ぼくらの関係がまだ青かった頃
なんで高校中退したの?
と、あなたは聞きましたね。
ぼくの中の虚栄心がムッとして
じゃあ、なんで高校に行ったの?
と、答えましたね。
それを聞いたあなたは
質問を質問で返すのは無し!
と、ぼくにデコピンをしました。
あれから長い年月が経ち
ぼくのオデコの痛みと虚栄心は
どこかに行ってしまいました。
あなたは
なんで高校中退したの?
と、聞いたことを憶えていますか?
ぼくがいま何と答えても
あなたはふ~ん、と言って
煎れたてのコーヒーを飲むだけかもしれません。
虚栄心がなくなったぼくは
あなたの心をお気に入りのコーヒーから
奪うことはできそうにありません。
だから、ぼくはまず
あなたのコーヒーカップに
小さじ2杯の砂糖を入れてみます。
ぼくの答えが
すこしだけ甘くなって
あなたに気に入られるかもしれないから。
あなたは
甘くなったコーヒーに気づいて