オーストラリアの医学生が日本で起きた大量殺人について考えること

 

病院にいると、「ひろ、あの事件をどうなった?」とよく聞かれる。

 

そう、日本の障害者施設で起きた大量殺傷事件のことを聞いているのだ。

 

事件とその背景のことを全く知らないので、

加害者の動機などについての考察はできない。

 

ぼくができることは、

加害者の「障害者は生きていても無意味」という主張に

意見を述べること。

 

そして、

「障害者の大量殺人は現代社会の写し鏡ではない」という主張に

意見を述べることぐらいだ。

 

 

「障害者は生きていても無意味」という主張について

 

障害者・健常者にかかわらず、

生きていても無意味だと感じる人は多い。

 

ぼくは物心ついた頃から

「生きる意味」について悩んできたし、

自分が路頭に迷った時などは

「ぼくが死んでも世界は問題なく廻り続けるんだよなぁ」と

悲しさを覚えたこともある。

 

悲しさを覚えたぼくは、

「生きる意味」を探すことを止めた。

だって、そんなもん無いんだもん。

 

でも、ぼくはここで歩みを止めなかった。

ぼくは「生きる意味」を探すことをやめて、

生きている「ぼくの意味」を探すようになった。

いつのまにか。

 

まだ、「ぼくの意味」は見つかっていない。

加害者の主張からすれば、

「意味のないぼく」は殺されても仕方ないのだろう。

 

でも、本当にそうだろうか?

 

この動画を見てほしい。

 

親子の動画なのだが、

息子は脳性麻痺(たぶん)を患っていて、

親父は息子とともにトライアスロンに参加している。

 

 

なぜこの親父は息子と一緒に

トライアスロンに挑戦しているのか?

 

それは、

息子が放った

“When I’m running in the field, my disability disappears

(外を走っていると、障害者じゃなくなるんだ。)”

という一言が動機だったと述べている。

 

健常者と同じようなことはできない息子に意味を求めるよりも、

親父として息子に何ができるか?を自問し、

そして(愛されるのではなく)愛することを選択し、

トライアスロンに一緒に挑戦したのだ、

とぼくなりに理解している。

 

この動画をみていると、

「ぼくの意味」は決して

ぼくの中だけ存在するものではない、

ということが分かる。

 

そして、ぼくの外に存在している「ぼくの意味」は、

周りの人間が次のよう考えたときに生まれることも分かる。

 

何をしてもらったかよりも、

何をしてあげたか?

何をしてあげたかよりも、

してあげたことにどれだけ愛を注ぐことができたか?

 

この考え方は、

以前書いた「自分の円を出ること」に通じているし、

もしかしたら「ぼくの意味」は

これに終結するのかもしれない、

とふと考えることもある。

 

ただ、つぎの動画を見ると、

「ぼくの意味」はおそらく、

ぼくの中にも存在するのだろう

とも考えたりする。

 

 

 

「障害者の大量殺人は現代社会の写し鏡ではない」という主張について

 

この質問自体は、

Yes/Noの問題である。

である(Yes)。もしくは、ではない(No)。

 

ぼくが興味を持っているのは、

どちらが正しいのかということよりも、

 

どんな証拠があれば「障害者の大量殺人は現代社会の写し鏡ではない」と主張できるのか?

どんな証拠があれば「障害者の大量殺人は現代社会の写し鏡である」と主張できるのか?

 

ということである。

 

以前書いたことがあるが、

Extraordinary claim requires extraordinary evidence

(極論は極めて精度の高い証拠を必要とする)

ということをぼくたちは忘れてはならない。

 

どちらの主張をするにせよ、

上記のいずれの主張も極論であることを認識し、

「どんな証拠があってそんな主張をしているの?」と、

証拠に興味を持たなければならない。

 

そして、

その証拠が本当に主張の裏付けになっているのか

ということも考察しなければならない、

とぼくは考える。

 

 

「ひろ、あの事件をどうなった?」

と聞いた病院のスタッフに、

これまで書いたことを言っても質問に答えていない。

だからぼくは、コンピューターの患者さんの血液検査の画面を最小化して、

BBCのニュースを二人で一緒に読むことにした。

 

その日のランチは、

このことについて

ふたりでずっと議論をしていた。

 

 

出典:sharedstory.org

 

 

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