異能vation、破壊的な挑戦部門の最終選考通過者!

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ICT(情報通信技術)分野において失敗を恐れずに挑戦する人材、いわゆる異能(Inno)な人を日本政府が支援するプログラム『異能vation』の破壊的な挑戦部門の最終選考通過者がついに発表されました。

 

前回の記事『【結果発表】異能vation、破壊的な挑戦部門の一次選考』のなかで、2017年度の一次選考通過した総勢29名、30件の技術課題を紹介した。一次選考から約1.5か月の時間が流れ、ついに異能vationの最終選考通過者が決まった形となる。

 

最終選考通過者をお伝えする前に、これから異能vationに挑戦する人のために、最終選考の総評をここで特筆しておこうと思う。応募する際に熟考すべき大事な観点となるはずである。以下、異能vationのページより抜粋。

 

最終選考 総評(異能vation事務局長 福田 正)

 

一次選考を通過した30件の技術課題について、本プログラムの8人のスーパーバイザーが1件ずつ、慎重に評価を行いました。スーパーバイザーの評価は合議制ではありません。また、相対評価でもありません。[破壊的な挑戦部門]の主旨である「奇想天外でアンビシャスな技術課題への挑戦」であるかという観点を踏まえ、一見で理解できないようなチャレンジであっても、スーパーバイザーの厳しい目と直感によって“破壊的イノベーションの種”になりそうだと感じた技術課題13件が最終選考を通過いたしました。

 

[破壊的な挑戦部門]と[ジェネレーションアワード部門]の2部門で応募受付を開始した今年度の「異能(Inno)vation」プログラムですが、前者には“より深く課題を掘り下げた挑戦的な提案”が多く集まっていたように思います。最終選考を通過した13件以外の課題以外には、既に実用化が見込め社会実装がすぐに可能なもの、意欲的に展開している製品やサービスなどの提案もありました。しかし、本プログラムの考え方である“未完な、そして日本にイノベーションを起こす可能性のある取り組みを応援すること”に従って選考は行われ、この度の発表に至ったことをご報告させて頂きます。なお、完成に近い技術課題や実用に近い製品などの提案については、「協力協賛企業による支援プログラム」の活用を推薦いたします

 

それでは、お待ちかねの最終選考通過者の一覧をご覧ください。一次選考通過していた海外組はふたつとも採用されました。これで、海外からの応募が増えることが予想されます。ぼくも来年の挑戦はオーストラリアから行おうと思います!最終選考に通過された皆様、おめでとうございます!

 

最終選考通過者 技術課題名

※一次選考通過時の表記から変更しています
都道府県 氏名 技術課題内容
技術課題名
米国・カリフォルニア あるしおうね 昨今のARにおいて、バーチャルキャラクターを目の前に表示させるという、ある種の人々の願望は徐々に実現されつつある。しかし表示だけでは不十分で、将来的には現実のその場にいるかのようなコミュニケーションが求められている。この実現には、バーチャルキャラクター(コンピュータ側)が現実の物や場所、状況を正確に把握し、適切な反応を返す必要がある。本事業では、このような現実環境の意味的な情報(セマンティクス)をコンピュータに提供する「セマンティックAR」環境の構築に必要となる、現実環境の識別技術の開発と、これを組み込んだバーチャルキャラクターとのインタラクションシステムの試作を目指す。
高度なインタラクションを可能にするセマンティックARのための環境識別技術の開発
熊本県

オガワ シンペイ

小川 晋平

聴診器は心音(心臓の音)や呼吸音(肺の音)などを聴く医療機器として広く医療現場で用いられている。私が発案し現在開発中の「超聴診器」は機械学習を用いた自動診断アシスト機能や遠隔医療への応用の機能を有してはいるが、あくまで現在の聴診器の延長線上にあるものである。一方、今回提案する「聴“心”器」は既存のものとは全くコンセプトが異なり、心音の大きさやタイミング、心拍変動など各種パラメータを独自のアルゴリズムで解析し「ストレスの数値化」を目指している。本事業では自律神経指標の定量的評価アルゴリズムの研究及び試作開発を行う。
聴“心”器の開発
大阪府

サカモト ハジメ

坂本 元

少年時代に憧れたロボットアニメの人型ロボットを実現することが目標である。最終目標は身長18メートルの人間が乗り込み操縦する巨大ロボットである。15年前に一人で身長40センチ程度の人型ロボットの開発から始めて、現在はグループで身長4メートルの人間が乗り込み操縦する人型ロボットを完成している。巨大人型ロボット開発における最重要課題となるのは、二足歩行に関するものである。すなわち、関節を駆動するモータ、二足歩行制御ロジック、ロボットのフレームや足裏の製作、ロボットの転倒防止、ロボットの乗り心地がある。本プロジェクトでは、それらの技術課題に取り組んでいきたい。
人間が乗り込み操縦する、巨大人型ロボットの実現に向けて、二足歩行技術の研究
東京都

シマカゲ ケイスケ

島影 圭佑

OTON GLASSは文字を読み上げてくれる眼鏡です。対象は著しく視力が低かったり視野が欠けている視覚障がい者、文字を読むことが困難な読字障がい者、視機能が低下した高齢者、現地の言葉が読めない海外渡航者です。OTON GLASSを掛けると、目の前にある文字をカメラで撮影し、文字認識技術でテキストデータに変換し、それを音声として読み上げることで、ユーザーは内容を理解できます。異能vation採択期間においては、次世代のOTON GLASSのプロトタイプを制作します。具体的にはハードウェア・ソフトウェアのアップデートに加え、ライフログデータを利用したサービスの開発に取り組みます。
OTON GLASS-読む能力を拡張するスマートグラス-におけるインターフェースとサービスの研究開発
神奈川県

タカハシ ノブヒロ

髙橋 宣裕

最先端の要素技術の複合的な制御を可能とすることで、任意のタイミングで多彩なバリエーションのAcoustic Fart Wave(AFW)を生成できる全く新しい装置を開発し、ロボティクス分野、エンタテインメント分野における発展に寄与する。AFWは社会における様々な局面に応じ、幅広くメッセージが変容する特異とも言える性質を持つ。本プロジェクトはAFWが特徴として持つ“ユニークさ”、“美しさ”の二要素を高次元で両立・拡張する設計方針のもとに実装を行う。遂行にあたっては、リアリスティックAFWの生成を通過点として捉え、超AFWへ展開することで、AFWが持つポテンシャルの新たな可能性を開拓する。
Acoustic Fart Wave Generating System
東京都

タヌマ ヒデキ

田沼 英樹

FPGAならではの全く新しいアーキテクチャでメニーコアマイコンを構成し、ソフトウェアだけでお手軽に使いこなせるような環境を構築します。これによりHDL記述や論理合成がほぼ不要になるので、開発の敷居が一気に下がります。メニーコアのプロセッサアーキテクチャはアキュムレータマシンと自己書き換えをベースにしたもので、現状どのプロセッサとも似てない特殊なものです。特にタスクが互いの実行タイミングに干渉せず実行できるので、何の気兼ねなくプロセッサ数だけ並列処理ができます。電子工作等、あらゆる用途に応用が可能ですが、まずはこの全く未知のアーキテクチャでのプログラミングを楽しんで欲しいと考えております。
激安FPGAのメニーコアは本当にあります!シンプル高性能なメニーコアマイコンで簡単お手軽並列処理♪
宮城県

トリミツ ケイイチ

鳥光 慶一

これまでに電気を通す絹糸、導電性シルクを作り出し、シルク本来の肌触りの良さ、風合いをそのままに存在をほとんど意識させないバイタル計測に取り組んできた。現在、伸縮自在な糸を用いることで伸縮性導電糸を実現することに成功しており、基材である糸の電気的特性変化を利用して体の動きを計測することができる衣服の作製に取り組みたいと考えている。これにより、着ていることを意識せずに動きを可視化することが可能となり、健康管理及び、姿勢や機能障害等の早期発見による痛みの緩和や支援に役立てるとともに、介護医療分野等における応用展開を視野に入れて開発を進める。
電気を流す伸縮自在の糸で体の動きを知る
中国・北京

ニシダ ジュン

西田 惇

リハビリテーションやスポーツ訓練においては、教示者と学習者の間で身体知情報をやり取りすることが重要となる。本研究では筋活動制御に基づく両者の運動覚融合などを可能とする装着型デバイスを用いることで、教える能力と学習する能力を最大化し、使用者の主体的な機能回復や獲得を支援する手法を提案している。本計画では運動覚共有を行う新たなモジュールの開発や他の感覚モダリティとの統合を行うと共に、他者との運動覚融合における自身の主体感の保持などについても認知科学的アプローチから検討し、装着型デバイスを用いた人の身体・認知的特性の操作に基づく人と人の新しいコミュニケーションを実現する手法の実装と知見の発信を行う。
装着型デバイスによる身体認知機能の最大化に基づく人々のエンパワーメント
東京都

ハマダ タケオ

濱田 健夫

臀部清拭代行装置は、便器に搭載されたロボットアームにより、直接臀部に手を伸ばすことなく便や水分を拭き取ることができる。そのため手を媒介としたウイルス感染の予防のほか、自ら臀部を拭くことが困難な人々にとって、その作業を他人に依頼する必要がないという利点から、病院や介護の現場を中心に実証実験が進められている。しかし、これまでの清拭動作はロボットアームを一定の軌道で動かすのみであり、ユーザの好みやその日の便・肛門周辺のコンディションに応じて拭く方向や位置、強さを調節することができていなかった。そこで、本プロジェクトは、ユーザが臀部清拭代行装置を意図通りに操作するためのインタフェースを開発する。
臀部清拭代行装置のための操作インタフェースの開発
大阪府

フクシゲ シンイチ

福重 真一

世界の様々な観光地やパブリックスペースにはネットワークカメラが設置されており、そのライブ映像をWeb上で見ることができる。本プロジェクトでは、それらのライブ映像から得られる情報を用いて、自分の部屋にいながらゴースト(視覚と聴覚)だけを世界中の観光地に瞬間移動させ、その空間をカメラ位置に縛られること無く自由に散策するのみならず、ゴーストを通じて現地の人達とも対話できる新しいテレイグジスタンス技術「テレゴースト」を開発する。これによりユーザーは、例えば観光地にある実際の店舗にゴーストとして入店し、店員と相談しながら土産物を遠隔購入することもできるようになる。
世界の好きな場所に意識を転送し現地の人と対話できるTele-ghostシステムの開発
埼玉県

マトバ ヤスシ

的場 やすし

粉粒体を充填した容器中に流体を噴出することによって、粉粒体を液状化することができる。この現象は「流動床」と呼ばれ、焼却炉など多くの工業分野で利用されてきたが、人間が直接触れるインターフェース用途ではこれまで利用されていなかった。例えば「砂」と「空気」を使用し、砂の表面に映像を投影すれば、「スイッチひとつで上を歩いたり泳いだりできるディスプレイ」が実現する。粉粒体と流体の素材の各種組み合わせや、使用方法を研究し、これまでに誰も見たことの無い、「固相と液相を自由に制御可能な新しいインターフェース」を開発する。
粉粒体を液状化する「流動床」現象を用いたインターフェースの開発
山梨県

ムラキ カズミ

村木 風海

仮に世界中がCO2の排出を完全にストップしたとしても、地球温暖化はもはや止まらない―この言葉を中学生の頃に目にし、衝撃を受けた。温暖化問題には諸説あるが、少なくとも1人1人の意識を変えることが解決には不可欠である。そこで気候工学=「地球の気候を科学の力で操作する」という切り札に着目し、中学生の頃から個人レベルで取り組むことが出来る温暖化抑制の方法を研究してきた。具体的にはCO2の直接的な削減に貢献する装置の開発である。このテーマでは、まず始めにCO2回収技術、次いでCO2の高付加価値化に挑戦する。そしてこれらの技術を使って複数の試作品を開発し、ネットワークを介してその効果を数値で分析・シェアすることで、個人が実践する温暖化対策の“見える化”を実現し、温暖化問題に対する個人レベルの意識改革を促進する。
温暖化対策を身近に ― CO2直接空気回収マシーン CARS-α ―
福岡県

ヤマニシ ヨウコ

山西 陽子

従来生体等の柔軟性を有する材料へ情報を埋込み発信する技術は、その耐久性と侵襲性が問題となり実現が困難と考えられてきた。本研究では新しい概念を用いて、生体からの情報発信技術を構築するものとする。
気泡インジェクターによる情報発信

 

 

 

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ごとうひろみち
『高校中退⇒豪州で医者』をいつも読んでいただき誠にありがとうございます。著者・ごとうひろみちに興味を持ってくれたあなたのために、詳しい自己紹介を←ここでしていますので、どうぞご覧ください。

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