次の日、Hanと名前の人物が返信を送ってきた。そのメールには、物件を見せるから明日シティに来れるか、という内容だった。お金の稼ぎ方は直接会って話すと書かれていた。
後日、ぼくは指定された時間と場所に行った。少し遅れて、半そで短パン姿のアジア人男性が待ち合わせ場所に来た。身長は175センチぐらい、年齢は30代後半ぐらいだろう。左腕には、マオリ族の人がしているようなタトゥーが入っていた。
ぼくはてっきりHanがその家に住んでいて、ビルの入り口から出てくるのかと思っていたが、そうではなかった。彼は別のところに住んでいて、ぼくに紹介したアパートは彼の名義になっているだけだという。ただ、彼は仕事の都合でニューサウスウェールズに引っ越ししないといけないから、賃貸契約を打ち切るのだという。
普段はのんびりしているぼくの頭は、ここでピーンときた。こいつ、アパートを他の人に高い家賃で又貸ししてピンハネしてやがんな、と。
話を聞いてみるとやはりそうだった。彼は3DKのアパートを彼の名前で借り、それぞれの部屋を高い家賃を取って又貸ししていた。からくりの内訳はこうだ。
家賃:週550ドル(賃貸契約上の家賃)
又貸し家賃:週750ドル(250ドルx3)
Hanの収入:週200ドル($750-$550=$200)
一見、住宅紹介人として手数料を取っているようにみえるが、Hanが行っている行為は犯罪に当たる。というのも、アパートの賃貸契約は基本的に又貸しを禁じており、また部屋の適正価格を釣り上げて居住者から不当に利益を上げているからだ。
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