オーストラリアの医師インターンシップは、ハイリスク・ローリターンのプログラムである。
何がハイリスクなのかというと、インターシップ中に「君は医者には向いていないね」という烙印を押されてしまうと、医師免許の更新ができなくなるのだ。そう、医師として働く資格を失ってしまうのだ。
よっぽどのことが無い限り(例えば、先輩医師に相談をせずに医療行為をして患者さんを死なせるとか)、インターンシップを落第することはないらしい。それでも、頑張って医学部を卒業したにも関わらず、医師としての資格を失うかもしれないという可能性は、インターン医師を怯えさせるには十分な材料である。
だからといって、ビクビクしながら働いていても何も好転しない。どうせやるなら全力でしかも楽しむことを最大の目的にしながら、二度とは戻ってこない医師インターンシップの時間にぼくは取り組んできた。インターンの仕事はとても大変だったが、同僚、患者さんとその家族とのつながりを通じて、自分が医師としてだけでなく人間として成長している実感を得られたことは、何物にも代えがたい人生からの贈り物である。
ぼくは「オーストラリアで温かい医者になる」という夢を実現するために、インターン医師として次の5つの研修先で働き、それぞれのローテーションでインターン医師として合格の評価をいただいた。
- 一般内科 (General Medicine)(リンク)
- 移植外科 (Transplant Surgery)(リンク)
- 救急医療 (Emergency Medicine)(リンク)
- 急性疾患医療 (Medical Assessment Unit)(リンク)
- 整形外科 (Orthopaedic Surgery)(リンク)
全てのローテーションで合格すると、最終的に雇い主の病院側からオーストラリア医療管理会(Australia Health Practitioner regulation agency)にインターン医師プログラムの合格通知が通達される。
インターン医師の医師免許は Provisional registration と呼ばれ、文字通り仮免である。その仮免を正式な免許 General registration に書き換えるために、インターン医師は手続きを行わなければならない。
このブログ記事では、ぼくが医師正式免許を申請する実際のプロセスをお見せしようと思う。
オーストラリア医療管理会(Australia Health Practitioner regulation agency)のホームぺージからオンライン申請ができる。
医師正式免許の申請にはいくつかの条件がありますよ、ということを理解しなければならない。
丁寧に申請書の使い方が説明される。
オンライン申請は法律の保護のもと行われていますと宣言されている。
医師の正式免許に申請する場合は、次のことを理解し受け入れなければならないと書かれている。
全文をお見せすると、
Consent to nationally coordinated criminal history check
I authorise AHPRA and the National Board to carry out a nationally coordinated criminal history check for the purpose of assessing this application.
I acknowledge that:
a complete criminal history, including resolved and unresolved charges, spent convictions, and findings of guilt for which no conviction was recorded, will be released to AHPRA and the National Board,
my personal information will be extracted from this form and provided to the Australian Criminal Intelligence Commission (ACIC) and Australian police agencies for the purpose of conducting a nationally coordinated criminal history check, including all names under which I am or have been known
my personal information may be used by police for general law enforcement purposes, including those purposes set out in the Australian Crime Commission Act 2002 (Cth),
my identity information provided with this application will be enrolled with AHPRA to allow for any subsequent criminal history checks during my period of registration
if and when this application for registration is granted, AHPRA may check my criminal history at any time during my period of registration as required by the National Board for the purpose of assessing my suitability to hold health practitioner registration; or in response to a Notice of Certain Events; or an application for Removal of Reprimand from the National Register,
I may dispute the result of the nationally coordinated criminal history check by contacting AHPRA in the first instance
Consent
If I provide the National Board details of an English language test I have completed, I authorise the National Board to use the information I provide to verify those results with the test provider.
I understand the test provider may be overseas.
I consent to the National Board and AHPRA making enquiries of, and exchanging information with, the authorities of any Australian state or territory, or other country, regarding my practice as a health practitioner or otherwise regarding matters relevant to this application.
I acknowledge that:
the National Board may validate documents provided in support of this application as evidence of my identity, and
failure to complete all relevant sections of this application and to enclose all supporting documentation may result in this application not being accepted.
notices required under the National Law and other correspondence relating to my application and registration (if granted) will be sent electronically to me via my nominated email address
AHPRA uses overseas cloud service providers to hold, process and maintain personal information where this is reasonably necessary to enable AHPRA to perform its functions under the National Law. These providers include Salesforce, whose operations are located in Japan and the United States of America.
I undertake to comply with all relevant legislation and National Board registration standards, codes and guidelines.
I understand that personal information that I provide may be given to a third party for regulatory purposes, as authorised or required by the National Law.
I confirm that I have:
met the English language skills pathway requirements indicated on this form, and
read the privacy and confidentiality statement for this form.
I declare that:
the above statements, and the documents provided in support of this application, are true and correct, and
I am the person named in this application and in the documents provided.
I make this declaration in the knowledge that a false statement is grounds for the National Board to refuse registration.
と書いている。
申請条件を受け入れ申請を開始すると、まず個人情報を入力する。
電話で連絡が来る場合、携帯、家の電話、職場の電話番号を選択することができる。
住所を記入する。
医師インターンシップのプログラムを提供した病院を明かさなければならない。
医師インターンシップのプログラムを提供した母体が通常の病院ではない場合は、特別な書類を手配しなければいけないと書かれている。
医療関係者は、国が定めるガイドラインに従って感染リスクを伴う作業をしていたことを宣言しなければならない。
犯罪歴が無いことも宣言しなければならない。
医師として保険に入っていることや、医師仮免許がはく奪されていないことも宣言しなければならない。
医師免許の保持が難しいケースに出会った場合は、本部に早急の連絡をすることを宣言する。
申請に必要な文書をアップロードするところ。医師インターンシップの合格証は、雇い主の病院が提供するものなので自分ではアップロードしできない。
最後に、申請料を払う。$787。うぅ、高い。免許関係でこんなに高額な支払いをするのは初めてだ。親父の表現を借りるなら、血が抜けるような気分だ。
支払いが終わると、申請書が送られた旨がメールに届く。時間がある人は、この申請プロセスが快適であったかどうかのアンケートに答える。
さて、ぼくは無事に医師免許を仮免から本免へと書き換えられるのか?
1型糖尿病を持つ、48歳です。QLDのHeavy Combinationの免許を保持しています。
ご存じの通り、HbA1cは8台キープです。現在大阪に住んでいて、そちらに住んでいる友人より、
Condition Mの為の年一回の紙が送られてきました、通常なら、JetStarで直ぐなのですが、
現在の状況では、郵便も1月以上掛かり、船便でシンガポール、台湾と運ばれ、台湾からは空輸で
日本に来るようです。夢のロードトレインの為に26歳の時に取った免許です。、そちらがインシュリンが安いのもあり、毎年、豪州でインシュリンを1年分買っています。この状況に困り果てています。
QLDの主治医は、Paul Bartley と Anna Thomasの2人です。通常はE-mailで予約を取り、
Stones Cornerの診療所に行っています。何か良い方法があれば、教えてください。
Paulの話では、大阪にQLDのAMCを持つ医者がいるって言ってました。
吉岡様、大変な状況に面されているとのこと胸中御察しします。1型糖尿病の方にはインシュリンの有り無しが命の有無に関わる問題であると理解されていると思います。日本におられるのであれば、日本の医者にまず相談し状況を説明するのが良いかと存じます。