ぼくは「オーストラリアで温かい医者になる」という夢を持っている。
ぼくがこの夢を持つまでに約30年ぐらいの時間が人生で経過している。そう、「医者になる」という夢を持ったのはつい最近のことなのだ。過去記事「ぼくが医者を目指すことにした2つのきっかけ」
ぼくは、日本の高校の授業についていけずに1か月ぐらいで高校中退した。そのあと、オーストラリアの語学学校に英語留学をし、オーストラリアとアメリカで大学受験・合格した。「アピールする」ことが苦手なぼくは、芝生の上でゴロゴロしながら勉強できるオーストラリアの大学で神経科学と遺伝学を専攻した。
大学卒業後、日本に帰って大阪市立大学と理化学研究所で研究の仕事をした。サイエンティストとして楽しく働きながらも、「芝生でゴロゴロ」が忘れられず、オーストラリアの医学部を3回受験(&3回合格)し、永住権も自力で取得した。医学部の勉強が始まる直前は、世界のへそとも呼ばれるエアーズロック(現地名ウルル)でツアーガイドとして働いたりもした。
オーストラリアの医学部(1年、2年、3年、休学、4年)はとても大変で、これまで勉強したことないぐらい勉強をしていたことを覚えている。それでも、All work but no play makes Jack a dull boy. という先人の知恵を忘れずに、できるだけビーチや芝生の上でゴロゴロすることを心掛けていた。
卒業ぎりぎりの成績ではあったが、卒業することが目的だったぼくは、無事に目標達成し、晴れて「オーストラリアで温かい医者になる」という夢のスタートラインに立つことができた。そして、西オーストラリアの病院に就職したぼくは、インターン医師として走り始めた。
西オーストラリア州のインターンシップは3年契約で、1年目は Internというポジションを与えられ、2・3年目は Residentというポジションを与えられる。通常、3年間のインターンシップを終えると、自分が興味を持っている専門分野のトレーニング・プログラムに願書を出して、ほかの医師との競争を勝ち抜いて、その専門分野のRegistrarというポジションを得る。そこから5年ぐらいの研修を終えて試験にパスすると、Fellowとなって、最後に Consultantというポジションに就く。
出典:ama.com.au
自分が興味を持っている専門分野がはっきりしている場合は、1年目のインターンシップを終えた時点で、専門分野のトレーニング・プログラムに願書を出して、選考に勝ち残ればRegistrarになることもできる。(お医者さん同士が競争するんですよ。すごい状況ですよね)
どの分野に進むかまだ決まっていない医師は、3年間のインターンシップのなかで様々な分野のローテーションを経験し、自分の方向性を定めてゆく。
ぼくが1年目のインターンシップで研修を行ったのは、一般内科、移植外科、救急医療、急性疾患医療、そして整形外科である。医者という仕事上、患者さんや医療関係者のプライバシーの保護が最重要項目となる。そのため、ぼくが経験した笑いあり涙ありのヒューマンドラマをブログで公開することはできない。ただ、ぼくがインターン医師としてどんな一日を過ごしているのかを説明することで、これからオーストラリアでインターン医師になる人の心の準備にはなればと願っている。