オーストラリア医師、レジストラを振り返る(パート5:リハビリ科)

 

ぼくは「オーストラリアで温かい医者になる」という夢を持っている。ぼくはその夢を叶えるべく、オーストラリアの医学部を卒業し、インターン医師として次の4つの研修を無事修了した。

  1. 一般内科 (General Medicine)(リンク
  2. 移植外科 (Transplant Surgery)(リンク
  3. 救急医療 (Emergency Medicine)(リンク
  4. 急性疾患医療 (Medical Assessment Unit)(リンク

 

レジデント医師(生まれたてホヤホヤ1年目の医師はインターン(aka Junior Medical Officer、JMO)と呼ばれ、2年目以降はレジデント(aka Resident Medical Officer、RMO)と呼ばれる)として働き始めたぼくは、次の9つのローテーションを修了した。

  1. 整形外科(Orthopaedic Surgery)(記事
  2. コードブルーチーム(Charlie’s Afterhour Team)(記事
  3. 精神科(老年)(Psychogeriatrics)(記事
  4. 救急科(Emergency Medicine)(記事
  5. 神経科(Neurology)(記事
  6. 腎臓科(Renal medicine)(記事
  7. リウマチ科・免疫科(Rheumatology Immunology)(記事
  8. 精神科(Psychiatry)(記事
  9. 救急科(Emergency Medicine)(記事

 

 

しっかりとした時期は覚えていないのだが、精神科のレジデント研修を終える数週間前だったと思う。つぎのリハビリ科のレジデント研修に向けてリハビリ科関連の書籍を読んでいた時だった。突然、病院の人事部の人から電話がかかってきた。「ヒロ、リハビリ科にレジストラ(Registrar)がいないから、レジストラにならないか?」と・・・心臓がキュッとなったことを覚えている。

 

どちらもレジで始まる役職なのでわかりづらいかもしれない。分かりやすく例えると、「レジストラ(Registrar)=上司」レジデント(Resident)=部下」となる。具体的に言えば、レジストラとレジデントの大きな違いは、「病棟にいる患者さんのケアに関する決断」をするか(レジストラ)しないか(レジデント)である。

レジストラは疾患に関する臨床的決断を下し、レジデントがその決断をもとに血液検査、イメージング検査、薬物の処方などを実行に移す。言い方を変えれば、レジストラは、患者さんの生死にかかわる臨床決断の意思決定を下すため、そこに発生する大きな責任を直接負う。それに対し、レジデントは、レジストラの臨床判断に基づいて行動するため、レジストラほど大きな責任を心理的に感じることはない(もちろん、インターンもレジデントも医師である以上、かなりのストレスを感じるのは事実)。

 

電話に話を戻すと、「リハビリ科は急性疾患を扱うことが比較的少ないから、レジストラとして働き初めるには最適な研修先だよ。ヒロは、これまで回った研修でも評判は良いし、もうそろそろレジストラになってもいい時期じゃないかな?」と人事課の先輩医師。ぼくは受話器を片手に少し黙りこんだ。

正直、レジストラとレジデントの責任の差は大きい。レジストラは病棟のすべての患者さんの臨床状況を把握して意思決定を下さなければならない。それに対し、レジデントは患者さんの状況をそこまで理解していなくても、レジストラの指示に従っている限り仕事の責任を果たすことができる。レジストラとレジデントの差を乗り越えるには(医師ならわかると思うが)、自分の能力の限界を認め、それでも責任を負えるか、という恐怖に立ち向かわなければならない。自分の臨床スキルの欠如で自分の患者さんが死ぬ。この責任を負う選択をした医師のみが、レジデントからレジストラへと成長していく。

 

ぼくはこれまで、人生の岐路に立った時、次のことを自問してきた。

どちらの道が困難か?

そして、答えはいつも同じだった。

より困難な道を常に選択してきた。

 

これは、絶望していた高校中退時代に出会った、ロバート・フロストの

Two roads diverged in a wood, and I—
I took the one less traveled by,
And that has made all the difference.

という詩が、いまでも心の中に残っていて、ぼくの背中を押してくれるからだ。

 

ぼくは、「レジストラになります」と答えた。受話器を握っている手はじんわりと汗をかいていた。

 

ぼくのオーストラリアにおけるレジストラ医師研修は、次のローテーションから構成されていた。

  1. リハビリ科(Rehabilitation medicine)(記事
  2. 急性疾患医療(Acute Medicine)(記事
  3. 心臓病科・心疾患集中治療室(Cardiology, Coronary Care Unit)(記事
  4. コロナウイルス病棟(COVID ward)(記事
  5. リハビリ科(Rehabilitation medicine for gerontology and neurosurgery)(この記事)

 

医者という仕事上、患者さんや医療関係者のプライバシーを保護することが最重要事項となる。そのため、ぼくがレジストラ医師として経験した笑いあり涙ありのヒューマンドラマをブログで一般公開するわけにはいかない。それでも、ドラマの端々を恣意的に加工してプライバシーを保護することで、ぼくの記憶の中に残っている「レジストラ医師のレッスン」を皆様とシェアすることは可能かと思う。

それでは、ぼくがオーストラリアのレジストラ医師として経験した「コロナウイルス病棟のレッスン」をお話ししようと思う。

 

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オーストラリアのインターン医師になったらやらなければならない6つのこと

  ぼくは「オーストラリアで温かい医者になる」という夢を持っている。   ぼくがこの夢を持つまでに約30年ぐらいの時間が人生で経過している。そう、「医者になる」という夢を持ったのはつい最近のことなのだ。過去記事「ぼくが医者を目指すことにした2つのきっかけ」   ぼくは、日本の高校の授業についていけずに1か月ぐらいで高校中退した。そのあと、オーストラリアの語学学校に英語留学をし、オーストラリアとアメリカで大学受験・合格した。「アピールする」ことが苦手なぼくは、芝生の上でゴロゴロしながら勉強できるオーストラリアの大学で神経科学と遺伝学を専攻した。   大学卒業後、日本に帰って大阪市立大学と理化学研究所で研究の仕事をした。サイエンティストとして楽しく働きながらも、「芝生でゴロゴロ」が忘れられず、オーストラリアの医学部を3回受験(&3回合格)し、永住権も自力で取得した。医学部の勉強が始まる直前は、世界のへそとも呼ばれるエアーズロック(現地名ウルル)でツアーガイドとして働いたりもした。   https://www.youtube.com/watch?v=CQ_YIduECOo   オーストラリアの医学部(1年、2年、3年、休学、4年)はとても大変で、これまで勉強したことないぐらい勉強をしていたことを覚えている。それでも、All work but no play makes Jack a dull boy. という先人の知恵を忘れずに、できるだけビーチや芝生の上でゴロゴロすることを心掛けていた。   https://www.youtube.com/watch?v=jeOevu4zC5o   卒業ぎりぎりの成績ではあったが、卒業することが目的だったぼくは、無事に目標達成し、晴れて「オーストラリアで温かい医者になる」という夢のスタートラインに立つことができた。そして、西オーストラリアの病院に就職したぼくは、インターン医師として走り始めた。   西オーストラリア州のインターンシップは3年契約で、1年目は Internというポジションを与えられ、2・3年目は Residentというポジションを与えられる。通常、3年間のインターンシップを終えると、自分が興味を持っている専門分野のトレーニング・プログラムに願書を出して、ほかの医師との競争を勝ち抜いて、その専門分野のRegistrarというポジションを得る。そこから5年ぐらいの研修を終えて試験にパスすると、Fellowとなって、最後に Consultantというポジションに就く。   出典:ama.com.au   自分が興味を持っている専門分野がはっきりしている場合は、1年目のインターンシップを終えた時点で、専門分野のトレーニング・プログラムに願書を出して、選考に勝ち残ればRegistrarになることもできる。(お医者さん同士が競争するんですよ。すごい状況ですよね) どの分野に進むかまだ決まっていない医師は、3年間のインターンシップのなかで様々な分野のローテーションを経験し、自分の方向性を定めてゆく。   ぼくが1年目のインターンシップで研修を行ったのは、一般内科、移植外科、救急医療、急性疾患医療、そして整形外科である。医者という仕事上、患者さんや医療関係者のプライバシーの保護が最重要項目となる。そのため、ぼくが経験した笑いあり涙ありのヒューマンドラマをブログで公開することはできない。ただ、ぼくがインターン医師としてどんな一日を過ごしているのかを説明することで、これからオーストラリアでインターン医師になる人の心の準備にはなればと願っている。     ぼくが医者としての初めて働き始めたのは、ハリウッド私立病院の一般内科だった。   出典:nspm.com.au   毎朝6時ごろ起床し、ベッドからノソノソと出て、ドライフルーツがたくさん入ったシリアルに牛乳をなみなみ注いで、イングリッシュ・ブレックファーストの紅茶と一緒にいただく。出勤直前にバナナも一本平らげて、汗をかいてもいいようにスポーツウェアに着替えたぼくは、スワン川のほとりを自転車で30分ぐらい走らせる。波風の影響で、風を真正面から受けて体が鉛のように重く感じる時もあれば、背中に追い風の力を感じて翼がついているかのように自転車を飛ばすこともあった。   毎日、仮装されているエリザの銅像に「おはよう」と言い、   インスタ映えする写真を撮ろうと朝早くからボート小屋に来ている旅行客の横を颯爽と自転車で走り抜け、病院へ向かった。   朝7時頃に病院に到着し、セキュリティロックがかかった病院関係者専用の自転車置き場に自転車を置く。そのあと、病院内でシャワーを浴び仕事着に着替えて、病棟に向かう。   大体の病棟には医者専用の仕事部屋が用意されている。その部屋に置かれているコンピューターから、自分の上司のお医者さん(Consultantと呼ばれる)が担当している患者さんのリストを印刷する。 患者さんのリストをプリントするのは、毎朝の回診を終えた後に、やらなければいけない仕事を患者さんごとに書いておくためだ。例えば、心不全の患者さんのために心エコーの検査を予約したり、敗血症の患者さんの薬物治療のために感染症学のお医者さんのアドバイスを求めたり、などなどやることはたくさんある。   インターンはやることは多いが、大体は6つの項目に集約される。 (1)先輩のお医者さんと回診を行い、その記録を患者さんのノートに書き込む (2)既存の薬の量や頻度を変えたり、新しい薬を投薬したり、薬を中止したりする (3)X線、CTやMRI、血液の検査などを手配する(結果が出たら上司に報告する) (4)専門のお医者さんにアドバイスを求める (5)カニューレの取り換え、尿道カテーテルの取り換え、血液採取などの作業 (6)退院要約(Discharge summary)と退院後用薬物処方     (1)先輩のお医者さんと回診を行い、その記録を患者さんのノートに書き込む   朝一に行われる回診はとても忙しい。インターン医師はまず、患者さんの医療記録ノートを集めておかなければいけない。医療記録ノートは担当医師だけでなく、看護師、理学療法士、薬剤師、作業療法士、ソーシャルワーカー、栄養士、そして他の医療チームの医師が記録をつける。そのため、医療記録ノートが決められた棚に置かれていることがまずない。インターン医師の仕事の50%ぐらいは、このノートを探し当てることに費やされる。   先輩医師が到着する前にノートを集め、患者さんのリストをプリントしておく。そして、前日もしくは当日の検査結果(特に血液検査とイメージング検査)をプリントに書いておく。インターンシップ初期は、すべての検査結果を記録しようとするが、ある程度訓練を積んでいくと、患者さんが入院している原因に関連したものがわかるようになり、それだけを記録するようになる。また、前日までにほかの医療関係者が書き残していることを確認する。   先輩医師が到着すると、患者さんのノートを荷台に積んで、患者さんのもとへ回診に行く。回診で行われることは、(1)患者さんの様態を確認、(2)観察ノートに記録されているバイタルサイン、尿便、血糖値、体重の確認、(3)患者さんのお薬の確認、(4)患者さんの質問に答える、(5)担当看護師にプランを伝える、ことである。   ちなみに、ほとんどのインターン医師は、上記のことをSOAPという頭文字であらわされるヘディングに基づいて、患者さんノートに回診記録をつける。   出典:wikihow.com   なぜだかわからないが、医師の手書きは汚い。医療関係者のなかでもダントツだ。というか、全く読めないことが多い。解読不能の医師の手書きのせいで医療ミスが起きることもあることはよく知られているが、医師の手書きを読めるように訓練するプログラムを提供する病院はいまのところ世界中のどこにもない。     (2)既存の薬の量や頻度を変えたり、新しい薬を投薬したり、薬を中止したりする   つい最近まで責任がゼロに近かった医学生だった自分がインターン医師になって責任を痛感するようになるのが、投薬・止薬・用量増減の瞬間だ。とくに、一般内科に入院してくる患者さんはたくさんの薬を処方されている。そのため、薬同士の作用などによって、副作用などが現れることがある。   インターン医師は必ず、「医学的理由があって投薬された薬を止めて(減らして、増やして)いいのだろうか?」「これまで投薬されたことがない薬を開始できるほど、この患者さんのことを理解しているのだろうか?」と自問する。この自問こそが医者を育て上げるのだが、最初のうちはどんな小さな決断であっても「この決断でいいのだろうか?」という迷いが頭の中をぐるぐる巡っている。   出典:firstaideforlife.org.uk   インターン医師は早いうちに「すべての問題を解決する必要はない」ということを理解しなければいけない。医師になりたてホヤホヤの時は、法外な期待を自分に課すことが多い。根拠のないプライドなんだろうが、そんなものは捨てて、先輩医師に聞いたり、薬剤師にアドバイスを求めたり、実際に投薬する看護師の意見を聞くことが大事になる。また、薬物ガイドラインなどを調べて「どうすることがいいのか」という答えを自分で導き出す作業が、医者としての成長を促進してくれる。     (3)X線、CTやMRI、血液の検査などを手配する(結果が出たら上司に報告する)   回診が終わると、患者さんの様態によって追加検査が必要になることがある。血液検査は、緊急な場合を除いて、Phlebotomist(採血師)に依頼できる。 大体の病院は、1日2回(午前中と午後)に採血を行っている。依頼時間が遅いと採血してもらえないので、回診が終わったらすぐに予約しなければならない。どんな血液検査が必要なのかも明記しなければならない。   イメージング検査の場合、単純なX線検査であればインターン医師が依頼書に記入し検査を予約することできる。しかし、CTやMRI検査の場合は、放射線医師になぜその検査必要なのかを説明しなければいけない。最初のうちは、検査の必要性をうまく説明できずに、検査が拒否されることもある。そうなると、先輩医師に「すみません。検査が拒否されてしまいました。再度、検査が必要な理由を詳しく教えてください」と言わなければならない。   放射線医師と議論し検査を納得させるプロセスは、とても緊張するが、患者さんのことを理解し、その試験が治療に必要であることをロジカルに説明する訓練になるので、インター医師にとってとても大事である。   出典:macmillan.org.uk     (4)専門のお医者さんにアドバイスを求める   患者さんの様態や併存疾患などによっては、一般内科以外の専門医師にアドバイスを求めること(Referralと呼ばれる)がある。簡単なケースは、がん患者さんが一般内科に入院してきた場合、がんの治療を担当してい腫瘍医に患者さんが入院していることを連絡するときである。そのほかにも、敗血症で入院しているのだがまだ原因となる細菌がわからない場合、感染症学医にアドバイスを求めたりする。   ぼくはこの Referralというプロセスがとても緊張する。患者さんの病状、過去の病歴、既存投薬、などなど様々なことを理解し、そのうえでなぜ専門医のアドバイスが必要なのかを説明しなければいけない。うまく説明ができず苦し紛れに「先輩医師がアドバイスを求めろと言ったから」と電話越しに言って、雷を落とされたこともある。 ぼくはふつうは、患者さんの医療記録ノート、看護師ノート、医療検査の結果、過去の退院要約などを目の前に用意し、どうやって説得するかを頭の中で練習し、深呼吸をひとつして、専門医師に電話する。このプロセスも、医学的な理解を深めるうえでとても有益な訓練である。   出典:cartoonstock.com     (5)カニューレの取り換え、尿道カテーテルの取り換え、血液採取などの作業   カニューレは基本的に72時間ごとに交換しなければならない。そのため、72時間以上の静脈投薬が必要な時は、カニューレを交換しなければならない。医学生がそばにいるときは、「カニューレは自信があるかい?」と尋ね、Yesであれば、お願いをする。Noであれば、インターン医師になるまでに自信をつけておかなければいけないと言って、カニューレをお願いする。最初のうちは監督しなければいけないが、しっかりとしたテクニックを持っている場合は「カニューレ入れといて」と任せることができる。 https://www.youtube.com/watch?v=-t1SCZMO0Gc   尿が出ない患者さんに、尿道カテーテルを挿管したりする。病原菌が膀胱に侵入する原因になるので、しっかり準備し、無菌技術に細心の注意を払わなければならない。 https://www.youtube.com/watch?v=L7lIIYArTX4   採血師に依頼できないときは、自分で採血する。カニューレの時みたいに、医学生にお任せすることもできる。血液が凝結して検査できないこともあるので、最初は監督しなければいけない。 https://www.youtube.com/watch?v=_8ZsqXFqvQM     (6)退院要約(Discharge summary)と退院後用薬物処方   患者さんが退院するにあたって、インターンは退院要約とお薬処方をしなければならない。 退院要約(Discharge Summary)には、入院理由となる第一診断、治療の内容、合併症とその治療、お薬の変更、アレルギー、そのほか社会的な問題、退院後のプランなどを明記する。退院要約を書くのには3つの理由がある。まず、病院で何が行われたかの医学的な記録。2つ目に、患者さんが病院で何が行われたかを理解し、退院後に何をしなければいけないかを明らかにすること。3つ目に、患者さんの総合医(General Practitioner)が入院中にどんな治療と検査が行われ、退院後に何をしなければいけないかを明らかにすること。   オーストラリアは、患者さんの治療に総合医が非常に大事な役割を果たす。手術後の抜糸であったり、お薬の微調整、病院でおこわなれた検査の結果の確認など、様々なことを任される。総合医は患者さんの人生を診ることになるので、患者さんのことを逐一理解しておく必要があるのだ。   退院要約の中にも明記されているように、お薬に変更がある場合(新規、中止、増減)、病院の薬剤師に確認をしてもらい、新規の薬を処方してもらわなければいけない。お薬によっては、PBS Authorityに電話して、認可をもらわなければいけない。初めて電話した時はとても緊張したことを覚えている。Ciprofloxacinだったと思う。     (7)オーストラリアで医者になるあなたへメッセージ   インターン医師として働き始めたぼくは、この動画のような気分だった。 https://www.youtube.com/watch?v=XhJbvlD5D-g   どんな仕事でもそうだが、慣れるまでは「この仕事は自分に向いていないんじゃないか?」と悩んでしまう。それでいい。でも、これだけは覚えていてほしい。医者として働くことは、医学部で勉強しているときよりも何百倍も楽しい。責任があるから頭をフル回転させようと努力するし、なにより「あなたの患者」と向き合うために自分という殻をぶち破り成長せざるをえなくなる。成長は楽しい。成長ジャンキーになることができたら、医者は本当に素晴らしい仕事だと思える。成長を楽しんでほしい。  

【オーストラリアで働きたいお医者さん】就職に有利な専門医。就職に不利な専門医。

  ブログの質問箱に「オーストラリアで医者として働きたい」というコメントを、日本のお医者さんからよくいただく。   ほとんどの場合は手続きに関する質問であるため、ぼくはオーストラリア医学協会(Australian Medical Association)とオーストラリア医療関係者規制当局(Australian Health Practitioner Regulation Agency)のページを紹介し、自分で調べていただくことにしている。そうすることが一番確実で安全あるからだ。   とは言え、わざわざ質問をしていただいたのに、「自分で調べてください」という返答をする自分はなんだか味気が無いなぁと思っていたので、今回は「オーストラリアで働きたい日本のお医者さん」に耳寄りな情報をお伝えしたいと思います。   オーストラリアの保健省が2019年に発行した文書に「National medical workforce strategy scoping framework 2019」というものがある。その文書の目次の中に、7 Priority workforce issues and contributing factors というセクションがある。   1 Executive summary ... 7 2 About...

オーストラリアで総合医になる必勝方法

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オーストラリア医師、レジデンシーを振り返る(パート1:整形外科)

  ぼくは「オーストラリアで温かい医者になる」という夢を持っている。ぼくはその夢を叶えるべく、オーストラリアの医学部を卒業し、インターン医師として次の4つの研修を無事修了した。 一般内科 (General Medicine)(リンク) 移植外科 (Transplant Surgery)(リンク) 救急医療 (Emergency Medicine)(リンク) 急性疾患医療 (Medical Assessment Unit)(リンク)   オーストラリアのインターン医師の仕事はハイリスク・ローリターンで、インターンシップ中に医師失格の烙印が押されると、医師として契約が更新できなくなる(つまり、医者として働けなくなる)。その意味では、医学部で留年しても次年チャンスがあるが、インターン中に失敗してしまうとそこでキャリアの道は閉ざされてしまうので、とてもハイリスクである。   ちなみに、オーストラリアのインターンシップの期間は大体2~3年ある。生まれたてホヤホヤ1年目の医師はインターン(aka Junior Medical Officer、JMO)と呼ばれ、2年目以降はレジデント(aka Resident Medical Officer、RMO)と呼ばれる。   レジデント医師はインターン医師に比べ、幅広い臨床ケースや病院の業務システムについて慣れている。それでも、レジデントもインターンと同じ業務をこなす。レジデントとインターンがこなす業務のことは過去記事『オーストラリアのインターン医師になったらやらなければならない6つのこと』に触れたので、詳しいことを知りたい方はこちらを参照ください。   ぼくのオーストラリアにおけるレジデント医師研修は、次の9つのローテーションから構成されていた。 整形外科(Orthopaedic Surgery)(この記事) コードブルーチーム(Charlie's Afterhour...

オーストラリアの医師インターンシップを振り返る(パート3:救急医療)

  ぼくは「オーストラリアで温かい医者になる」という夢を持っている。ぼくはその夢を叶えるべく、オーストラリアの医学部を卒業し、インターン医師として働いている。 オーストラリアのインターン医師がやることは、研修先の専門のうんぬんにかかわらず、大体同じような仕事をこなす。このことは過去記事『オーストラリアのインターン医師になったらやらなければならない6つのこと』に触れたので、詳しいこと知りたい方はこちらを読んでみてください。   ぼくのオーストラリアにおける医師インターンシップは、次の4つのローテーションから構成されている。 一般内科 (General Medicine)(リンク) 移植外科 (Transplant Surgery)(リンク) 救急医療 (Emergency Medicine)(この記事) 急性疾患医療 (Medical Assessment Unit)(リンク)   医者という仕事上、患者さんや医療関係者のプライバシーを保護することが最重要事項となる。そのため、ぼくがインターン医師として経験した笑いあり涙ありのヒューマンドラマをブログで一般公開するわけにはいかない。それでも、ドラマの端々を恣意的に加工してプライバシーを保護することで、ぼくの記憶の中に残っている「インターン医師のレッスン」を皆様とシェアすることは可能かと思う。 それでは、ぼくがオーストラリアのインターン医師として経験した「救急医療のレッスン」をお話ししよう。     Aさんが救急医療センターに来たのは、「医者にしか言えないこと」があるからだ。   その夜はたくさんの患者さんが来ていて、救急医療センターは蜂の巣をつついたような状態になっていた。   Aさんは30代後半の女性でTシャツと灰色のジーンズを履いていた。救急医療センターの順番待ちをしている間、椅子に座って両耳を手で押さえながら前後に体をゆすっていた。 Aさんの順番が来たとき、センターのベッドはすべて埋め尽くされており、ぼくは廊下に椅子を置いて、そこにAさんに座ってもらった。   「こんばんは。ヒロと申します。医師です。今夜はどうなさいましたか?」 「恐ろしい声が頭の中から消えないんです」とAさんは顔をこわばらせていた。見つめる目も虚ろだった。 「どんな声ですか?」 「息子にクンニをさせて自分が快感を得ろ!と大声で命令する声です」 「この声が聞こえ始めたのは今日が初めてですか?それとも長い間あるものですか?」 「3か月ぐらいです」 「3か月の間、息子さんに実際に何かをしましたか?」 「いいえ。でも、妄想の中で息子に暴力を振るって体が血まみれになっている姿を何度か見ました」 「妄想の中で、と言われましたが、実際に暴力をふるってはいないんですね?」 「はい。息子は私の妹のところに住んでいるので、私が暴力を振るうことはできないはずです」 「なぜ息子さんはあなたのところではなく、妹さんと一緒に住んでいるんですか?」 「私がヘロインやコカインなどの薬物をやっているからです」 「最後にそれらの薬物を使用したのはいつですか?」 「2か月ぐらい前です。それからやっていません」 「お酒は飲まれていますか?」 「いいえ、お酒も2か月前ぐらいから飲んでいません」   Aさんは、自分の息子に性的・身体的虐待をしようとしている自分を責めており、「自殺したい」とぼくに打ち明けてきた。 ぼくは精神科の医師に、Aさんが妄想と自殺願望が理由で救急医療センターにいることを伝えた。もちろん、非合法薬物使用歴があること、子供に身の危険の可能性があることも伝えた。 その夜は本当に忙しくて、ぼくは精神科の先生に電話をした後、別の患者さんを診なければいけなかった。どれぐらいの時間が経ったのかわからない。でも、ぼくは思い出したようにAさんの状態を確かめに廊下に戻った。Aさんの姿はそこにはなかった。 精神科の先生がどこかの部屋に連れて行って診ているのだろうと思い、ぼくはまた救急医療センターの渦の中に巻き込まれていった。   救急医療センターの先輩医師が、Aさんはどうなった?と聞いてきた。精神科の先生に診てもらっていると思いますが、とぼくは答えた。先輩医師は、先に来ていた精神病の患者さんがまだ精神科の先生に診てもらってないから、Aさんはまだ診てもらってないはずだ、といった。 ぼくの中で嫌な予感がした。 ぼくは救急センターのビデオカメラを確認した。廊下の椅子に座って前後に体を動かしていたAさんがゆっくりと立ち上がり、そのまま救急医療センターの出口からふら~と出ていく姿が映し出されていた。 やばい。自殺願望がある人を外に出してしまった。   ぼくはすぐにこのことを上司に伝えた。そして警察に電話をして、Aさんがその辺をうろついているかもしれないから見つけたら連れ戻してほしいと伝えた。 ぼくはAさんと一緒に住んでいる母親に電話をかけた。午前2時ぐらいなのでもちろん電話にはすぐにでなかった。それでも緊急事態だったので、ぼくは電話をかけ続けた。5分ぐらいすると、Aさんの母親が電話に出てくれた。 ぼくはAさんが病院からいなくなったことを母親に伝えた。すると、「娘は家に戻っていますよ」と言った。よかった、まだ生きてる。 相手が母親であったとしても、患者さんのプライバシーは守らなければならない。ぼくは医者ー患者の関係を崩さない範囲で事情を説明し、母親にAさんを病院に連れ戻してくれるようにお願いをした。 「娘はもう眠っています。今起こすと癇癪をおこすかもしれないから、明日でもいいかしら?」 「いいえ、娘さんは精神科の先生に早急に診てもらう必要があります」とぼくは答えた。   救急医療センターに戻ってきたとき、Aさんは機嫌がすこぶる悪かった。いろんなことを言われたけど、Aさんが無事に戻ってきてくれたので、ぼくは安心した。Aさんが挿管したカニューレをぼくの目の前で引っこ抜いて血まみれになったが、それでもぼくはAさんが病院にいることに心をほっとさせた。 まもなく、精神科の先生が問診に来てくれて、Aさんはそのまま精神病棟に入院となった。    

オーストラリア医師、レジストラを振り返る(パート2:急性疾患医療)

  ぼくは「オーストラリアで温かい医者になる」という夢を持っている。ぼくはその夢を叶えるべく、オーストラリアの医学部を卒業し、インターン医師として次の4つの研修を無事修了した。 一般内科 (General Medicine)(リンク) 移植外科 (Transplant Surgery)(リンク) 救急医療 (Emergency Medicine)(リンク) 急性疾患医療 (Medical Assessment Unit)(リンク)   レジデント医師(生まれたてホヤホヤ1年目の医師はインターン(aka Junior Medical Officer、JMO)と呼ばれ、2年目以降はレジデント(aka Resident Medical Officer、RMO)と呼ばれる)として働き始めたぼくは、次の9つのローテーションを修了した。 整形外科(Orthopaedic Surgery)(記事) コードブルーチーム(Charlie's Afterhour...

オーストラリアの医師インターンシップを振り返る(パート1:一般内科編)

  ぼくは「オーストラリアで温かい医者になる」という夢を持っている。ぼくはその夢を叶えるべく、オーストラリアの医学部を卒業し、インターン医師として働いている。 オーストラリアのインターン医師がやることは、研修先の専門のうんぬんにかかわらず、大体同じような仕事をこなす。このことは過去記事『オーストラリアのインターン医師になったらやらなければならない6つのこと』に触れたので、詳しいこと知りたい方はこちらを読んでみてください。   ぼくのオーストラリアにおける医師インターンシップは、次の4つのローテーションから構成されている。 一般内科 (General Medicine)(この記事) 移植外科 (Transplant Surgery)(リンク) 救急医療 (Emergency Medicine)(リンク) 急性疾患医療 (Medical Assessment Unit)(リンク)   医者という仕事上、患者さんや医療関係者のプライバシーを保護することが最重要事項となる。そのため、ぼくがインターン医師として経験した笑いあり涙ありのヒューマンドラマをブログで一般公開するわけにはいかない。それでも、ドラマの端々を恣意的に加工してプライバシーを保護することで、ぼくの記憶の中に残っている「インターン医師のレッスン」を皆様とシェアすることは可能かと思う。 それでは、ぼくがオーストラリアのインターン医師として経験した「一般内科のレッスン」をお話ししよう。     76歳の誕生日を迎えたばかりのAさんはベッドの上で泣いていた。 ぼくがAさんに初めて会ったのは、朝の回診の時だ。   インターン医師はふつう、先輩医師と一緒に朝の回診を行う。一般内科の回診の目的は、患者さんの診断の確認、様態の変化の確認、お薬の変更、医療関連専門家の必要性の確認(理学療法士、作業療法士、言語療法士栄養士、社会福祉士)、退院予定の確認、などである。   Aさんが泣いていた原因は、背中の痛みだ。 Aさん曰く、背中が痛み始めたのは3年前で、台所に置いてあったマットで足を滑らせて転倒してからだという。かかりつけの総合医が行ったX線検査によると、老化による骨関節炎が所々にみられるだけで、骨折は無かった。 背中が痛み始めたころは、パナドールやイブプロフェンなどの鎮痛剤を定期的に使って痛みをコントロールしていた。しかし、ここ1年の間に痛みがひどくなり、鎮痛剤も効かなくなっていた。さらに、痛みに加えて、筋肉の硬直が始まり、体が思うように動かなくなっていた。 背中の痛みは、Aさんがジッとしていようが動いていようが、常にあった。夜中に眠っていたとしても、背中の痛みと硬直で突然起こされることがほぼ毎日のようにあった。 Aさんの背中の痛みと硬直の辛さは、「足がつる状態(こむら返り)」が自分の背中に頻繁に起きていることを想像すれば理解しやすいと思う。   出典:ゴロ−@解剖生理イラスト   Aさんがハリウッド私立病院に入院していた理由は、背中の痛みと硬直を治療する Rizhotomy(脊椎椎間関節突起神経根切断術)と呼ばれる神経外科手術を受けるためである。手術の詳しい内容はwikipediaと下の動画をどうぞ。 Rizhotomy(脊椎椎間関節突起神経根切断術)は、動画を見ていただくとわかるように、根本的な治療ではない。治療のおかげで痛みと硬直が緩和されるのは、長くても18か月ぐらいである。   https://www.youtube.com/watch?v=epH0hzAyrf4   AさんのRizhotomy(脊椎椎間関節突起神経根切断術)は、翌日を予定していた。それまでの待ち時間の間、Aさんの背中の痛みと硬直を緩和する必要があった。 朝の回診中、ぼくは患者さんのお薬リストを見て、先輩医師に「この鎮痛薬とこの鎮痛薬の量を増やして、症状の緩和を試みてもいいですか?」と尋ねた。先輩医師は一言「Why not?」と言った。     翌日、朝の回診で再会した時、Aさんは泣いていなかった。Aさんは目をつぶっていて、ゆったりと夢の中を楽しんでいるように見えた。 ぼくは「Aさん、お早うございます。起こしてしまいすみません。」と声をかける。反応が無い。もっと大きい声で同じことを言う。反応が無い。ぼくは、同じぐらい大きな声を出しながら、Aさんの右肩をゆすった。Aさんが聞き取れない小さな声で何かを言う。Aさんの瞼は、かすかに動くだけで、その下にある青い目を見ることはできなかった。 ぼくは、患者さんノートを見直す。Aさんがウトウトするようになったのは、鎮痛剤の量を増やした前日からである。看護師さんが「痛みは軽減したが、Aさんの意識が朦朧とするようになり、これまでのような会話ができず、夕食も食べなかった」とノートに書き記していた。   インターン医師として働き始めたばかりのぼくは、「患者さんの痛みの緩和」のためのお薬が「意識朦朧状態」を引き起こしたことに罪悪感を強く感じた。もちろん、医学部でお薬の副作用を勉強するのでこのことは頭の中に入っている。しかし、薬の副作用が目の前の患者さんに実際に起きてしまうと、体験したものだけしかわからない感情が医師の中に生まれる。   ぼくは、一緒に回診をしていた先輩医師に「昨日増やした鎮痛薬が原因ですね。どれぐらい減らしますか」と聞いた。先輩医師は一言「Why not between the last and the current dose?」と言った。 ぼくは、朝に予定されていた鎮痛薬を投与しないことを看護師に伝え、看護師ノートに書かれている薬の量を増加前と増加後の間の量に書き替えた。   当日予定されていた...

オーストラリアの医師インターンシップを振り返る(パート2:移植外科)

  ぼくは「オーストラリアで温かい医者になる」という夢を持っている。ぼくはその夢を叶えるべく、オーストラリアの医学部を卒業し、インターン医師として働いている。 オーストラリアのインターン医師がやることは、研修先の専門のうんぬんにかかわらず、大体同じような仕事をこなす。このことは過去記事『オーストラリアのインターン医師になったらやらなければならない6つのこと』に触れたので、詳しいこと知りたい方はこちらを読んでみてください。   ぼくのオーストラリアにおける医師インターンシップは、次の4つのローテーションから構成されている。 一般内科 (General Medicine)(リンク) 移植外科 (Transplant Surgery)(この記事) 救急医療 (Emergency Medicine)(リンク) 急性疾患医療 (Medical Assessment Unit)(リンク)   医者という仕事上、患者さんや医療関係者のプライバシーを保護することが最重要事項となる。そのため、ぼくがインターン医師として経験した笑いあり涙ありのヒューマンドラマをブログで一般公開するわけにはいかない。それでも、ドラマの端々を恣意的に加工してプライバシーを保護することで、ぼくの記憶の中に残っている「インターン医師のレッスン」を皆様とシェアすることは可能かと思う。 それでは、ぼくがオーストラリアのインターン医師として経験した「移植外科のレッスン」をお話ししよう。     A君は13歳の少年で、生まれつき常染色体劣性多発性嚢胞腎(Autosomal Recessive Polycystic Kidney Disease:ARPKD)を患っており、腎臓が正常に機能していなかった。 多発性嚢胞腎のことを詳しく知りたい方はこちらをどうぞ(英語、日本語)   出典:theconversation.com   A君は、腎臓の機能である血圧のコントロール、尿の生成、赤血球の生成などが上手くいかず、高血圧、尿路感染症、貧血などに小さい頃から悩まされていた。   出典:slideshare.net   不幸中の幸いだったのは、A君のことを誕生の頃から診ていた総合医がこれらの症状を確認したときに、すぐに多発性嚢胞腎を疑い、検査を受けさせ、病気を正しく診断したことである。素早く診断したことで、腎臓移植の手配(遺伝検査や臓器リストなど)を速やかに行うことが可能となった。 それでも、難しいのは、いつ移植を行うべきか、という判断である。最近のデータによると、移植される腎臓は平均で15年ぐらい機能するという。この期間は、免疫抑制治療の発展によりさらに伸びることが予想されるものの、13歳のA君がほかの友だちと同じぐらいの寿命を全うするには、できるだけ移植を伸ばすことが大事な選択肢となる。 しかし、A君は度重なる尿路感染症にかかり、学校に行くこともままらなくなり、A君のお父さんが臓器移植の決断を踏み切ったのだ(お母さんは子宮内膜癌で亡くなられていた)。   Aくんの腎臓移植は、ぼくが普段勤務している病院のすぐお隣にある Perth Children's Hospital で行われた。ぼくが移植外科医に「オペ手術に参加しますか?」と電話をいただいたのが、夜10時ぐらいだった。シドニーから空輸で送られてくる移植用の腎臓が到着するのが午前1時ぐらいだから、その時間に病院に来てくれと言われた。   腎臓移植の動画(手術映像で気分を悪くされる方はお控えください) https://www.youtube.com/watch?v=pke1WhLNoHc   手術チームははじめ、二手に分かれて作業をした。 移植外科医のフェローとレジストラは、A君の腎臓を摘出する作業を行った。 そして、移植外科医のコンサルタントとぼくは、送られてきた移植用腎臓の準備(腎臓を氷水に浸けながら、余計な脂肪を除去したり、血管や尿管を移植に適した形にカット)を行った。 移植外科医の先生は時々、この部位は名称は何ですか?と解剖学のクイズを出した。夜中に呼び出されて眠たそうにしていたぼくを叩き起こす目的があったのかもしれない。   A君から腎臓が摘出され、移植用腎臓の準備が終わったころ、「ヒロ、その腎臓を布にくるんで氷水に浸けたまま、ここに持ってきてくれ」と言われた。   ぼくがいま手の中に持っている腎臓が、A君の腎臓になるのだ。   移植外科医のコンサルタントとフェローが腎臓移植手術のほとんどを行い、ぼくは移植する臓器を乾かさないために冷たい食塩水をかけたり、余分な溶液や流れ出る血液などを吸引する作業を行った。 外科手術にはオペ専用の手術ナースがいるのだが、この手術を担当していた手術ナースはなりたてホヤホヤのようで、ぼそぼそとしゃべる移植外科医のコンサルタントの言っていることが聞こえず、何度も「何の器具ですか?」と気まずそうに尋ねていた。 手術ナースは熟練すると、その瞬間に行われている手術を見るだけで、外科医がつぎに必要とするだろう器具をある程度予測し準備することができる。手術器具の名前を言えるインターン医師は一人もいないのではないか?と思えるぐらい複雑である。   出典:eyeopener.accutome.com   動脈のクランプが外されると移植された腎臓に血液が流れ、灰色だった腎臓が濃い赤に変わっていった。手術が終わったのは午前3時半ぐらいで、建物の外に出ると外は冷えていた。白い息を吐きながら、移植外科医のコンサルタントに手術に参加させてくれたことを感謝し、家路についた。 手のひらには移植された腎臓を守っていた氷水の冷たさがまだかすかに残っていたが、出勤の時間が朝7時であることを考えると、その冷たさは布団の温かさに取って代わられていった。  

オーストラリアの医師免許を仮免から本免に変える手続き

  オーストラリアの医師インターンシップは、ハイリスク・ローリターンのプログラムである。   何がハイリスクなのかというと、インターシップ中に「君は医者には向いていないね」という烙印を押されてしまうと、医師免許の更新ができなくなるのだ。そう、医師として働く資格を失ってしまうのだ。 よっぽどのことが無い限り(例えば、先輩医師に相談をせずに医療行為をして患者さんを死なせるとか)、インターンシップを落第することはないらしい。それでも、頑張って医学部を卒業したにも関わらず、医師としての資格を失うかもしれないという可能性は、インターン医師を怯えさせるには十分な材料である。 だからといって、ビクビクしながら働いていても何も好転しない。どうせやるなら全力でしかも楽しむことを最大の目的にしながら、二度とは戻ってこない医師インターンシップの時間にぼくは取り組んできた。インターンの仕事はとても大変だったが、同僚、患者さんとその家族とのつながりを通じて、自分が医師としてだけでなく人間として成長している実感を得られたことは、何物にも代えがたい人生からの贈り物である。   ぼくは「オーストラリアで温かい医者になる」という夢を実現するために、インターン医師として次の5つの研修先で働き、それぞれのローテーションでインターン医師として合格の評価をいただいた。 一般内科 (General Medicine)(リンク) 移植外科 (Transplant Surgery)(リンク) 救急医療 (Emergency Medicine)(リンク) 急性疾患医療 (Medical Assessment Unit)(リンク) 整形外科 (Orthopaedic Surgery)(リンク)   全てのローテーションで合格すると、最終的に雇い主の病院側からオーストラリア医療管理会(Australia Health Practitioner regulation agency)にインターン医師プログラムの合格通知が通達される。 インターン医師の医師免許は Provisional registration と呼ばれ、文字通り仮免である。その仮免を正式な免許...
ごとうひろみち
ごとうひろみち
『高校中退⇒豪州で医者』をいつも読んでいただき誠にありがとうございます。著者・ごとうひろみちに興味を持ってくれたあなたのために、詳しい自己紹介を←ここでしていますので、どうぞご覧ください。

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ぼくは高校英語が理解できなかった。そんなぼくがどうやってオーストラリアで医者になれたのか?この物語を読めば、あなたにも英語で夢を叶えるヒントが見つかるかも。

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英語で知っておきたい自然の名言を、翻訳家・ごとうひろみちが20個厳選しました   まえがき:ここで紹介している英語の名言は、英語を勉強している人、名言を知りたい人、何かのヒントを探している人など、たくさんの方の役に立ててもらえたらと思い、ごとうひろみちが翻訳をしたものです(ぼくは翻訳会社ulatusのフリーランサー翻訳家です)。名言を読んだ瞬間に心を揺り動かし、あなたを突き動かしてくれる、そんな英語の名言に出会えるといいですね。高校中退者のぼくでもプロ翻訳家になれた英語勉強法に興味がある方はこちらをどうぞ。   Look deep into nature, and then you will understand...

日本人が海外医学部で一番苦労する(だろう)こと

  最近、ぼくはブログの中で、異能vationに応募したことや、英語コンサルを行っていること、ビジネスを学んでいることを、心赴くままに綴ってきた。この3つのことはすべて、ぼくが持っている「日本人の英語を変える、ノンネイティブの英語を変える」という英語ドリームを叶えるためである。この夢を叶えるには時間と労力がかかることは理解しているし、一朝一夕に実現できることではない。だからこそ、ぼくは医学部を1年間休学することを選択したのだ。   それでも、時間は、ぼくの人生から無表情に削り取られてゆく。   これまでのように、英語ドリームに時間と労力をかけることはできなくなっている。というのも、ぼくにはもうひとつの夢があるからだ。それはオーストラリアで温かい医者になるという夢だ。2018年には、西オーストラリア大学の医学部に戻り、医学の勉強を再開しなければならない。それも、医学部の最終学年であり、これまでの知識とスキルをしっかりと身に付けて、最終試験をパスしなければならない。   医学の知識とスキルは、使い続けていなければ、一気に頭の中から消えていってしまう。そのスピードたるや、頭の中の消しゴムどころの話ではない。誰かが巨大な業務用掃除機で、ぼくの頭の中にある知識とスキルを、けたたましい轟音とともに吸い取っていくレベルである。   https://www.youtube.com/watch?v=HOhgP4fEx6s   ↓次のページに続く     あなたも学校でこんな経験をしたことが無いだろうか?あなたは学校の試験のためにたくさん勉強する。それでも、試験が終わり会場を後にした瞬間、詰め込んだ知識がふわぁ~と頭から抜けて、もう一回試験を受けたとしてもパスする自信がない、みたいな経験が。ぼくは毎回の試験で経験します。   試験が終わってから数分~数時間しか経っていないのに、詰め込んだ知識が指先からこぼれていく感じがするのに、これが1年間だとどうなるのか?   はい、正直に言います。ヤバいです。留年確実です。何もしなければ。   https://www.youtube.com/watch?v=ZrSH_TsRsec   ということで、ぼくは日本での残された時間を少しずつ、医学の勉強に使い始めようと思っています。それもかなり効果的な戦略を練らないと、1年休学した後遺症のせいで留年が決定してしまうので、日本でできることから始めようと思います。しかも、自分の苦手分野と対峙することにします。   ぼくは医学部で筆記試験を落としたことはない。もちろん、たくさん勉強して四苦八苦するのは事実だが、筆記試験が苦手だと思ったことはない。筆記試験は、医学部が用意しているガイドラインの意図を読み取ることができれば、落とすことはない。高得点は取れないかもしれないが、落とすことはない。と思う。多分。恐らく。     しかし、ぼくには、逃げ出したくなるほど苦手なものがある。それは、医療現場におけるコミュニケーション技能である。コミュニケーション能力は、問診(History-taking)、身体検査(Physical examination)、医療検査(Investigation)、医学的管理(Management)、医療チームへの報告(Presentation)、などにおいて文字通り患者の生死にかかわる重要なスキルである。コミュニケーション能力が低いせいで医療ミスが起こることを、医学生は頭に叩き込まれる(参考文献)。   特に患者さんとのコミュニケーションが大事なことは、尊敬するオリバー・サックス氏だけでなく、医療器具に頼りすぎる若い医師たちを危惧する先輩方の医師が口をそろえて言うことである。   https://www.youtube.com/watch?v=8LZJz7GtJA0 動画でよく出てくるLVADは、Left Ventricular Assist Deviceの略(参照資料)   実は、このコミュニケーション能力が、ぼくが最も苦手とするものである。内向的な性格もひとつの要因ではあるが、苦手意識を作り出している一番の要因が「英語の壁」だと思う。英語ネイティブではない事に対する負い目みたいなものである。しかし、この負い目は、ぼくが頭の中で作り上げている「心理的虚構」にすぎないことにぼくはうすうす気づいている。できなくてもしょうがないという言い訳を作っているようなものではないかと。   もちろん、ネイティブの同級生に比べれば、ぼくは彼らの英語の表現の幅や奥ゆかしさには到底敵わない。しかし、医学において大事なのは、患者さんとコミュニケーションを取ることであって、英語の表現の幅や奥ゆかしさを競い合うものではない。とぼくは自分に言い聞かせることにした。←これが日本でできる一番目のこと。     次に、ぼくは医療現場における英語表現に慣れていないという事実。同じ英語であっても、働く現場によって使われる表現が微妙に変わることは当たり前で、とくにプライバシーや尊厳が重要視される医療現場の英語は、パブや家で話されているものとは違うものだ。この微妙に違う言葉遣いにぼくが慣れていないのだ。だから、医療現場に立つと医者や医療スタッフが何を言っているのか分からないし、何を言えばいいのか分からないのだ。   医療現場の英語表現に慣れるために、日本にいるぼくができることは何か?   いきなり近所の大学病院に押しかけて外国の患者さんに対して英語でコミュニケーションをしてみるというのはどうだろうか?否。ぼくはオーストラリアの医学生であって、日本の医学生ではない。そんなことをしていたら、書類送検でとっ捕まってしまう。   https://www.youtube.com/watch?v=2ue_wRn-Ke8   現場で学ぶことが一番だが、それが無理なら書籍から学ぶしかない。と考えたぼくは、近所のジュンク堂や丸善、紀伊国屋を周り、自分のためになりそうな本を探し回った。     そのなかでも、置かれていた医療英語の書籍をすべて立読みし、そのなかでも自分の学習のためになりそうな9つの書籍を購入した。まだ書籍を読み終わったわけではないので内容には触れないが、それぞれ違った角度から「医療現場で使われる英語」を紹介している。   やさしい英語で外来診療〜聞きもらしのない問診のコツ   CDで学ぶ 外国人患者が来ても困らない 外来診療のための英会話   医師のための診療英会話   医師のための身体診察と検査の英語   医師のための医療面接の英語   CDで学ぶ医師のためのオールラウンド英会話   CD付き 正しく診断するための...

異能vation、の伊藤穰一さんが面白い

  変な人を日本政府がサポートするプログラム「異能vation」の2次面接の戦略と戦術を考えている。   記事「異能vation、の2次面接の練習を始めます」で触れたが、もしぼくの「破壊的な挑戦」の申請書が1次選考を通過すると、2次面接で3分間の面接・プレゼンを求められる(かもしれない)。面接・プレゼンを楽しむためにTED Talksやスティーブ・ジョブズ氏関連の書籍を参考にしながら、自分のプレゼンを組み立てている。   プレゼンの練習に疲れたので、何か別のことをしようと思い、近所のジュンク堂に行くことにした。家を出て上を見上げると、真っ青な湖面に白色の積乱雲が漂っている。こんな日は、この歌が自然に頭に流れてくる。   https://www.youtube.com/watch?v=PQXMU1A8CjI   書店に行く目的は、異能vationの方向性を決めているプログラムアドバイザーが日頃どんなことを考えているかを理解するためである。プログラムアドバイザーが異能vationの具体的な方向性に言及している書籍は無い(と思う)。しかし、プログラムアドバイザーがどんな思想を持って活動しているのかは著作を通して知ることができる。総務省はこの思想に魅力を感じてプログラムアドバイザーに選んでいるはずなので、プログラムアドバイザーの思想を知れば、異能vationの選考条件が自然に浮かんでくる(とぼくは青空を目で聞きながら夢想している)。   伊藤穰一(じょういち)さんの紹介   プログラムアドバイザーのリストに最初に来ている人物は、伊藤穰一(じょういち)(愛称はJoi)さんである。伊藤穰一さんのことはTEDを通じて存在を知っていたが、どんな思想・経歴をお持ちなのかぼくは全く知らなかった。   https://www.youtube.com/watch?v=LN6Vn-aqgFs   伊藤さんの経歴をWikipediaで調べてみると、おもわず笑ってしまった。     大学中退の学歴で、MITのメディアラボ所長になるって!現在は、博士号も取り、現実的な処世術としてMIT教授にもなっている(その時の話は、彼のブログ記事「教授になります」が面白い)(追記:現在、伊藤さんはジェフリー・エプスタイン関係の事件が原因でMITのメディアラボ所長を退職されています)   経歴の面白味は、それだけじゃないです。伊藤さんは、過去に六本木でナイトクラブを経営したり、DJだったり、IT会社を複数起業していたり、大企業の取締役をしていたり、赤ちゃん企業にスタートアップ投資するエンジェル投資家の顔も持っています。かと思えば、スキューバー・ダイビングの先生であったり、著名人を写真に収める写真家であったりもします(そのほかにも突っ込みどころが満載なのでWikipediaとその脚注・外部リンクの情報を読んでみてください。面白いに尽きます)   https://www.youtube.com/watch?v=Fbqib311QgA   伊藤穰一さんって、変な人でしょ?異能vationの最終選考者の竹内さんが、伊藤さんを「Joi = 神」と表現している理由がなんとなくわかったような気がします。   UCアーバイン校で人類学教授をしている伊藤瑞子さん(穰一さんの妹)との対談を聞いていると、穰一さんの異能ぶりを家族の視点から知ることもできます。   https://www.youtube.com/watch?v=P0CxCR9Uj60   伊藤穰一(じょういち)さんの書籍   伊藤穰一さんにHookedされてしまったぼくは、ジュンク堂におかれている彼の書籍をすべて買って読んでみた。           そのなかでも、異能vationの面接に役立ちそうな切り口を与えてくれたが、著書『9プリンシプルズ』である。書籍の内容は学術的であるため、ターゲット読者はおそらく知識人であると考えられるが、メッセージはシンプルである。書籍に書かれているメッセージとは、これからのネット時代においてイノベーションを起こしながら生き残るには9つのマインドセットが必要であるということだ。   1.権威より創発 2.プッシュよりプル 3.地図よりコンパス 4.安全よりリスク 5.従うより不服従 6.理論より実践 ...

加藤将太の次世代起業家育成セミナーを受ける前に知っておきたい13のこと

  加藤将太との出会い   ぼくは自分が叶えたい夢を実現するために、ビジネスを学ぶことを決意した(ぼくの夢はこんな夢)。お客さんを集めて、物を売った経験もないぼくは、つぎの3条件を満たすオンラインコースを探していた。 ずぶの素人でも始められる 自分の時間・ペースで学習できる 実績のある(つまり生徒が成功している)人が教えている   胡散臭いものばかりが氾濫するネット上を、ぼくは血眼になってビジネスの先生を探した。探すだけで数か月の時間が過ぎた。その時間で学んだことは、「手軽に」「これだけ」などのキーワードでビジネスを教えている人は信じられないということだった。 なぜなら、そこに、人生の荒波にもまれても生き伸びることができる人生哲学が感じられないからだ。どちらかと言えば、時代の隙間につけ入って、規制ができる前に稼ぎましょう、という半犯罪行為ともとらえられることを教えている。そんなことをやっていては、一時的に稼ぐことができたとしても、時間が立てば、収入はゼロになる。 生きていくために、「時代の隙間につけ入り、規制ができる前に稼ぐ」を繰り返すのも一つの人生哲学かもしれないが。でも、ぼくは自分の夢をかなえるために、手を変え品を変えるつもりはなく、どんな時代でもしっかりと立っていられるビジネスを学びたいと考えていた。その選択をしなければ、ぼくのビジネスの消費者にメリットを長期間にわたって与え続けられないからだ。 ネットでビジネスを教えている人の中で唯一、しっかりとした哲学を感じられたのが、加藤将太さんである。彼の人生哲学に同意するかどうかに関わらず、哲学に基づいて戦略を持った加藤さんに、ビジネスの教えを乞うことを考えることは自然なことだった。   加藤将太は3つの条件を満たしているのか?   人生哲学があることを感じたぼくは、次に自分自身に課した3つの条件を考えた。 ずぶの素人でも始められる 自分の時間・ペースで学習できる 実績のある(つまり生徒が成功している)人が教えている   (1)ずぶの素人でも始められるのか?   物を売ったことが無い、ビジネスのずぶの素人でも始められるのかどうかについて。答えを先に言うと、「ずぶの素人でも始められる」ということだ。その証拠は、ビジネスに関する知識がゼロであるぼくが、路頭に迷うことなく、ビジネスを学び続けられているという事実である。それだけではない。ぼくよりもずっと若い学生が、ビジネスの知識・経験ゼロの状態から学習を続けている。 「学習を続けている」という部分が大事である。なぜなら、誰だって「始めることはできる」からだ。NBA選手になるために練習を始めることは誰にでもできる。始めるだけなら、ぼくだってできる。でも、そのための練習を続けることは並大抵の人生哲学と戦略が無ければ、不可能である。加藤将太はそれを与えてくれる。   (2)自分の時間・ペースで学習できるのか?   答えは、「自分の時間・ペースで学習できる」である。これを実現しているのが、オンラインコースという形態である。ネットにアクセスすることができれば、自分が学習できる時間や場所から、ネット上のセミナーを閲覧したり、提供されている文書を読むことができるからだ。大学の講義のように、決められた時間に行かなければ学べないということが無いので、自分の生活にあったペースで学習を進めることができる。   (3)加藤将太の生徒は成功しているのか?   答えは、「加藤将太の生徒は成功している」である。加藤さんのページに掲載されている生徒さんは成功例の一部ではあるが、年商数億円を稼いでいる生徒もいる。その他にも、年商数千万の生徒さんがゴロゴロいる。 年商だけで成功は語れないが、ずぶの素人が自分の好きなことをビジネスにしてお金を稼いでいることを考えれば、「加藤将太の生徒は成功している」と言っていいだろう。   ここまでは、ぼくが加藤将太のセミナーを選んだ理由を書いてきたが、つぎに、加藤将太のを受けるかどうか迷っている人が本当に知りたい情報をここで話そうと思う。それは、セミナーを実際に受けている人が感じている、「良いところ」である。   良いところ   まずは、加藤さんの次世代起業家育成セミナーの良いところを紹介していこう。   (4)マインドの重要性を認識している   加藤さんのは、巷に氾濫する、小手先の技術を教えてお金を回収する「テクニック系」のビジネスコースではない。それよりも、ビジネスに必要なマインドを重要視している。 加藤さんのビジネスコースで感心したところは、セミナー受講者の「ビジネスマインド測定試験」がある点だ。この数値自体にどれだけの信頼性・再現性があるのかはまだ実証されていないものの、マインドを数値化しながらビジネスを教えている人は、加藤さん以外に誰もいない。 (学習を続けてもこのマインド数値が上がらない人には、全額返済してもらって学習をやめることができる。裏を返せば、加藤さんが「あなたはビジネスのマインドが身に付いていないから絶対失敗します。だから、お金はいらないので、セミナーにはまだ投資しないでください」という足きりをしているのだ。加藤さんの真剣さがうかがえる)   (5)学習者の挫折ポイントを知っている   加藤さんには多くの生徒さんがいる。そして、セミナーを受けた生徒さんの中から、成功する起業家と失敗する起業家がいることに気づいている。加藤さんは「なぜ同じことを学んでいるのに、挫折する人がいるのか?」ということを深く考えて、「挫折ポイント」なるものを明らかにしている。 この「挫折ポイント」はだれでも経験するものであるが、加藤さんが優れているところは、その挫折ポイントを回避・解決する方法を提供している点である。しかも、この挫折ポイントは、ビジネスだけでなく、人が新しいことを始めるの挫折ポイントでもある。その回避・解決法をしっているだけでも、あなたはビジネスだけでなくやりたいことに挫折しなくなるというメリットがある。 すべての挫折ポイントにはここで触れないが、だれでも思いつくものは「モチベーションの維持」である。何かを張り切って始めても、途中でモチベーションが下がってしまい、ゴール前にやめてしまうということ、あなたも経験があるのではないしょうか?(ぼくの人生は、そればかりです) 加藤さんは、このモチベーションを維持するための仕掛けをいくつも用意している。これまたすべての仕掛けを説明していたのでは、加藤さんの方も商売あがったりなので、ひとつの仕掛けを教えようと思う。その仕掛けとは、他の学習者の進歩状況がネット上で分かるというものだ。となりで一緒に頑張っている人の存在は、あなたのモチベーションを大きく高めてくれるものなのだ。一緒に頑張ってくれる人がいれば、わたし・ぼくも頑張れるのになぁ・・・と感じている人は多いはずである。   (6)コンテンツの量が多く、質も(おそらく)高い   次世代起業家育成セミナーで提供されているすべての動画の時間を計算してみると・・・約300時間である(追加コンテンツで増える可能性あり)。1日1時間を毎日続けても、動画を見終わるのに約300日かかるということである。動画だけではない。動画の説明をしている文書などを読むと、学習時間はさらに増える。ぼくのようなビジネスの素人が学習をしているということは、動画や文書を何度も見返す必要があるので、最低でも600時間の学習が必要になる。これはとんでもないコンテンツの量である。 次世代起業家育成セミナーの質に関して、(おそらく)高い、と書いたのには理由がある。それは、ぼく自身がずぶの素人でビジネスの知識も経験もないため、加藤さんのコンテンツの質を他のコンテンツと比較できないからである。 しかし、(おそらく)低いではなく、(おそらく)高い、と書いたのにもきちんとした理由がある。ぼくが次世代起業家育成セミナーの学習を進めるにつれて、「そういう考え方があるのか」と感心させられるだけでなく、「それを自分のビジネスに取り入れてみたい」と衝動に駆らせるアイデアがたくさん提供されているからである。 これは、とても大事な点である。加藤さんのセミナーを受けている人は、ビジネスで成功したい人である。つまり、加藤さんのセミナーでアイデアを発見し、自分のビジネスに生かせないか?と自問しているはずである。「自分のビジネスを成功させるアイデア」が次から次に生まれてくる事実を考慮すると、加藤さんのセミナーは質が高いと表現するに値すると思う。   (7)ウェブ試験がある   どんな学習でもそうだが、自分がどれだけ理解しているのかというフィードバックが無いと挫折をする。このフィードバックはできるだけ、客観的なもの、つまり数値で評価することが好ましい。 加藤さんの次世代起業家育成セミナーには、あなたの学び度合いを数値で評価してくれる「ウェブ試験」がある。ビジネス素人の受講者は分かると思うが、このウェブ試験は難しい。ビジネスを知っている人がどれぐらいの点数が取れるか分からないが、ぼく(ピッカピッカのビジネス素人)が最初にウェブ試験を受けたときの成績は、30点である。それも、セミナー動画を一通り真剣に見て、内容を理解したと思った後に受けたのにもかかわらずである。(加藤さんのコンテンツはホンモノだ、とぼくが燃え始めたのは言うまでもない) その後、加藤さんが学習者に身につけてほしい知識が分かってくると、だんだん点数が上がってくる。そうすると、何が起こるか?それまでなんとなく眺めていた、世の中のビジネスの仕組みが目に見えてくるではないか!それも、成功しているビジネスと失敗しているビジネスの原因の多くが、このビジネスの仕組みに違いがあるということがわかるようになる。   (8)常に進化している   加藤さんの次世代起業家育成セミナーでぼくがとても素晴らしいと思う点は、コンテンツが常に進化しているところである。先述した「挫折ポイント」を回避する仕掛けも、続々追加されている。 おそらくだが、加藤さんの中には理想的なコンテンツの形があるのだと思う。しかし、加藤さんは、学習者からのフィードバックを加味することで、自分の理想だけでなく、学習者にとっての理想的なコンテンツを実現しようとしている。 加藤さんが成長しようとしているのに、学習者が歩みを止めていたのでは、じぶんのビジネスをなかなか成功させることができないことは明らかである。加藤さんと共に成長できるのが、このセミナーの素晴らしいところである。   ここまでは、加藤将太のセミナーの「良いところ」を書いてきたが、つぎに、加藤将太のを受けるかどうか迷っている人が本当に知りたい情報をさらに話そうと思う。それは、セミナーを実際に受けている人が感じている、「改善できるところ」である。読み続けるには、広告の下の次の数字③をクリックしてください。   改善できるところ   加藤さんの次世代起業家育成セミナーの良いところを述べてきたが、彼のコンテンツも改善できるところがある。そのいくつかを紹介していこう。   (9)動画が編集・洗練されていない   次世代起業家育成セミナーの動画は、文字通りセミナーの動画である。加藤さんは、ホワイトボードに板書しながら、セミナーを進めていく。たしかに、実際のセミナーの臨場感を味わえるだけでなく、加藤さん自身の思考の流れを学ぶことができるので悪くはない。しかし、セミナー動画が一寸の編集もされていない(訂正追記を除く)ため、無駄な空白時間が多い。 一度動画を見ただけで内容が理解できる物であれば、これでもいいのかもしれないが、加藤さんの動画は内容が濃い。とくにぼくのようなビジネスの素人は一度視聴しただけでは理解できない。動画を繰り返し視聴し学ぶ必要がある。これはつまり、繰り返して学習する人にとっては、無駄な空白時間も繰り返されるということである。学習・理解にかかる時間を最短にするためにも、セミナー動画を編集・洗練させるべきである。特に加藤さんは時短をセールスポイントにしているので、ことさらである。   (10)「ん?」となることがある   次世代起業家育成セミナーを視聴していて、総時間の0.1%ぐらい「ん?」となり、分からなくなることがある。これには、ふたつの原因がある。 ひとつ目の「ん?」の原因は、加藤さんが説明している内容を理解するための前提知識が、視聴者に足りないこと。つまり、次世代起業家育成セミナーの内容をすべて理解するには、やはり少しの知識が必要なのである。幸い、視聴者の前提知識を必要とするケースは、加藤さんが脱線しているときに多く見られるので、あなたの学習の大きな障害になることはない。 ふたつ目の「ん?」の原因は、加藤さんの疲労である。加藤さんのセミナーは、一度に長時間行われたものが多いため、講師の加藤さん本人が疲れてしまい、頭が回らなくなり話の内容が「?」となることがある。これは、人間である以上仕方のない事ではある。それでも、セミナーの99.9%は論理的に話されている。 加藤さんのセミナーは総じて、初心者でも分かるように作られており、「ん?」が学びの障害になることはない。   (11)じぶんが学びたいこと以外も学習する   ぼくはインターネットビジネスを学びたいと思い、加藤さんのセミナーを受け始めた。しかし、世の中にはインターネットビジネスだけがビジネスではない。たとえば、物販や美容師など、インターネットだけでは完結しないビジネスもある。 次世代起業家育成セミナーはオンライン(Online)だけでなく、オフライン(Offline)のビジネスも教えている。そのため、ぼくのようにインターネットでビジネスをしたい人には、オフラインのビジネスを学ぶことは少々遠回りに感じられることがある。それでも、オフラインのビジネス知識が、自分のオンラインのビジネスに生かせることもあるので、時間の無駄ではないだろう。   (12)ウェブ試験で高得点を取るためには、記憶が良くなければならない。   先述したウェブ試験だが、この試験で高得点を取るには記憶が良くなければならない。ウェブ試験は選択問題(MCQ)だが、設問の内容だけを読んで、正しい答えに辿りつけないことが多くある。その場合、正しい答えにたどり着くためにセミナー動画の内容を覚えておかなければならない。セミナー動画が長時間なので、その内容を記憶しておくことはとても困難なことである。理想的には、設問の情報だけで正しい答えを導き出せる問題が出題されるウェブ試験である。   (13)それなりの投資が必要である   加藤さんの次世代起業家育成セミナーのすべてのコンテンツにアクセスするには、それなりにお金の投資が必要となる。正直、手軽に出せるような値段ではない。   しかし、成功にはお金を投資しなければならない。なぜなら、お金で成功までの時間を買うことが大事だからである。現代は、時代が変化するスピードがとても速い。これだと思ったビジネスをゆっくり作り上げていたのでは、他の競争者に出し抜かれるだけでなく、そのビジネス分野がすたれてしまう可能性もある。お金の投資は、「ビジネスを立ち上げるまでに必要な時間」を買うことができる大切な行動である。 値段だけで、自分の夢であるビジネスを諦めてはいけない。そのことを、たとえ話で理解してもらおうと思う。 もし、あなたの手元に、ハーバード大学からの無条件入学許可書が届いたとします。あなたはハーバード大学に入学しますか? ハーバード大学は、アメリカにある世界的トップクラスの大学です。そんな大学を卒業したあとのメリットを思い描いてみてください。ハーバード大学卒のあなたが、就職面接で有望視されることは想像にかたくありません。また、大学時代に出会った同級生は卒業後も、仕事や生活の面であなたに大きなプラスとなるでしょう。 でも待ってください。ハーバード大学の授業料は高いです。年間約400万円です。あなたは値段が高いというだけでハーバード大学入学を断念しますか?おそらくほとんどの人は、ハーバード大学に行くメリットが大きいと判断し、どうにかしてお金を工面することを考えると思います。 加藤さんのセミナーも同じようなものだと思ってください(☚年間400万円、みたいな莫大な出資ではありませんのでご安心ください)。すべてのコンテンツを学習しようとすると、値段は安くありませんが、セミナーを受けることで手に入る将来のメリットを考えるとその値段に見合うだけのコンテンツを提供しているとぼくは考えています。   結論   結局、加藤将太の次世代起業家セミナーは買いなのか? ぼくの個人的な考えは、もしあなたが次の13のチェックリストに7つ(つまり半分)以上の丸印(つまりYESと答えたら)を入れたとしたら、買いだと思う。   番号 チェックリスト YESは〇を入れる。 1 わたしはビジネスの知識・経験が無い 2 自分のペースでビジネスを学びたい 3 実績のある人からビジネスを学びたい 4 ビジネスに必要なマインドとスキルを学びたい 5 挫折をしたくない 6 良質かつ豊富なコンテンツから学びたい 7 じぶんが進歩しているか確認したい 8 成長していきたい 9 すこしの時間のロスを受け入れることができる 10 完ぺきではないことを受け入れられる 11 自分以外のビジネスを知ることも大事である 12 記憶力はいい方だ 13 成功には投資は必要だ 14 仮想通貨に興味がある     7つ以上〇がついた人は、まず加藤さんがやっているキャンペーンナーの案内を読んでみましょう。凄いプレゼントももらえるキャンペーンもやっています(⇒プレゼントを釣りにしたく無かったので、記事では一切触れませんでした)   次世代起業家育成セミナーの入口はこちら↓↓↓  

【世紀の一戦】ごとうひろみち 対 Atsueigo

  えー、巷では名須川天心対フロイドメイウェザーの世紀の一戦がもっぱらの話題です。英語の世界も負けてられん、と【世紀の一戦】ごとうひろみち 対 Atsueigo を(一方的に)実現させました。それでは、前置きを含めてどうぞ。   ☆★☆★☆★☆★   オーストラリアの医学部を卒業した後、日本に一時帰国し、総務省の異能vationのイベントに参加したり、Urdocアプリの創始者と対談したり、日本の医学生に臨床英語のセミナーを開いたり、東大で先生をしている友人にサインをもらったり、1日5~8時間ぐらい東京の町を当てもなく歩いたりした。   オーストラリアにとんぼ返りする直前にAtsueigoさんの東京トークライブに参加してきた。今回の記事では、トークライブでのAtsueigoさんの印象や、Atsueigoさんがこれから挑戦しなければならない問題を提起していく。記事の流れはこうなっている。   Atsueigoとは誰なのか? ごとうひろみちとは誰なのか? Atsueigoのトークライブと彼の英語力 Atsueigoに挑戦状を叩きつける 挑戦状の先にあるもの   まずは、自己紹介から。Atsueigoさんを知らない方のために、彼のことを簡単に紹介しておく。   Atsueigoとは誰なのか? 以下、Atsueigoページより抜粋。   ...

オーストラリアの医学部に進もうかと考えている日本の女子高生からの悩みに、ごとうひろみちが答えてみた

  ぼくのブログには、オーストラリアで医者になりたいというコメントがたくさん寄せられます。そのほとんどは、具体的なプランが無いなど、どうやって返信をしていいのか分からないものが多いです。 そんな中、オーストラリアの医学部に行くことを真剣に考えている日本の女子高生からお便りをいただきました。丁度、深夜勤務明けのお休みの日にお便りをいただいたこともあり、ぼくも真剣にコメントを返してみました。 以下、高校生からの文章を太字にして、パラグラフごとにぼくなりの返事をしています。   こんにちは、初めまして。 ⇒初めまして。   今回は大学進学について悩んでいたところ、このサイトと出会い、ぜひ助言をいただきたくこの文面を書いています。拙い文章力で申し訳ありませんが、しばらくお付き合いください。 ⇒この時点ですでに文章力の高さを感じます。   私は広島在住の18歳で、将来の夢は小さな頃から医師になること、「人の命を救うこと」でした。昨年高校を卒業し、高校では日本の文部科学省規定の学習ではなくIBディプロマを取得しました。英語でBiologyやChemistryなど、様々な科目を学習してきた私でしたが、自分の英語に日本人の中では話せる方であったとしても、nativeと戦っていけるほどの自信はなかったので、そのまま日本の大学(subject requirementの関係で一校のみ)を受験しました。しかしscoreがrequirementに及ばず不合格に。医師の道を諦めるという選択肢はなかったので、IB生では異例の浪人を決意し、IBの最終試験の再受験のための勉強(自宅にて)とセンター試験のための勉強を一から(予備校にて)並行して行い、無事IB scoreはrequirementを越え、今年はセンター試験の点数も持っていたため、昨年受験した大学を含め三校受験しました。一週間ほど前に開示された結果は全校不合格でした。 ⇒IBディプロマというものがあるんですね。知りませんでした。まずは、IBディプロマ修了おめでとうございます。大学受験は残念でしたが、前に進んでいる(行動している)ので全く問題ありません。今は胸が痛いかもしれませんが、数年後にはこの経験があったからこそ「自分」のアイデンティティが確立されたと思えるようになります。   合否発表前より、全て不合格だった場合にはどうするかを考えており、以下の2つが家族の中でも濃厚な線でした: 1. ハンガリー医科大学時事務局を通じてハンガリー国立大学医学部を受験し、進学。卒業後は日本の医師国家試験を受験(卒業と同時に受験資格は得られる)し日本で医師として働く。 ⇒ハンガリー医科大学事情は詳しく知らないのですが、確か留学生の留年率が50%だったような気がします。つまり、毎年、半分の同級生が留年するというとても大変な道のりです。このことを考えると、日本で浪人をして日本の医学部に行くほうが時間的・金銭的にベターかも、という可能性も見えてきます。 追記:留年率は66%でした。過去記事を参照。   2. オーストラリアの大学に進学し(昨年の段階で合格はもらっていたため)、学士をとった上で帰国、日本の国立大学医学部へ学士編入し、日本で医師として働く。元来私は日本で医師になることを目標にしていたので、このどちらかを考えていました。しかし、高校の先輩で今オーストラリア・ブリスベンで看護師として働く方と話す機会があり、とても生き生きと自分の夢に向かって走っている彼女の話を聞くと、この先輩のようになりたい、オーストラリアに進学したいという気持ちが強くなりました。 ⇒オーストラリアの大学合格おめでとうございます。パチパチ!素晴らしいです。オーストラリアで学士を取った後、日本の医学部に編入する選択肢も現実的です。おそらくですが、オーストラリアで学士を取ると、そのままオーストラリアの医学部(大学院コース)に進みたくなるかもしれません。これも、選択肢の中に入れておいてください。   両親も私が医師になる夢はずっと応援してくれているので、日本での進学の道がほとんど閉ざされてしまった今、オーストラリアへの進学を前向きに考えてくれています。 ⇒両親が応援してくれるのは、すごくプラスです。ぼくは、誰からも応援されることなく医学部受験をしたので、両親が応援してくれたら、もっと高い点数を取ることができたかもしれません。   ただ、master courseの学費の高さや、(学費を安くするための)永住権取得の難しさ、そしてオーストラリアで日本人が医師になることの現実性など、本格的に考えれば考えるほど、実際に医師として働けるなど夢のまた夢のように思えてしまっています。 ⇒学費の高さは、とても重要なポイントです。最近では、クラウドファンディングなどで学費を捻出する強者もいるようですが、ほとんどの人は高い学費が払うことができずに医学部に行くことを断念します。ぼくもその例にもれず、医学部を3度受験し3回合格したにもかかわらず、永住権が無かったために2回入学を辞退しています。ここをどうクリアするかは、経済事情によりますので、ご両親とよく議論されることをお勧めします。オーストラリアで日本人が医師になることの夢のまた夢と表現されていますが、オーストラリアで働く日本人医師はちらほらいます。例が少ないために、「無理なんだ」と思い込んでいるだけだと思いますよ。前例が無ければ自分が最初の例になればいいだけのことです。   一番の夢が「人の命を救うこと」である以上、医師になれる確率が高い道、という考えで進学先を決めるとすると、上記のようにハンガリー -> 日本、もしくは学士編入が良いのでは、という考えが両親の中では強いようです(医師として働けるようになるまでの年月も踏まえて)。 ⇒日本で医師になることを前提にハンガリーへ留学する人が多いことは認知しています。詳しいことは知らないのですが、ハンガリーの医学部には日本の医師国家試験の勉強もしている医学生が周りにいるらしいです。この点において、オーストラリアよりもハンガリーのほうが有利かもしれません。というのも、オーストラリアの医学部には日本人の医学生はゼロですし(いるのかなぁ?)、周りに日本の医師国家試験の勉強する人はいません。アメリカのUSMLEを受験する人は少ないですが存在します。   私の一番の希望は、オーストラリアでbachelorをとり、その後永住権をとった上でmasterに進む、という道ですが、masterへの進学が叶いそうにない(永住権を取れそうにない)場合は、bachelorだけでもオーストラリアで取得し、そこからハンガリー/日本の医学部へ進学/編入したいと考えています。*bachelorに関してはメルボルン大学またはUQのbachelor of...

最新のブログ記事

丹精込めて書きました

オーストラリア医師、レジストラを振り返る(パート4:コロナウイルス病棟)

  ぼくは「オーストラリアで温かい医者になる」という夢を持っている。ぼくはその夢を叶えるべく、オーストラリアの医学部を卒業し、インターン医師として次の4つの研修を無事修了した。 一般内科 (General Medicine)(リンク) 移植外科 (Transplant Surgery)(リンク) 救急医療 (Emergency...

オーストラリア医師、レジストラを振り返る(パート3:心臓病科・心疾患集中治療室)

  ぼくは「オーストラリアで温かい医者になる」という夢を持っている。ぼくはその夢を叶えるべく、オーストラリアの医学部を卒業し、インターン医師として次の4つの研修を無事修了した。 一般内科 (General Medicine)(リンク) 移植外科 (Transplant Surgery)(リンク) 救急医療 (Emergency...

オーストラリア医師、レジストラを振り返る(パート2:急性疾患医療)

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オーストラリアで総合医になる必勝方法

  ぼくには、「オーストラリアで温かい医者になる」という夢がある。この夢の旅路に就くまでのその道は、控えめに言っても、紆余曲折で満ち溢れていた。   ごとうひろみちの紆余曲折の人生に興味のある方はこちらをどうぞ。 ↓↓↓↓↓↓   オーストラリアの医学部を一年休学した後に卒業し、ぼくは現地の病院に就職した。現在は、医師3年目のペーペー Registrarをやっている。通常、オーストラリアで言うRegistrarは「専門医になるための訓練を受けている医師」を指すのだが、ぼくはいまService registrarという少し変わったポジションで働いている。Service registrarは、特定の専門のトレーニングプログラムに入っているわけではないが、病院側が働き手が一時的に足りていない分野に送り込むRegistrarのことを指す。オーストラリアの医師のハイラルキーに興味がある方は、過去記事『オーストラリアのインターン医師になったらやらなければならない6つのこと』をどうぞ。   インター医師よりも経験はあるが専門をまだ決めかねている医師は、このService registrarとして働くことが多い。そして、Service registrarとしてインターン医師よりは重い責任を負いながら、どの専門に進むかを考えている。どの専門に進むのかを決める要因は千差万別で、流行りの専門を選ぶ医師がいたかと思えば、朝の問診が嫌いだからという理由で救急医療を選ぶ医師がいたりする。色々な思惑と背景を持った医師がいる以上、これさえ押さえておけば専門医トレーニング選びに後悔しない、というものはない。 ちなみに、医学部に入ったときにこんなフローチャートが授業で出てきたが、あながち間違いではないような気がする。専門を迷われている方は参考にするといいかもしれない(が、あまり気にする必要もないと思う)。     オーストラリアのインターン医師は、大きく分けて外科、内科、救急、精神科のローテーションを通じて医師としての一般的なスキルを磨く。3年という限られたインターンシップの期間中に、すべての科を回ることは不可能である。あらかじめ「~科で働きたいなぁ」と思っている医師は、病院側にその科に優先的に回してもらうことをお願いする。また、「~科には興味がない」ということを病院側に伝え、それ以外の科に回してもらうこともできる。   ぼくは医師として以下のローテーションを回ってきた。 1年目 内科(記事) 移植外科(記事) 救急(記事) ...

オーストラリア医師、レジストラを振り返る(パート1:リハビリ科)

  ぼくは「オーストラリアで温かい医者になる」という夢を持っている。ぼくはその夢を叶えるべく、オーストラリアの医学部を卒業し、インターン医師として次の4つの研修を無事修了した。 一般内科 (General Medicine)(リンク) 移植外科 (Transplant Surgery)(リンク) 救急医療 (Emergency...

伊藤穣一さんに聞いてみた『日本人の英語力を変革するために必要なこと』

  このブログでも何度か取り上げさせていただいている伊藤穣一さんは、とても面白い方である。どこか掴みどころが無さそうな方なのに、実は突っ込みどころ満載といった、とても稀代な方である。どれぐらい面白いかは、過去記事『異能vation、の伊藤穰一さんが面白い』で詳しく触れていますのでこちらをどうぞ。端的に言えば、伊藤さんの経歴を見れば、ぼくなんかよりもよっぽど「中退の星」の名にふさわしい方であることが分かります。 追記:現在、伊藤さんはジェフリー・エプスタイン関係の事件が原因でMITのメディアラボ所長を退職されています。   それだけじゃないです。伊藤さんは、過去に六本木でナイトクラブを経営したり、DJだったり、IT会社を複数起業していたり、大企業の取締役をしていたり、赤ちゃん企業にスタートアップ投資するエンジェル投資家の顔も持っています。かと思えば、スキューバー・ダイビングの先生であったり、著名人を写真に収める写真家であったりもします(そのほかにも突っ込みどころが満載なので、Wikipediaとその脚注・外部リンクの情報を読んでみてください。面白いに尽きます) https://www.youtube.com/watch?v=Fbqib311QgA   そんな稀代な伊藤穣一さんは最近、Podcastを通じて『変革への道』というテーマをもとに著名な方々と様々な議論を交わしながら、日本のデジタル改革の行く末について語っています。2021年12月1日現在、7つのテーマについて語っており、これからも議論を重ねていくようです。 #1 日本のデジタルDX推進で決定的に欠けているものとは? #2 DX推進が加速する中、社会や文化のあり方も変革が必要!? #3 インターネット元年から数えて25年目の今、求められている姿とは!? #4 デジタル庁顧問に伺うニッポンのDX推進事業の成果と課題 ...