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オーストラリアの医学部、最終学年の7発目の研修先は内科(循環器学)

  ぼくは、オーストラリアの医学部の最終学年を満喫している。   これまで、麻酔科、緩和ケア、腫瘍科、脳外科、へき地医療、外科の研修の話をしてきたが、第7弾の研修先 内科 Internal Medicine(循環器 Cardiology)についてお話しようと思う。   ぼくがお世話になる研修先の病院は、Sir Charles Gairdner Hospitalだ。   出典:The Advertiser   Sir Charles Gairdner Hospitalの Cardiologyは、ぼくが医学部2年生の時にお世話になった循環器内科である。これから5週間にわたってそちらにお世話になる。ちなみに、ここの循環器内科のマクイラン先生は、西オーストラリア大学医学部の学部長をされていた方で、お世辞にも優秀とは言えないぼくに表彰状を送ってくれた方でもある。表彰状を送ったことを後悔することがないよう頑張ります。   ↓↓いただいた表彰状はこちら↓↓     それでは、これまでのように、内科の学習ガイドラインを読んでいこうと思う。   ふむふむ。医学生は、インターン医師と同じ仕事をすることが期待されているのか。   内科研修のゴールは、このように説明されている。   研修中は、医学生に患者さんが割り振られ、その患者さんのケアを担当する。   患者さんのケアは、問診から始まる。   問診の後は、身体検査を行い、鑑別診断を洗練していく。   鑑別診断の精度をさらに高めるために、臨床検査を決めていく。   研修中に医学生が実際に携わることが期待される検査はこうなっている。   問診、身体検査、医療検査をもとに診断を下し、患者さんが抱える問題をお医者さんに報告する。   患者さんのケアを担当する。   医学生がおこなうケアが、エビデンスに基づいていることを確認する。   医学生は医者ではないため、もちろんこれらのことはお医者さんとコミュニケーションしながら行う。その他、医学生がやってはいけないことが明記されている。   上記の過程において、看護師などの医療従事者にも積極的にかかわりあうことが期待されている。   病棟での患者さんのケア以外に、勉強会やクリニック、自宅訪問などにも参加することになる。また、インターン医師のように、医療検査のリクエスト表を記入したり、投薬表や退院サマリーを書く練習もする。   病院にいない時は、自学習をしなければならない。   病院で行われている、お医者さん向けの症例検討会や勉強会に出席することもできる。   研修先は循環器内科だが、皮膚科の勉強もしなければならない。   皮膚科のクリニックに行くことも義務化されている。   内科研修の成績は、つぎの3つのタスクで決まる。   Structured Clinical Assessmentは、これまでやってきたよりも内容が濃い。   1時間の制限時間の間に、初めて会う患者さんに問診と身体検査を行い、投薬チャートや観察チャートなどから診断を下す。そして、検査官にその患者さんのことを報告する。その際に、ケアに問題があるかどうかを議論する。   ふたつ目のタスクは、Case-related evidence based discussionと呼ばれる。   3つ目のタスクは、担当医による全体的な評価表の提出と、皮膚科のオンラインコースを修了させること。   これまでの研修のなかで一番明確なフレームワークが設けられ、医学生に求められることもはっきりとしている。なかなか、タフな研修になるのではないだろうか?    

オーストラリアの医学部、最終学年の6発目の研修先は外科

  Collieでのへき地医療研修も終え、ぼくはパースに戻ってきた。その後、1週間の休みがあり、その間にぼくは論文を書いたり、異能vationの申請書を用意していた。本当は卒業試験に向けて勉強するべきところだが、人生は1度しかない。欲張りに生きてみようと思ったのだ。   休みが明けると、医学部の研修は続く。これまで、麻酔科、緩和ケア、腫瘍科、脳外科、へき地医療の研修の話をしてきたが、第6弾の研修先は、外科である。研修先の病院は、ジュンダラップ病院だ。   出典:silverthomashanley.com   ジュンダラップ病院は、これまでの医学生生活のなかで一度も訪れたことがない。ぼくが住んでいるシティから1時間ぐらい(つまり、往復2時間)通勤にかかるので、あまり行きたい場所ではなかったが(時間がもったいないので)、乗り掛かった舟はぜひ楽しみたいと思う。   それでは、これまでのように、外科の学習ガイドラインを読んでいこうと思う。   ふむふむ。耳鼻咽喉科と一般もしくは専門外科にそれぞれ2~3週間配属されるんだな。   やることは、Ward work, Outpatient clinics, Theatre workなんですね。縫合のワークショップもある。   外科研修の中で磨かなければならない臨床スキルは以下のもの。   耳鼻咽喉に関すれば、これらのことを学ばなければならない。   オペ室ではこんなことを実習・習得しなければならない。   その他、臨床スキルや臨床試験がどのような病気の診断に使われるのかを理解しなければならない。   外科の教科書はたくさんあり、5週間で読める量のものはひとつもない。興味のある人はTextbook of Surgeryを書店で手に取ってみてください。重いですぞ。   最後は、外科研修の評価方法である。耳鼻咽喉科と一般外科で一つずつ、Structured Clinical Assessmentがある。これは、ひとりの患者さんをHistory-taking, physical examination, investigation, diagnosis, management, follow-upまでを網羅し、どのような工程で患者さんのケアが行われたか、そしてそれが適切であったかをお医者さんと議論するものである。   特に、外科のコミュニケーションは、とても難しい。普段使われる英語とは違い、無駄をできるだけ省きながらも、患者さんの医学的状態を的確に描写しなければならない。これは、ノンネイティブのぼくにとっても、ネイティブの同級生とっても、習得が難しいスキルである。鍛錬と時間のみが、その習得を可能にしてくれる。     次の動画は、ぼくが尊敬する外科医アトール・ワンディ先生がTEDで話したものである。医療に関する「自動車」の例え話は、医者だけでなく患者さんも知っておくべきことかもしれない。   https://www.youtube.com/watch?v=L3QkaS249Bc    

オーストラリア医学部、へき地医療研修の診療能力検査

  ぼくはいま、オーストラリアの医学部に通っている。早いもので、もうすでに医学部の最後の学年を過ごしている。   これまで、ぼくが実際に受けてきた、麻酔科、緩和ケア、腫瘍科、脳神経外科、へき地医療の研修についてお話ししてきた。   4週間半のへき地医療研修を Collie で行い、パースに戻ってきた次の日に、診療能力検査があったので、そのことについてお話ししようと思う。   https://www.youtube.com/watch?v=QPT2CxU0Emc   まず、診療能力検査のことを知らない人のために簡単に説明しておく。診療能力検査とは、「あなたの医者としての臨床能力を検査するもの」で、約10~20分の間に、患者さんを相手に問診、身体検査、医療検査、診断、治療、フォローアップを行う。   診療能力検査は試験によって重要視される部分が変わる。例えば、患者さんから詳しい詳細を聞き出さなければいけない問診能力の検査もあれば、患者さんに神経学的検査を行い障害を受けている脳の部位を推測したり、救急治療室で心臓発作の患者さんを蘇生するシナリオなど様々なものがある。   今回ぼくが受けた診療能力検査は、お医者さんである検査官からシナリオを渡され、「あなたは町医者です。どうしますか?」というものだった。内容は違うが、大体こんな感じで検査は行われた。   https://www.youtube.com/watch?v=7lSkNru3gXc   へき地医療は、医療施設・医療資材不足、病院やクリニックまでのアクセスの悪さ、住民の医療知識の低下など、都心部の医療とは異なる部分がある。それらのことを頭に入れながら、診療能力検査を受けなければならない。   ぼくが実際に受けた診療能力検査は、以下のふたつ。 (1)咳をしている3歳の男の子 (2)手を怪我した53歳の男性 詳しいシナリオは、つぎのページに書いています。 ↓↓↓↓     オーストラリア医学部、へき地医療研修の診療能力検査   (1)咳をしている3歳の男の子 <シナリオ>あなたのクリニックに、3歳の男の子がお母さんに連れられてきました。男の子は昨日から体調が悪く、微熱、鼻水、食欲減退、犬吠様咳を発症しています。男の子が住んでいる場所は、クリニックと病院から2時間離れた場所です。あなたは町医者です。どうしますか?   犬吠様咳 https://www.youtube.com/watch?v=Qbn1Zw5CTbA   検査官に質問すれば与えられる情報 問診 病歴無し 処方薬無し アレルギー無し ワクチン接種有り 他の家族は元気 身体検査 おもちゃで遊んでいる 体温 37.1 心拍数 100 呼吸数 20 SaO2 93% 異物混入無し 喘鳴無し 痰無し   それでは、ぼくが実際に犯した間違いを含め、すべてお話しします。   ぼくが実際にやったこと 診断:クループ(犬吠様咳) 説明:ウイルスの病気(抗生物質いらないよ) 治療:酸素マスク(93%だから)、吸入ステロイド、噴霧アドレナリン フォローアップ:様態が悪化したら病院にすぐに行ってください   ぼくがやらなければいけなかったこと 診断:クループ(犬吠様咳) 説明:ウイルスの病気(抗生物質いらないよ) 治療:患者の観察のみ(悪化すれば、酸素マスク、経口ステロイド、噴霧アドレナリン) フォローアップ:お母さんと男の子に町にいてもらうこと(症状が悪化したときのために、町の近くに2、3日滞在することはできませんか?)   ぼくが学んだこと ぼくはこの検査をパスできなかった(と思う)。ぼくが行った治療が一般的な治療とそこまで違うわけではないにもかかわらず、である。なぜか?   実は、診療能力検査の検査官が求めていることは、「患者を完璧に診断・治療・フォローアップできる能力」ではない(できれば高得点を稼げるが・・・)。検査官が重要視していることは、「どうやって診断・治療・フォローアップすればいいか分からない状況で、やみくもに診療行為を行わないこと」「分からないことを素直に認め、シニアの医者に連絡をしてどうすればいいかアドバイスを求めたり、医療ガイドラインを確認すること」である。   ぼくは正しい診断を下したが、クループをどうやって治療すればいいのか頭に入っていなかった。それでも、ロジカルに考えて上記のような治療を行なおうとした。自分の頭で考えようとしたこと自体は悪い行為ではない。しかし、「危険な行為」でもある。もしぼくのロジックが間違っていたら、医療ミスにつながるからだ。   「知らないことは知らない。だから、シニアの医者にアドバイスを求めたり、医療ガイドラインでクループの対処法を確認します。」と言うことができていたなら、パスできたと思う。   今回の診療能力検査は失敗したが、収穫はデカかった。「知らなくてもいい」「知らないなら、ヘルプを求めれば診療能力検査をパスできる」ということが分かったからだ。もちろん、「全部わかりません」だと落第すると思うけど、医療知識の記憶があいまいな時は、このことを知っているだけで、診療能力検査を落とすことは無いと思う。   それでは、次のシナリオ「(2)手を怪我した53歳の男性」を見ていこう。 ↓↓↓↓     オーストラリア医学部、へき地医療研修の診療能力検査   (2)手を怪我した53歳の男性 <シナリオ>53歳の男性が、チェーンそうで右手の甲に切り傷を負い、クリニックに訪れました。男性は、4年前にブドウ糖負荷試験(ブドウ糖投与前8.2、投与2時間後13.5)を受けていましたが、その後の再診歴がありません。あなたは町医者です。どうしますか?   検査官に質問すれば与えられる情報 問診 事故の内容(木を切っているときに手を滑らせて、右手の甲にかすり傷。軽傷だが、念のためにクリニックに) 糖分・脂質高めの食事 長時間の机作業 糖尿病の症状(多飲、多食、多尿、足の感覚異常) ...
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オーストラリアのへき地医療研修の滞在先 Collie でぼくがやっていること

  ぼくが滞在する Collie は、パース市内から車で2時間ほどの場所にある。東京であれば、2時間移動しても、見える景色が劇的に変化することは無いのかもしれない。しかし、ぼくが生活しているオーストラリアは違う。まず、建物がなくなり、林や放牧地が目の前に広がり始める。日が沈むと、カンガルーやウサギなどが道路を跳躍している。   出典:Collie River Valley   まずは、ぼくが滞在させていただいた Collie Hospital の Nurse Quarter 看護師寮を紹介しよう。第一印象は、「幽霊屋敷」である。外の気温よりも寒いし、建物内の明かりも最小限で、明るい気持ちにはさせてくれない。初じめての朝は、ベットが揺さぶられる感覚があり、目が覚めた。   https://youtu.be/03BoktnxuiU   廊下の雰囲気が、映画「シャイニング」に似ていたのが印象的だった。   https://www.youtube.com/watch?v=vHFr9jCXuwg   残念ながら、看護師寮で幽霊に出会うことはなかったが、それでもぼくは現地を楽しむために、散歩をしたり、   https://youtu.be/q00UoSlxpb0   週末マーケットで美味しいスコーンを食べたり   https://youtu.be/9l_ryeR3Zes   近所の池に飛び込んだりしている。季節が冬に向かっている中での水遊びは寒かった~。   https://youtu.be/C92g07fz6Zw   医学部のへき地医療研修がなければ、4週間も Collie に滞在する機会はなかったと思う。また、たくさんの医師、看護師、作業療法士、理学療法士の方々に指導していただくこともなかっただろうし、患者さんたちを通じて「人間とは何か」を深く学ぶことは無かったと思う。へき地医療研修の機会を与えていただき、本当に感謝しています。あざす。  

オーストラリアの医学部、最終学年の5発目の研修先はへき地医療

  オーストラリアの医学部最終学年の第4の研修先である脳神経外科が終わり、ぼくが次に向かう研修先はへき地医療である。   同級生たちは、西オーストラリアの隅々に散らばり、地元の総合医(General Practitioner)の指導の下、様々な患者さんに出会いながら、臨床スキルを磨く。   自分が希望した研修先へ行ける同級生が多いのだが、中には耳にしたこともないへき地へ行かなければいけない友人もいる。   ぼくは医学部3年生の時に、奨学金をもらいながらブルーム(Broome)というへき地で1年過ごした経験を持っており、へき地医療にはとても関心がある。また、へき地でしか経験できないようなことが沢山あるので、ぼくはへき地医療の経験を好意的に見ている。   https://youtu.be/E2aphjspzpw   ただ、3年生の時とは異なり、できるだけ移動時間がかからない町を、ぼくは選択した。医学部最終学年は時間がどれだけあっても、足りない。だから、できるだけ無駄を省くことをつねに心がけておかないと、留年という現実が待っているのだ。   ぼくがお世話になる町の名前は、コリー(Collie)。ブラック・ダイアモンド湖があるところで有名だ。季節は徐々に寒くなってきているが、湖にぜひとも飛び込んでおこうと思う。その他、面白そうな所があるので、探索していこうと思う。   https://www.youtube.com/watch?v=BJj2kWT8LL8   コリーには5週間滞在することになるので、現地の生活は現地に着いてから「生の声」としてみんなにお伝えしていこうと思う。   それよりも、まずはへき地医療研修の内容をさっと頭に入れておこうと思う。旅行気分でコリーに行って、卒業に必要な成績を取り損ねるということを避けるためだ。   へき地医療の研修中に集中して学ばなければいけない項目が7つある。   毎週、最低30時間はクリニックにいて、自分一人で10人ぐらいの患者さんを診なければいけない(最終的な臨床の判断は、総合医が行う)。クリニックが終わった後も、On callで週に2人ぐらい患者さんを診なさいと書かれている。   へき地医療の研修は主に、慢性的な病気を見ることになるため、うちの医学部は以下の点を重点的に学べと書いている。(これはつまり、最終試験(ペーパーと実技)に出るよ、ということでもある)   へき地医療研修の成績は、総合医の目の前で、実際の患者さんに問診、身体検査、マネージメントを行い、その臨床技術を評価してもらうStructured Clinical Assessment (SCA)がふたつ。そして、研修中の態度や行動が評価されるClinical & Professional Rating (CPR)が評価の対象となる。   Structured Clinical Assessment (SCA)とClinical & Professional Rating (CPR)の詳しい説明は、こうなっている。ふたつともブルームで経験しているので、大丈夫だと思う(たぶん)。   そして、うちの大学の医学部には、課外活動を評価するPLACESというものがある(詳しくは記事「オーストラリアの医学生が勉強以外にやっている課外活動」をどうぞ)。へき地医療の経験を書いておけば、課外活動として評価してあげるよ、という医学部側の配慮である。強制的なものではないが、卒業までに課外活動のポイントが足りていないぼくは、これをやろうと思っている(たぶん)。    

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