How are you?
I am fine. Thank you.
And you?
語学留学する前は
こんな会話さえも
ぼくの頭には浮かばなかった。
英語を正しく喋らなければ
という緊張の呪縛から
心と頭がフリーズしていた。
正しく喋る前に
君はまず何を言いたいの?
と、あなたは聞きました。
少し俯いて考えてみると
18歳のぼくの中には
言いたことがなかった。
言いたいことがないのに
正しく喋るも間違って喋るもないんじゃない?
と、そばでゴロゴロしている猫さんは言った。
悔しかったぼくは
右手で顔を洗っている猫さんに
明日雨降るよ、と言った。
コーヒーでも煎れるね
と、あなたは言って
喧嘩の仲裁に入ってくれました。
何かを言いたかったぼく。
何も言いたいことが無かったぼく。
言う前にしなければいけないことに気づいたぼく。
異国の芝生に寝転んで
蒼き空を見つめながら
本を読むようになった語学留学時代。