等学校学習指導要領における英語教育の抜本的改革を踏まえ、大学入学者選抜においても、「聞く」、「読む」、「話す」、「書く」の4技能を適切に評価するため、大学入学共通テストの枠組みにおいて、現に民間事業者等により広く実施され、一定の評価が定着している資格・検定試験を活用し、資格・検定試験のうち、試験内容・実施体制等が入学者選抜に活用する上で必要な水準及び要件を満たしているものを大学入試センターが審査することとしています。
これを踏まえ、大学入試センターにおいて、大学入学者選抜における資格・検定試験の活用を支援するための仕組みとして設けられる「大学入試英語成績提供システム」への参加要件が取りまとめられましたので、公表いたします。
なぜだか分からないが、文科省のページの参加要件のリンクが正しく機能していない。それでも、旺文社の文書にどんな参加要件だったのか簡潔に解説されている。
旺文社のまとめによると、2020年から始まる大学入試にふさわしい民間の英語試験の条件は以下の7点である。
1 回の試験で英語 4 技能の全てを極端な偏りなく評価するものであること。
学習指導要領との整合性が図られていること。
CEFR との対応関係並びにその根拠となる検証方法及び研究成果等が公表されており、 実施主体においてその対応関係を検証していく体制が整っていること。
毎年度 4 月から 12 月までの間に複数回の試験を実施すること。
原則として全都道府県で実施すること。ただし当分の間、近隣の複数県を併せた地域での 合同実施も可とし、この場合、全国各地の計 10 か所以上で複数回実施することを要する。
経済的に困難な受検生への検定料の配慮など、適切な検定料であること。
会場及び各試験室の責任者が、受検生の所属高校等の教職員でないこと。受検生の所属高校等の教職員が採点に関わらないこと。
旺文社はさらに、それぞれの点における問題点も指摘している。
1 回の試験で英語 4 技能の全てを極端な偏りなく評価するものであること。
⇒複数日に渡って試験を行っている検定は、この点を改善しなければならない。
...
日本政府が進める英語教育の改革の渦に巻き込まれるのは学生だけではない。英語の先生も渦に巻き込まれるぞ!
これまで、小学校の英語教育の導入や、中学入試、高校入試に英語試験が導入されたことなどに触れてきた。どちらも、2020年から始まる大学入試への民間英語試験の導入を受けてのことである。
実は、日本政府が進める英語教育の改革の渦に巻き込まれているのは、子供たちだけではない。英語を教える教員たちも大きな渦に巻き込まれていくことになる。
eラーニング戦略研究所の最近の報告によると、「読む・書く・聞く・話す」の4技能を重視する新しい英語教育において一番の問題が「教員のスキル不足」であるという。
民間の英語試験が評価対象となる今後の英語教育において、一番大切なスキルはもちろん「英語試験で高得点を取る技術」である。これはつまり、英語の先生の評価が、生徒たちが英語試験で何点取れたかで決まってしまう、ということを示している。
大学だけでなく中学校入試にも民間の英語試験が採用されつつある現状では、英語の先生の客観的な評価が生徒の成績に集約される恐れがある。先生から学んだ英語によって、生徒がどんな夢を持ったかということは評価の対象にはならない。すべては、生徒が英語試験で何点取れたか、ということのみが評価対象となるのだ。
これは、ふたつの意味で不幸なことである。
ひとつ目は、英語の先生自身が、民間の英語試験で高得点を取れるようにまず勉強しなければならないということだ。これまで、子供たちの好き・自立を尊重しながら英語教育に取り組んできた教員たちでさえも、このシフトチェンジを強いられることになる。というのも、生徒たちが「先生の英語試験の点数は?」を気にし始め、低い点数しか取れない先生たちからは学ばないという選択をするようになるからだ。英語試験に興味がない先生も、民間の英語試験を受けざるを得なくなる。
ふたつ目の不幸は、いくら英語試験で高得点をとっても、受験者の社会的な成功とは関係がないということだ。確かに、英語試験で高い成績を収めた生徒たちは偏差値が高い学校に行くことが出来るかもしれない。それを助けた先生たちは高い評価を得られるかもしれない。しかし、長い目で見れば、社会で成功を収められるほどの英語力を持つ人材は、そこから生まれないことをぼくは感覚的に知っている。
あなたの周りに英検1級に複数回合格している人や、TOEICで連続満点を取っている人がいるのではないだろうか。近い未来に押し寄せる点数・試験偏重の流れを考えれば、こんな人たちが「最高の教師」となるのだろう。しかし、子供たちが英語で実現できる夢はそんなちっぽけなものではないと伝えられる先生こそが必要なのである。
これから起こるであろう点数偏重主義に立ち向かい、子供たちの英語ドリームを無限なものに変えるために、「成功者の英語スキルを教える教育」と「成績が上がれば、受験者が社会で成功できる確率が上がる英語試験」の実現が早急に求められる。👈こんなことを考えている人に会ったことがありませんが、それでもぼくは孤独と戦いながら、子供たちの未来のために日々試行錯誤しています。このふたつについては、セミナー動画「なりたい自分に最短でなれる英語勉強法」とメルマガの中で触れています。期間限定で無料プレゼント中ですので、ご気軽にどうぞ。
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止まらない英語教育改革、公立高入試も英語4技能の時代へ
これまで、小学校に英語教育のカリキュラムが導入された話、そして英語を入試試験に課す中学校が増えている話をしてきた。
しかし、日本政府が進める英語教育の改革の渦に巻き込まれているのは、もちろん小学校、中学校だけではない。
ベネッセコーポレーションによると、東京都の都立高校入試に英語スピーキングテストを導入する計画が進んでいるという。都教委は2018年度中に実施方法などの検討をし、2019年度以降にプレテストを実施する方針であるという。
日本政府は、2020年度から大学入試センター試験に「聞く・読む・話す・書く」の4技能を評価する英語試験を導入することを決めている。しかしながら、多くの小中学校の英語教育は「聞く・読む・書く」の3技能中心のままになっており、「話す」の教育が欠けていることが指摘されていた。
東京都教育委員会の今回の方針は、この問題への取り組みとなっている。高校入試に「話す」英語の試験を課すことで、「話す」の教育を小中学校から始めることが期待できるのだ。また、公立高校の入試が変われば、私立高校の入試も「話す」英語試験を導入することが予想される。
日本政府の「グローバル人材育成のための英語教育改革」が進む中での高校入試の変化は、小学校や中学校の英語教育、そして大学の英語教育に大きな影響を与えることが予想される。日本政府による英語教育の方向転換は、小学校、中学校、高校、大学を飲み込みながら、その渦をますます大きなものへと成長させている。
ぼくは、日本政府が構想している「小学校~大学の一貫英語教育」に賛成ではある。しかし、政府の方針には「グローバル人材」を育てるための具体的な戦略的英語教育方針が抜けている。スピーキング試験を課した程度で、グローバル人材が育つのかはなはなだ疑問である。それに対して、ぼくの「なりたい自分に最短でなれる英語勉強法」は、政府が長年探し求めている英語教育の骨格になりえると考えている。期間限定で無料プレゼント中。ご気軽にどうぞ。特に政府機関の方。
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中学入試、英語の試験を課す学校が急増中
前回の記事「英語、ついに小学校のカリキュラムに導入。豊岡市が掲げる英語教育のゴールは素晴らしい。」で、英語教育がついに小学校に導入されたことについて触れた。
しかし、日本政府が進める英語教育の改革の渦に巻き込まれているのは、もちろん小学校だけではない。
朝日新聞によれば、首都圏と近畿圏の私立中学校の約30%が英語の入試を導入する予定だという。この数字は、4年前に比べ約7倍の増加である。同新聞によると、この変化の背景には、小学校での英語教育や、2020年度から大学入試に導入される民間試験などに合わせて、受験生や保護者に英語教育の充実をアピールする狙いがあるようだ。
少子化という大きな問題を抱えている日本では、学生の確保が大きな課題となる。そのため、私立の学校だけでなく、公立の学校もこの流れに巻き込まれることが予想される。
それだけではない。大学入試における民間試験の導入が示唆していることは、中学校や高校の入試にも民間の英語試験が導入されるだろうということだ。分かりやすい例えを挙げると、「うちの中学校に入るためにはTOEIC300点が必要で、卒業する頃にはTOEIC600点が取れるようになります。つまり、高校安全合格に必要なTOEIC600点がとれるだけでなく、大学合格に必要なTOEIC750点の確実な基盤も作ることが出来ます。子供たちの未来もこれで安心ですね」のような宣伝文句が飛び交うようになるということだ。
ぼくは一貫して「従来の英語試験の成績は、受験者が英語で社会的な成功を収められるかどうかと無関係」と主張している。そんな教育価値が低い試験でも、日本政府が民間試験を導入してしまえば、「英語試験偏重」の負のスパイラルの流れは止めることが出来ないと悲観している。
ぼくにとって、「英語試験の点数を上げる方法」を教えることは簡単である。しかし、ぼくにはそれができない。なぜなら、英語試験の点数を上げることが、学習者の未来にとって大きなメリットにならないことを知っているからだ。人格形成に大事な少年期・青年期・思春期に、彼(女)たちのプラスにならない教育をすることは、ぼくの良心が許さないのだ。
だからこそ、ぼくは「成績が上がれば、受験者が社会で成功できる確率が上がる英語試験」と「日本人の英語を変えるオンラインコース」を日本の英語教育で実現したいと日々努力している。このふたつについては、セミナー動画「なりたい自分に最短でなれる英語勉強法」とメルマガの中で触れています。期間限定で無料プレゼント中ですので、ご気軽にどうぞ。
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英語、ついに小学校のカリキュラムに導入。豊岡市が掲げる英語教育のゴールは素晴らしい。
日本政府は「グローバル人材育成」のために、英語教育を小学校から導入するカリキュラムに舵を切った。この流れを受けて、英語教育に大きな改革を進める地方政府も出てきている。
神戸新聞によれば、兵庫県豊岡市は英語教育を小中一貫で行う方針を打ち出している。なんと、豊岡市の子供たちが英語に触れ始めるのは、小学1年生からである。同市は、海外からの外国語指導助手を増やし、子供たちがネイティブの英語と触れ合える環境を整えているという。
文科省の指導要領によると英語教育は小学5、6年生から実施される予定だが、2020年から始まる大学センター試験への民間英語試の導入などを考えると、兵庫県豊岡市のような英語教育の早期導入はますます加速すると考えられる。
英語教育の早期化を批判する声もある(林修氏のように⇒この記事)が、英語教育を遅らせることに賛成する人はいない。このことを考えれば、英語教育の早期導入の流れは、もはや必然的なものになる可能性がある。
そんなときに大事になるのが、「英語教育のゴール」である。教育する側は、子供たちに「英語で実現できるゴール」をはっきりと描いてあげなければならない。
日本政府の英語教育のゴールの不明確さが批判の対象となっている(⇒この記事)が、兵庫県豊岡市が掲げる英語教育の目的は、素晴らしい。同市の教育委員会は、英語教育のゴールを「ふるさとや自分のことを英語で語れるようにする」ことに定めている。つまり、英語でアピールできる能力が、同市の英語教育のゴールなのだ。
ふるさとのことを英語でアピールできる人材がいるだけで急激な発展を見込める市町村が日本にどれだけあることか!
もちろん、すべての地方政府が「ふるさとや自分のことを英語で語れるようにする」ことを英語教育のゴールにする必要はない。大事なことは、英語を勉強する子供たちの頭の中に「英語で実現できるゴール」の姿をはっきりと想像させられるかが、これからの英語教育の早期化の成功のカギを握っている。
これからの世界を担っていく子供たちに、「英語ペラペラ」などの低俗な夢を見せてはいけない。子供たちが実現できるゴールは、ぼくら大人たちの想像を絶するものであるからだ。そんな可能性を持った子供たちには、エベレスト級の「英語で実現できるゴール」への道のりを、ぼくら大人たちは見せてあげなければならない。
英語の向こう側、を想い描くことの大切さは、セミナー「なりたい自分に最短でなれる英語勉強法」でも触れています。期間限定で無料プレゼント中ですので、ご気軽にどうぞ。
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出典:神戸新聞
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ぼくには、「オーストラリアで温かい医者になる」という夢がある。この夢の旅路に就くまでのその道は、控えめに言っても、紆余曲折で満ち溢れていた。
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オーストラリアの医学部を一年休学した後に卒業し、ぼくは現地の病院に就職した。現在は、医師3年目のペーペー Registrarをやっている。通常、オーストラリアで言うRegistrarは「専門医になるための訓練を受けている医師」を指すのだが、ぼくはいまService registrarという少し変わったポジションで働いている。Service registrarは、特定の専門のトレーニングプログラムに入っているわけではないが、病院側が働き手が一時的に足りていない分野に送り込むRegistrarのことを指す。オーストラリアの医師のハイラルキーに興味がある方は、過去記事『オーストラリアのインターン医師になったらやらなければならない6つのこと』をどうぞ。
インター医師よりも経験はあるが専門をまだ決めかねている医師は、このService registrarとして働くことが多い。そして、Service registrarとしてインターン医師よりは重い責任を負いながら、どの専門に進むかを考えている。どの専門に進むのかを決める要因は千差万別で、流行りの専門を選ぶ医師がいたかと思えば、朝の問診が嫌いだからという理由で救急医療を選ぶ医師がいたりする。色々な思惑と背景を持った医師がいる以上、これさえ押さえておけば専門医トレーニング選びに後悔しない、というものはない。
ちなみに、医学部に入ったときにこんなフローチャートが授業で出てきたが、あながち間違いではないような気がする。専門を迷われている方は参考にするといいかもしれない(が、あまり気にする必要もないと思う)。
オーストラリアのインターン医師は、大きく分けて外科、内科、救急、精神科のローテーションを通じて医師としての一般的なスキルを磨く。3年という限られたインターンシップの期間中に、すべての科を回ることは不可能である。あらかじめ「~科で働きたいなぁ」と思っている医師は、病院側にその科に優先的に回してもらうことをお願いする。また、「~科には興味がない」ということを病院側に伝え、それ以外の科に回してもらうこともできる。
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